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【第47回】留学生の就職活動について

長久手市の在留資格(ビザ)専門行政書士、竹内です。

今回は、前回まで続いていた「特定技能」の分野別解説を一旦休止して、違うテーマで書いていこうと思います。理由は、ちょっと似たような内容のブログが続きすぎて私も飽きてしまったからです笑

「特定技能」の件は、また気が向いたら続きを書いていきます。

というわけで、今回は「留学生の就職活動」について書いていこうと思います。このテーマにしたのは、ちょうど先週のブログで書いた勉強会でやったテーマについてのまとめ的なものを書いておきたいと思ったからです。

まず、卒業後に日本に残って、日本で働きたい留学生は大学等在学中に日本の学生たちと同じように就職活動をします。そこで内定をもらえれば、「留学」の在留資格(ビザ)から就労系の在留資格への変更許可を受けて、就職先の企業等での社会人生活をスタートさせます。

しかし、すべての日本で就職を望む留学生が内定を勝ち取れるとは限りません。内定が得られない留学生もいるでしょう。そのような場合に備えて、入管は、「就労」ではなく、「就職活動そのもの」を在留の目的とする在留資格(ビザ)(以下、就職活動目的ビザという)を創設しています。

ただし、どのような生徒・学生であっても「就職活動目的ビザ」が取得できるわけではありません。原則として、下記のようになっています。

 

【就職活動目的ビザが取得できる留学生】

・大学(短期大学・大学院含む)を卒業・修了した者

・専修学校の専門課程を卒業した者で一定の条件を満たす者

【就職活動目的ビザが取得できない留学生】

・日本語学校卒業者(海外で大学又は大学院を卒業・修了している者は除く)

・高等学校以下卒業者

 

簡単に言うと、最低でも「専修学校の専門課程卒業者以上」でないと就職活動目的ビザは取得することができません。

例えば、海外で高等学校を卒業後、日本へ来て、日本語学校で2年間日本語を学んだ留学生が、その日本語学校を卒業後に就職活動をしたいと思っても、原則、就職活動目的ビザは取得できません。

ただし、例えば、海外で大学を卒業後、日本へ来て、日本語学校で2年間日本語を学んだ留学生は、上記のパターンとは異なり、就職活動目的ビザが取得できます。

このように、学歴で線を引いている理由は、入管法のスタンスにあります。

仮に、このような線引きをせずに無制限に外国人就職活動者の在留を認めてしまうと様々な問題が生じます。まず、日本人の就職口が更になくなってしまいます。また、安い賃金でも働いてくれる外国人が、いまだ沢山いることから、劣悪な労働条件で働かされる労働者が増えたりもするでしょう。それによる治安の悪化なども考えられます。

つまり、日本人の生活や日本の環境を守るために線引きをしているのです。

しかし、いかなる外国人も就職活動は認めない!というスタンスは、それはそれで問題です。

そこで、一定程度の能力のある人材にはそういう機会を与えよう、として設定されたのが、この「専修学校の専門課程卒業者以上」という線引きなのです。

 

さらに、「大卒以上」と「専修学校の専門課程卒業者」の間にまた線が引かれています。

簡単に言うと、大卒者以上は専修学校の専門課程卒業者より要件が若干緩いです。

例えば、大卒以上の留学生は、専攻にかかわらず、就職活動目的ビザが取得できるのに対し、専修学校の専門課程卒業者は、就職時のみならず、専攻と職務内容の関連性が就職活動目的ビザの取得のための審査の際にも関わってきます。

 

【与えられる在留期間】

原則として6カ月です。その後、在留状況・滞在費支弁能力に問題なければ、1回の更新が認められて、最長1年間就職活動が可能です。

 

【再入国許可、アルバイト(資格外活動許可)]

いずれも認めれらます。つまり、就職活動しながらアルバイトしたり、母国の実家に帰ったりすることもできます。

 

【その他の注意事項】

・卒業等した大学等から推薦してもらえることが必要です。つまり、いくら留学生本人が「卒業後も就職活動を継続したい」と思っても、学校側から推薦してもらえないのであれば就職活動目的ビザは取得できない仕組みになっています。例えば、卒業はしたものの、出席状況も悪く、いつも課題の提出期限に遅れている等の問題があると、学校側が推薦してくれない可能性もあります。なお、このような状況であっても学校側が推薦してくれる場合があるかもしれません。しかし、入管側の審査で引っかかることも十分に考えられます。要するに、在学中はまじめに真摯に勉学に励め、ということですね。

・この「就職活動目的ビザ」の大前提に「卒業前から就職活動を行っていた者がそれを継続する」ということがあります。つまり、在学中から就職活動をしていたが、内定がもらえなかった人が、卒業後も就職活動を続けるための在留資格(ビザ)です。従って、在学中はほとんど就職活動をしていなかったにもかかわらず、単に卒業後も日本に残りたいという学生は、この就職活動目的ビザを取得することはできません。在留資格(ビザ)の変更申請の際に、就職活動を行っていたことを証明する資料も求められます。

・海外の大学又は大学院を卒業し、その後、日本の日本語学校を卒業した留学生の就職活動目的ビザに際しては、留学生本人の条件に加えて、その在籍していた日本の日本語学校にも厳しい条件が課されているので、この制度を利用しようとする留学生は、その部分も考慮した学校選びが必要となってきますね。

 

以上、留学生の就職活動について書かせていただきました。なお、これは最低限の内容であり、かつ、制度はどんどん変わる可能性があります。現に、日本語学校卒業者の就職活動目的ビザに関しては、2023年8月に日本語学校側の条件を緩和しようという動きがあるとの報道がなされています。

常に最新の情報を確認してくださいね。それか、我々専門家を頼ってください。

最後までお読みいただきありがとうございました。