長久手市の在留資格(ビザ)専門行政書士の竹内です。
今回は、前回から始まりました「特定技能」の在留資格(ビザ)の12分野ある産業分野の分野ごとの解説の第2回目です。
第2回目は「ビルクリーニング」分野について書いていきます。
なお、特定技能は1号と2号の2種類がありますが、少し前までは、「建設」と「造船・舶用工業」の2分野のみ「2号」がありました。しかし、先日それも改められ、「介護」以外の11分野に「特定技能2号」が追加されました。
【外国人の方ができる仕事の内容】
★特定技能1号★ 建築物内部の清掃
★特定技能2号★ 建築物内部の清掃に、複数の作業員を指導しながら従事し、現場を管理する業務及び同業務の計画作成、進行管理その他のマネジメント業務
・「建築物」の中からは「住宅」は除かれます。この除かれる「住宅」は、戸建て住宅のほか、共同住宅の専有部分等です。従って、住宅の住民が共同で利用する部分、例えば、ロビーや廊下その他の住民みんなで共有する部分は、清掃範囲に含まれます。(居住部分や各居住スペースにあるベランダ等は含まれません)
・「清掃」の業務範囲には、建築物の日常清掃、定期清掃、臨時清掃はもちろん、ホテルなどの宿泊施設における客室のベッドメイクも含まれます。
・上述した仕事内容の「関連業務」に従事することももちろん可能です。ただし、それが主たる業務になってしまってはいけません。例えば、ホテルで勤務している場合において、客室のベッドメイクを主たる業務として行うことになっているのに、実際には、ベッドメイクはほとんど行わず、客室の掃除機がけばかりをやっているような場合は、特定技能の在留資格の活動内容から逸脱します。一方で、ベッドメイクを主たる業務として行いつつ、客室の掃除機掛けもするのであれば「関連業務」として認められ得ます。
・また、主たる業務として共同住宅の共有部分の清掃業務を行いつつ、建物の外壁や屋上等の清掃も行う場合なども、「関連業務」として認められます。
・なお、いくら関連業務であっても、日本人はそのような業務を行っておらず、外国人にだけそのような業務に従事させるようなことは許されません。専ら「関連業務」に従事することもダメです。
・なお、「2号」の仕事内容は、作業管理、労務管理、安全衛生管理等の業務に従事している経験であり、「1号」の建築物内部の清掃の仕事を管理・統括したり、そのマネジメントを行うなどの「管理者」や「指導者」の立場としての仕事、つまり現場責任者・監督者等の仕事内容と言っていいでしょう。
・技能実習とは異なり、特定技能では使用必須の機械、設備、器工具等の縛りがないため、外国人の方が従事できる業務の範囲が広くなることも特徴です。
【外国人の方自身の条件】
★特定技能1号★
❶「❷」以外の外国人
・技能水準試験 「ビルクリーニング分野特定技能1号評価試験」の合格
・日本語能力 ⇒ 日本語能力試験N4以上等の合格
➋「ビルクリーニング職種、ビルクリーニング作業」の第2号技能実習良好修了者
・上記「❶」の試験が免除される。
・「ビルクリーニング職種、ビルクリーニング作業」以外の「技能実習2号」を良好に修了している場合は、日本語能力についてのみ試験が免除される。
★特定技能2号★
・技能水準試験⇒「ビルクリーニング分野特定技能2号評価試験」又は「技能検定1級(ビル
クリーニング)」の合格
・日本語能力 ⇒ なし※1
・実務経験⇒特定建築物の建築物内部の清掃又は、建築物清掃業又は、建築物環境衛生総合管理業の登録を受けた営業所が行う建築物(住居を除く。)内部の清掃に、複数の作業員を指導しながら従事し、現場を管理する者としての2年以上の実務経験。
※1 特定技能2号は、技能水準試験の合格は必須ですが、日本語能力の試験はありません。
・《特別な取り扱い》令和5年6月9日の時点で、ビルクリーニング分野の1号特定技能外国人として本邦に在留する者については、令和5年6月9日より前の期間は、建築物(住宅を除く。)内部の清掃に、複数の作業員を指導しながら従事し、現場を管理する者として就労していたかに関わらず、当該者に該当していたものとして取り扱う。
・↑要するに例えば、令和3年6月1日からビルクリーニング分野の1号特定技能外国人として在留している外国人の方は、その地位や職務内容にかかわらず、実務経験要件を満たすということです。仮に、令和4年5月1日から同様に在留している場合は、必要とされる実務経験2年以上のうち、1年は実務経験要件に含めてもいいということになります。
・ちなみに「特定建築物」とは、興行場(映画館や劇場等)、百貨店、店舗、事務所、学校、共同住宅等、不特定多数の人が利用するため、特に衛生面での配慮が必要となる建築物で、かつ、結構な規模の建築物のことです。
【受け入れ機関(外国人の方が雇用される会社等)の条件】
❶建築物における衛生的環境の確保に関する法律(昭和45年法律第20号)第12条の2第1項第1号又は第8号に掲げる事業の登録を受けた営業所であること。
❷厚生労働大臣が設置するビルクリーニング分野における特定技能外国人の受入れに関する協議会(協議会という。)の構成員であること。
❸協議会において定められた措置を講じること。
➍厚労大臣及び協議会へ必要な協力を行うこと
❺派遣労働をさせないこと
・「❶」は、建築物清掃業(1号)又は建築物環境衛生総合管理業(8号)の登録を受けた事業所でしか受け入れられないということです。この登録は、法人単位でなく「事業所・営業所単位」で行わなければならないものです。
以上、今回は特定技能「ビルクリーニング分野」について、分野別条件を書いてみました。
最後までお読みいただきありがとうございました。