長久手市の在留資格(ビザ)専門行政書士の竹内です。
昨日は強風が吹き荒れるものすごい一日でしたね。私は、一応休むだったので、外に出ずに1日中読書しておりましたので何も問題なかったのですが、外はすごそうでしたね。そして、私がかつて3年半ほど暮らした富山市の映像をテレビで見たら、雪国の様相を呈していたので「あ~、冬なんだなあ」と実感した次第でございます。
というわけで、今回は「特定技能」の在留資格(ビザ)の特定産業分野別解説のつづきです。今回は「外食業分野」ですね。ついに、このシリーズ最終回を迎えます。このシリーズを進めている最中に、技能実習制度の新制度最終報告等がなされ、特定技能制度に関しても内容が変わっているところがありますので、それぞれのブログは、その日現在の情報に基づいて書いているものとして認識していただき、参考にしていただければと思います。
それでは行きましょう。
【外国人の方が従事できる仕事内容】
特定技能1号 → 外食業全般(飲食物調理、接客、店舗管理)
特定技能2号 → 外食業全般(飲食物調理、接客、店舗管理)及び店舗経営
※外食業全般とは、具体的には次のような業務です。厨房における調理及びそれに付随する業務、ホールスタッフの業務(客の席への案内、料理の提供、クレーム対応を含む接客、メニューの案内、カトラリーのセット、レジでの会計対応等)、その他上記以外の業務(シフト管理、店舗の衛生管理・清掃、備品等の管理、各種事務、ポップ等店内掲示物などの作成等)など、要するにレストラン等の現場において必要とされるほぼ一切の業務が含まれます。
※なお、間違って認識してはいけないのは、上記のような業務に「幅広く従事」する必要があるということです。つまり、厨房での調理のみ、ホールスタッフ業務のみ、など一部の業務内容のみを行う場合は、特定技能の在留資格で許されている活動としては認められないということになります。ただ、例えば在留期間中の一部の期間のみ厨房での調理に集中的に就かせるが、その期間以外は、外食業全般に幅広く従事させる、というようなケースは認められます。
※特定技能2号の「店舗経営」とあるのは、店舗をトータルで管理するために必要な業務です。具体例としては、店舗の経営分析、経営管理、契約に関する事務等です。しかし、自身が会社を立ち上げて、その会社を立ち上げて文字通り「経営者として運営する」場合は、特定技能ではなく「経営・管理」の在留資格(ビザ)となります。つまり、特定技能の外食分野における「店舗経営」とは、あくまでも1機関に雇用される従業員として、当該店舗の管理をするような活動を想定しています。ちなみに、特定技能2号の場合は「店舗経営」の業務を行いながら、外食業全般(飲食物調理、接客、店舗管理)の業務も並行して行うことができます。特定技能2号における外食業分野の外国人の方は、レストラン等における店長的なイメージでいいかと思います。(基本的にはバックヤードにいて従業員・店舗管理をメインとしつつも、繁忙時等には接客や調理にも従事する、というようなイメージ)
※なお、他の特定産業分野同様、当該対象となる業務に従事する日本人が通常従事することとなる関連業務に付随的に従事することは差し支えありません。
【外国人の方本人の要件】
☆特定技能1号☆
技能水準要件 → 外食業特定技能1号技能測定試験の合格
日本語能力要件→ 日本語能力試験N4以上又は国際交流基金日本語基礎テストの合格
☆特定技能2号☆
技能水準要件 → 外食業特定技能2号技能測定試験の合格
日本語能力要件→ 日本語能力試験N3以上の合格
実務経験要件 → 食品衛生法の営業許可を受けた飲食店において、複数のアルバイト従業員や特定技能
外国人等を指導・監督しながら接客を含む作業に従事し、店舗管理を補助する者(副店長、サブマネージャー等)としての、2年間の実務経験。
※「2年間の実務経験」については、一定以上のブランクがないことが条件となります。つまり、そのような経験があっても、その会社等を退職し、その業務に就かなくなってから概ね5年(10年を超えない範囲に限る)を経過していると、実務経験として認められない可能性があります。
【受入機関の要件・就業場所の要件(事業所要件)】
まず、事業所要件です。これは、実際に外国人の方が労働する場所(事業所)に課された条件です。特定技能の在留資格(ビザ)で雇用された外国人の方が働くことができるのは、主に以下のような事業所です。
・レストラン、喫茶店等のいわゆる飲食サービス業が行われている場所
・テイクアウト専門店
・飲食物のデリバリー店
・ケータリング、給食の調理場
※基準として、飲食料品を提供する相手が特定されている事業場での業務従事が必要です。
※したがって、飲食料品を提供する相手自らがその飲食料品を消費するのではなく、不特定の消費者に販売する目的で仕入れる者である場合は、B to B取引である卸売りに該当するため対象外。給食調理場は、そうではないため認められます。
※なお、外食業分野に該当する事業所であるか否かの判断基準は、その該当する分野の売り上げが当該事業場の「主たるもの」であることは要件とされていません。この部分が「飲食料品製造業分野」とは異なる点です。つまり、外食業分野に関しては、例えば、ホテル内のレストラン(通常は、宿泊業が主たる売り上げ)であっても、要件を満たせば働かせることができます。
☆受入機関の要件☆
➀風営法関連の事業所(パチンコ、クラブ、キャバクラ、性風俗、バー等)ではないこと。
➁外国人にキャバクラのような接待を行わせないこと。
③外食業分野における特定技能外国人の受入れに関する協議会の構成員となること。
④「③」の協議会が行う調査、情報収集等の活動に対し、必要な協力をすること。
⑤農林水産省が行う調査、指導その他の活動に対し、必要な協力を行うこと。
⑥登録支援機関に外国人支援業務を「全部委託」する場合には、その登録支援機関も「③~⑤」に該当すること。
⑦雇用契約締結の際に、当該外国人のキャリアアップ(職務経験又は職業訓練等の職業能力の開発の機会を通じ、職業能力の向上並びにこれによる将来の職務上の地位及び賃金をはじめとする処遇の向上が図られることをいう。)を図るための計画について書面(又は電磁的記録)を交付し、又は提供して説明をすること。(昇格のルートの説明、昇給に必要な条件、標準的なキャリアアップに要する期間等)
⑧特定技能外国人から、在職中又は退職後に関わらず、在職証明書等を請求された場合には、必ず応じること。
以上が、特定技能の在留資格(ビザ)の「外食業分野」に関する分野別解説となります。
今回をもって、特定技能の産業分野別解説は最終回となります。もちろん、この先新制度の内容が確定したり、新たな特定産業分野の追加等も想定されますので、そのような場合にはまた特定技能について書こうと思っています。
最後まで読んでいただきありがとうございました。