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【第43回】特定技能分野別解説③~製造三分野~

長久手市の在留資格(ビザ)専門行政書士の竹内です。

今回も、つづきます。特定技能の分野別解説の3回目として、今回は「製造三分野」について書いていこうと思います。

特定技能は、23年8月現在12分野の特定産業分野が定められていますが、制度発足当初は14分野とされていました。これは、今回のテーマである「製造三分野」が、「素形材産業」、「産業機械製造業」、「電気・電子情報関連産業」に分かれていたためです。その後、この3つが統合され「製造三分野」となり、特定産業分野も14分野⇒12分野となりました。

【従事することができる業務の内容】

・下記の条件を満たす外国人が、下記の要件を満たす事業所で行う一定の製造業に従事する活動

・日本人従業員と同様に、主たる業務に関連する業務に付随的に従事することも認められます。

【外国人の方の要件】

☆特定技能1号☆(次の「〇」のいずれかに該当すること)

〇技能実習2号良好修了者(指定職種・指定作業)

〇試験等合格者(次のいずれにも該当するもの)

ⅰ.技能水準(次のいずれかに合格した者)

・製造分野特定技能1号評価試験(機械金属加工)

・製造分野特定技能1号評価試験(電気電子機器組立て)

・製造分野特定技能1号評価試験(金属表面処理)

ⅱ.日本語能力(次の試験に合格した者)

・「国際交流基金日本語基礎テスト」又は「日本語能力試験(N4以上)」等

☆特定技能2号☆(次の「ⅰ及びⅱ」のいずれにも該当する者)

ⅰ.技能水準試験(次のいずれかに該当する者)

・製造分野特定技能2号評価試験(各種のいずれか)及びビジネス・キャリア検定3級(生産管理プ
   ランニング又は生産管理オペレーション)の合格

・各種技能検定1級の合格​

ⅱ.実務経験

・日本国内に拠点を持つ企業の製造業の現場における実務経験(3年以上)​​​​

【事業所の要件】

・外国人が従事する事業所が「日本標準産業分類」に掲げる産業のうち次のいずれかに掲げるものを行っていること。​

① 細分類2194 鋳型製造業(中子を含む。)
② 小分類225 鉄素形材製造業
③ 小分類235 非鉄金属素形材製造業
④ 細分類2422 機械刃物製造業
⑤ 細分類2424 作業工具製造業
⑥ 細分類2431 配管工事用附属品製造業(バルブ、コックを除く。)
⑦ 小分類245 金属素形材製品製造業
⑧ 細分類2462 溶融めっき業(表面処理鋼材製造業を除く。)
⑨ 細分類2464 電気めっき業(表面処理鋼材製造業を除く。)
⑩ 細分類2465 金属熱処理業
⑪ 細分類2469 その他の金属表面処理業(ただし、アルミニウム陽極酸化処理業に限る。      ⑫ 小分類248 ボルト・ナット・リベット・小ねじ・木ねじ等製造業
⑬ 中分類25 はん用機械器具製造業(ただし、細分類2591消火器具・消火装置製造業を除く。)
⑭ 中分類26 生産用機械器具製造業
⑮ 中分類27 業務用機械器具製造業(ただし、小分類274 医療用機械器具・医療用品製造業及び小分類276 武器製造業を除く。)
⑯ 中分類28 電子部品・デバイス・電子回路製造業
⑰ 中分類29 電気機械器具製造業(ただし、細分類2922 内燃機関電装品製造業を除く。)
⑱ 中分類30 情報通信機械器具製造業
⑲ 細分類3295 工業用模型製造業

・上記の19に該当する製造業を行っている事業所で、外国人を業務に就かせる必要があります。​そして、このような業務を行っているか否かの判断は、当該事業所において「直近1年間」に上記に掲げるものについて「製造品出荷額等」が発生していることを指します。この製造品出荷額等とは、いわゆる売上その他の収入の合計であり、加工賃収入額、消費税・酒税・たばこ税・揮発油税及び地方揮発油税を含みます。

・製造品の出荷とは、その事業所が所有する材料等を用いてものを製造し、その事業所から他へその製品を出荷することを指し、他社や販売店への出荷のみならず、同一企業の他の事業所へ引き渡したもの等も含まれます。これに対して「加工賃収入額」とは、他の企業等の所有する材料を主たる材料として使用し、あるものを製造したりした場合に、これに対する対価として受け取った手数料等のことです。

・日本標準産業分類​は、総務省のホームページでも確認することができます。これは、日本の産業を国が基準として分類したもので、大きい方から順に大分類⇒中分類⇒小分類⇒細分類という4段階になっています。大分類はアルファベット、中分類は数字2桁、小分類は中分類の2桁の後ろに1桁加えた3桁、そして、細分類は中分類の3桁に1桁加えた4桁から成っています。上記19個の列挙されているものの中には、細分類(4桁)まで記載されているものもあれば、中分類(2桁)までしか記載されていないものもあります。ここで注意すべきは、どの分野であってもかならず「細分類(4桁)」まで確認することです。また、似たようなものであっても、用途や作業工程等によっては、全く違う産業分野として分類されているケースもあります。

・例えば、プレス機(板金設備を含む)を用いて眼鏡のフレームを製造​している会社が、その作業が「245 金属素形材製品製造業​」に当たると思っていたが、確認したら「3297 眼鏡製造業(枠を含む)​」という産業分野に該当するため、受入不可だった場合などです。

・この「製造三分野」に関しては、事業所単位で上記の産業分野に関する業務を行っていることが求められます。従って、たとえば、A工業株式会社の主たる業務は鉄素形材製造業​であるが、A工業の支店であるB工場では眼鏡のフレーム製造などの対象外業務のみをしているような場合に、B工場で特定技能外国人を受け入れることはできません。

・なお、製造三分野に関しては、上記に列挙した分類に属するものを「主として又は専ら」行っている必要はありません。よって、条件さえ満たせば、1つの事業所で、上記19の複数の産業分類の作業に従事する複数の特定技能外国人を受け入れることも可能となります。

【受け入れ機関その他の条件】

・派遣不可。必ず受け入れた事業所で業務に従事させる必要があります。

・経済産業省の組織する製造業特定技能外国人材受入れ協議・連絡会(以下、協議会)の構成員となること。

・経産省及び協議会に協力すること。

・上記のように他の産業分野でも求められる事項に加え、製造三分野で外国人を受け入れる受け入れ機関には、受入時の訓練又は研修の実施義務、請求があった場合の実務経験証明書の交付義務が課されています。

・前者については、特に特定技能外国人が技能実習で従事した職種とは異なる業務に従事させる等の場合には、労災防止のための十分な研修・訓練を行うことが求められます(安全衛生教育含む)。​

・後者については、例えば、特定技能外国人が転職する際に、その転職手続の際に必要となる実務経験証明書を、旧受入機関がその就業を妨げる目的で、その発行を拒むようなケースが想定されていると考えられます。このようなことをした場合は、欠格事由に該当し、特定技能外国人の受入及び受け入れ継続ができなくなるということになります。

 

以上、今回は「製造三分野」について書いてきました。建設分野に次いで、ややこしい=わかりにくい分野の一つと言えますね。

最後まで読んでいただきありがとうございました。​​