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【第52回】特定技能分野別解説⑨~農業分野~

長久手市の在留資格(ビザ)専門行政書士の竹内です。

最近、一気に寒くなってきましたね。私も、つい数週間前までは、布団1枚で、半そでシャツで寝ていましたが、気づけば、重ね着&毛布追加して寝ています。

夏よりも冬が嫌いなので、これからの季節は憂鬱です。でも、頑張っていきましょう!

 

というわけで、今回は前回からのつづき、特定技能の分野別解説の第9弾『農業分野』です。

農業分野及び次回予定している漁業分野においては、他の分野では許されていない派遣形態での雇用が認められているという大きな違いがあります。その他の詳細についても見ていきましょう!

 

【特定技能外国人が従事することができる仕事の内容】

☆特定技能1号☆

耕種農業全般(栽培管理、農産物の集出荷・選別等)

畜産農業全般(飼養管理、畜産物の集出荷・選別等)

☆特定技能2号☆

上記の業務及びその業務を管理する業務

※農業分野で従事できる業務は、上記の2つ(耕種農業・畜産農業全般)ですが、共通として農産物又は畜産物の管理が主たる業務となりますので、当該管理業務が含まれない場合は特定技能の在留資格の該当性が認められません。さらに、農畜産物管理を主たる業務としつつ、農産物・畜産物の集出荷・選別等の業務にも幅広く従事する必要があります。つまり、栽培管理・飼養管理のみに従事することも認められません。

※また、他の産業分野と同様、上記の主たる業務に付随して、関連業務に従事することも問題ありません。例えば、農畜産物の製造、加工、運搬、販売、冬場の除雪作業などがその代表例です。

【外国人本人の要件】

☆特定技能1号☆

〇技能水準試験の合格

耕種農業全般 → 1号農業技能測定試験(耕種農業全般)

畜産農業全般 → 1号農業技能測定試験(畜産農業全般) ​

〇日本語能力試験の合格

両方共通 → 日本語能力試験(N4以上)​等

☆特定技能2号☆

〇技能水準試験の合格

耕種農業全般 → 2号農業技能測定試験(耕種農業全般)​

畜産農業全般 → 2号農業技能測定試験(畜産農業全般)

〇実務経験要件

・耕種農業若しくは畜産農業の現場において複数の作業員を指導しながら作業に従事し、工程を管理する者としての2年以上の実務経験又は耕種農業若しくは畜産農業の現場における3年以上の実務経験

※前回からの繰り返しになりますが、制度の見直しが行われている特定技能制度において、新制度では、特定技能2号の取得の要件に日本語能力試験(N3以上)の合格が課される予定となっています。現行制度では、特定技能2号については日本語能力要件は課されていません。

※なお、主として畜産農業全般を取り扱う農業者(又は派遣先)において、複合的に耕種農業全般も業務として取り扱っている場合は、畜産農業全般区分の特定技能外国人も、他の日本人従業員と同様に「付随的に」耕種農業の業務に従事することは認められます。ただし、「日本人従業員と同様に」ですので、他の日本人従業員が通常行わない業務を、特定技能外国人にのみ行わせるような場合は認められません。

【受入機関(特定技能所属機関)等の要件】

(1)労働者派遣をしようとする場合には、その派遣元である受入機関が次のいずれかに該当すること。

①農業又は農業に関連する業務を行っている者であること​

②地方公共団体又は①に掲げる者が資本金の過半数を出資していること。​

③地方公共団体の職員又は①に掲げる者若しくはその役員若しくは職員が役員であることその他地方公共団体又は①に掲げる者が業務執行に実質的に関与していると認められる者であること。​​​​

④派遣先が国家戦略特別区域法第16条の5第1項に規定する「特定機関」であること。

※上記の①~④のいずれかに該当した上で、所管大臣との協議において「適当である」と認められる必要があります。​

「①」→農業経営者又は農業協同組合や農業者が組織する事業協同組合等​が想定されています。

「②」→「①」又は地方公共団体が資本金の過半数を出資している者です。なお、複数の機関等から出資を受けても差し支えありませんし、その場合、その複数の機関からの出資の合計が過半数であればOKです。

「③」→農業経営者や農業協同組合、地方公共団体の職員等が農業分野に関する業務の運営に指導や助言等を行うことにより関与することとされていること等が想定されており、しかも、継続的にそのような業務を行っていなければなりません。

☆上記の条件を満たす受入機関が、労働者を6月以上継続して雇用した経験を有する派遣先又は派遣先責任者講習等を受講した者を派遣先責任者(労働者派遣法第41条に規定する派遣先責任者をいう。)として選任している派遣先に当該外国人に係る労働者派遣をすることが必要です。

※なお、派遣先の対象地域については、派遣元責任者​が苦情処理を含めた外国人労働者の雇用管理を適切に行うことができる範囲となっている​​

(2)直接雇用の場合

①次のいずれかの条件を満たす必要があります。

​a.過去5年以内に同一の労働者(技能実習生を含む)を少なくとも6か月以上継続して雇用した経験(法人の場合、業務を執行する役員が個人事業主として雇用した経験も含まれます。)があること。

b.​過去5年以内に6か月以上継続して労務管理に関する業務に従事した経験があること。

※この「6カ月以上継続して雇用・労務管理」とは、同一の人物を6カ月以上継続して雇用したことを意味するので、例えば、複数回に分けて1人の労働者を雇用した場合に、その合計の勤務期間が6箇月を超えたとしても基準は満たせないということになります。​

※「b」については、子が農業経営を行う親の下で労務管理に関する業務を行っていた場合や労務管理に関する業務の経験がある農業法人の従業員が新たに独立する場合等が想定されているとのことです。

(3)共通条件(直接雇用・派遣)

・農業特定技能協議会​へ加入し、その行う情報の提供、意見の聴取、調査その他の活動に対し、必要な協力をすること。​​

・派遣元の場合は、派遣先も↑の協議会への協力を行うこと。

・登録支援機関に全部委託する場合には、その登録支援機関も協議会への協力条件を満たすこと。​

・外国人から在職証明書等の交付の依頼を受けたときは、拒まずにしっかり交付・提供すること。

 

※以上、簡単にですが特定技能「農業分野」の分野別解説の主な内容とさせていただきます。

最後までお読みいただきありがとうございました。