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【第29回】在留資格の紹介~法律・会計業務、医療~

長久手市の在留資格(ビザ)専門の行政書士、竹内です。

今週も、前回から引き続いて在留資格(ビザ)の紹介をしていきたいと思います。

今回は、「法律・会計業務」と「医療」という2つの在留資格について書いていこうと思います。

【法律・会計業務】

この在留資格は、簡単に言うと「法律又は会計系の資格が必要な仕事に就く」ための在留資格です。具体的には、弁護士、司法書士、土地家屋調査士、外国法事務弁護士、公認会計士、外国公認会計士、税理士、社会保険労務士、海事代理士、弁理士、そして行政書士の資格をもって仕事を行う場合に該当する在留資格(ビザ)となります。

この在留資格の大きな特徴は、「経営・管理」から除外されていることです。

通常、日本で会社等を経営したり、会社で部長等の管理者の職に就く場合は「経営・管理」という在留資格を取得する必要があります。

しかし、上記に列挙している、いわゆる士業事務所を経営する場合には、「経営・管理」ではなく、この「法律・会計業務」という在留資格を取得する必要があります。

もちろん、経営や管理ではなく会社・事務所の社員・従業員として士業に従事する場合にもこの「法律・会計業務」の在留資格が必要です。

ちなみに、ここでいう「資格」は、すべて「日本の法律」における資格を指します。したがって、外国の法律における上記に類似するような資格を持っていても、「法律・会計業務」の在留資格に対する在留資格該当性はない、つまり、在留資格を取得できません。

なお、上記に列挙した資格を持っている外国人の方であっても、その資格を有していない者でも行うことができる仕事に従事している場合には、この在留資格(ビザ)に該当しません。具体例でいえば、社会保険労務士の資格を持っている外国人が、とある社会保険労務士事務所に雇用されて勤務している場合であっても、その仕事内容が社会保険労務士の資格をもっていない者でも行うことができる事務作業などの業務内容であるような場合は、「法律・会計業務」には該当しません。

ただし、業務の全部が「法律・会計業務」に列挙した有資格者でないと行うことができる業務であることまでは求められていません。つまり、業務の大部分がそのような業務であれば、それに付随するその他の一般業務(単純事務、掃除、事務所管理等)を行うことは問題とされません。

なお、上記に掲げられていない宅建士、中小企業診断士、ファイナンシャルプランナー等はこの在留資格には該当しません。

【医療】

医療の在留資格は、簡単に言うと「医療系の資格を持った外国人が、その資格を持っていないとできない仕事に従事する活動」です。

上記の、「法律・会計業務」の医療版です。具体的には医師、歯科医師、薬剤師等の資格を持った外国人が、日本の医療機関に属して、当該資格を持っていないとできない仕事に主として従事するための在留資格です。

また、こちらにおいてもこの「資格」は、日本の法律に定められている資格に限定されます。

(日本の法律上の)医師、歯科医師、薬剤師、保健師、助産師、看護師、准看護師、歯科衛生士、診療放射線技師、理学療法士、作業療法士、視能訓練士、臨床工学技士、技師装具士が本在留資格の対象となる資格一覧です。

このうち、「准看護師」についてのみ適用される基準があります。それは「准看護師の免許を取得した後4年以内に日本で研修として業務に従事したこと」というものです。つまり、准看護師の資格をもっているだけでは在留資格は得られないということです。准看護師の免許を取得してから4年以内に、日本の医療機関等に雇用等されて(つまり、無報酬の研修などは×。あくまでも賃金を得て)准看護師として必要な知識・技術を修得するために働くことが条件となっているということです。

また、上記に列挙した資格のうち、医師と歯科医師以外は、日本の医療機関又は薬局から招聘されることが条件となっています。招聘とは、招かれることですが、要するに呼ばれて雇われる(=給与を受ける)ことが必要です。裏を返せば、医師と歯科医師は、日本の病院等から招聘されず、例えば、日本の一般人との契約に基づいて、日本に来て手術するような場合でも在留資格に該当します。

なお、上記に列挙されている資格を有していても、その資格を有しなければ従事することができない仕事に就く場合は、上記「法律・会計業務」と同様、在留資格該当性がありません。

例えば、病院長です。ある外国人が、病院長として就任したとします。その外国人は、医師の資格をもっていますが、行う仕事は専ら病院の経営や管理の仕事のみで、診療や手術等の医療行為は一切行わないとします。そのような場合は、「医療」の在留資格には該当せず、「経営・管理」等、別の在留資格の取得の可能性を探ることになります。

なお、「法律・会計業務」「医療」は共に「就労資格」ですので、これらの在留資格に対応する活動を行うことによって日本で生活をしていくことができる程度の相当額の報酬を得られることも必要となります。

以上、今回は「法律・会計業務」と「医療」の2つの在留資格(ビザ)について書かせていただきました。最後までお読みいただきありがとうございました。