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【第21回】こんなときどうする?➁~離婚・死別~

長久手市の在留資格(ビザ)専門の行政書士、竹内です。

今回は、前回に引き続き「こんなときどうする?」シリーズの2回目です。前回は、在留期限が切れてしまった場合について書きましたが、今回は、既婚の外国人の方が日本で離婚したり、死別したりしてシングルとなった場合について書いていこうと思います。

このケースでは外国人の方の離婚・死別した配偶者が「どのような身分の者」か?ということにより、対応が大きく違ってきます。そこで、次のようにケース分けして説明していきたいと思います。

❶日本人・永住者・特別永住者と離婚・死別した場合

➋定住者・就労資格者(技術・人文知識・国際業務等のいわゆる就労ビザ保持者)と離婚・死別した場合

 

【❶日本人・永住者・特別永住者と離婚・死別した場合】

このケースでは、離婚・死別した外国人は、一定の条件を満たせば在留が認められます。

まず、一番単純なのは、その外国人が就労することができるだけの条件をそなえていて、かつ、日本で就職する場合です。この場合は、単純に在留資格変更許可申請を行い、現に有する在留資格(日本人の配偶者等その他の配偶者が死亡・離婚するまで有していた在留資格)から就労資格(技術・人文知識・国際業務)へ変更することにより、日本での在留を継続することができます。

それ以外のケースでは、「定住者」への変更・更新が考えられます。

日本人・永住者・特別永住者と離婚・死別した配偶者に関しては、主に下記の要件を備えていれば、定住者(告示外定住。定住者には「告示定住」と「告示外定住」の2つの類型があります。これについてはまたの機会に詳細を書きたいと思っています。)。なお、このケースは「離婚定住」「死別定住」と言われています。

・離婚・死別後もしっかり生活していけるだけの資産又は技能を持っていること。

・日本語の能力が備わっていること。

・離婚・死別したという事実がある以上、入管法上の「配偶者に関する届出」を履行していること。

・おおむね3年以上(死別前・離婚前)の日本における婚姻関係が継続していたと証明されること。

主に、上記の条件を満たしていれば、定住者(告示外定住)への変更が許可される可能性があり、引き続き日本に在留することができます。

また、死別・離婚した場合において、当該死別・離婚したのが日本人であり、かつ、その日本人との間に実子(非嫡出子含む)がいる場合に関しても、同じく「日本人実子扶養定住」といわれる定住者(告示外定住)の在留資格が存在しており、下記の要件を満たせば、定住者への在留資格が許可される可能性があります。

・離婚・死別後もしっかりと生活していけるだけの資産又は技能をもっていこと。

・その実子の親権を持っており、かつ、現に相当期間当該実子を監護・養育していること。

このように、日本人の実子がいる場合の条件は、子の利益も考えて若干緩くなっています。ただし、上記記載どおり、「親権」をもっていないといけません。したがって、日本人と離婚した場合に、相手側(日本人妻又は日本人夫)に親権がある場合、この「日本人実子扶養定住」は許可されませんので、前記の「離婚定住」「死別定住」への変更の可能性を検討することになります。

なお、「定住者(告示外定住)」は、法務大臣が「特別な理由を考慮して、居住を認めるもの」という内容であるため、上記に該当しないケースでも、「特別な理由」があるということを法務大臣に申請し、納得させることができれば、「定住者(告示外定住)」の許可を得ることは可能です。

つまり、上記の「離婚定住」「死別定住」「日本人実子扶養定住」に該当しない場合でも、定住者の在留資格が認められる可能性は、制度の性質上あり得るということです(ただし、ハードルは高いかもしれません)。

なお、「日本人実子扶養定住」に関しては、例えば、既婚の日本人男性Aとその愛人外国人女性Bとの間に生まれた実子であっても、つまり、婚姻関係のない男女間に生まれた実子であっても、Bが親権をもってその子を監護・養育するのであれば、対象になり得ます。

【➋定住者・就労資格者(技術・人文知識・国際業務等のいわゆる就労ビザ保持者)と離婚・死別した場合】

この場合は、上記「❶」に比べるとハードルが高くなります。

つまり、「❶」の最初に述べた「就労資格」への変更の場合は上記と同様ですが、定住者への変更・更新は難しいです。

離婚・死別の場合は、「定住者」である配偶者Cと離婚・死別した「定住者」の在留資格を持っているそDがそのまま在留を継続する場合は5年以上程度、「就労資格」をもって在留していた配偶者Eと離婚・死別した「家族滞在」の在留資格で在留していたFは10年以上程度、日本において婚姻関係・家庭生活を継続していたと認められれば、許可されることもあり得るとされています。

以上、今回は「離婚・死別」の場合について、簡単に書かせていただきました。

最後まで読んでいただきありがとうございました。