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【第59回】定住者

長久手市の在留資格(ビザ)専門行政書士の竹内です。

早いもので2024年が始まってもう1カ月が過ぎますね。能登地震と羽田空港の航空機衝突事故という衝撃的な出来事で幕を開けてしまったこともあり、通常であれば1月中旬くらいまで年始ムードが続いているのが、今年は正月明けには通常モードに戻っていたように感じます。

とにもかくにも、今年はこれ以上悪いことが起こらないよう願います。

というわけで、今回は数ある在留資格(ビザ)の中でも複雑な部類に属する「定住者」という在留資格(ビザ)について書いていこうと思います。

 

【「定住者」についての概要】

・「定住者」は、「法務大臣が特別な理由を考慮し一定の在留期間を指定して居住を認める者​」というように定められています。

・在留資格は、大きく分けて「別表第一」と「別表第二」に分けられています(入管法)。「別表第一」には、主に就労系の在留資格が、「別表第二」には居住系の在留資格が定められています。「別表第一」には技術・人文知識・国際業務、経営管理、特定技能、技能実習などのいわゆる就労するための在留資格に加え、留学・研修・家族滞在などの就労資格・居住資格のいずれにも属さない在留資格が定められています。そして「別表第二」には、永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、そして、今回のテーマである定住者、いわゆる居住資格の在留資格が定められています。

・「定住者」は、上記で述べた「別表第二」の定住者以外の3つの在留資格(ビザ)のいずれにも該当しない外国人のうち、何らかの特別な事由がある場合に、法務大臣がそれを考慮して特別に居住(日本に入国し、生活する)を認める場合に決定される在留資格なのです。

 

【「定住者」の種類】

・「定住者」には、2つの種類があります。1つ目は「告示定住」、2つ目は「告示外定住」です。

・「告示定住」とは、法務大臣があらかじめ告示で「〇〇という条件の外国人は、法務大臣に確認しなくても、入国審査官が判断して許可してもいいよ」と認めている類型です。「定住者」という在留資格は、原則として、その都度法務大臣が個別的に判断して、在留を認めるか否かを決めるものですが、全てのケースにおいてそのようなことをするのは事実上無理です。従って、ある程度多い類型をあらかじめ告示で定めておいて、その告示に該当する者は、法務大臣ではなく、入国審査官の裁量で「定住者」の在留資格を与えてもいいよ、という制度が「告示外定住」なのです。

・「告示定住」には次の7つが定められています。(2023年現在)

1号 : 第三国定住の難民の受け入れ対象者

2号 :(削除)

3号 : 日系2世及び3世

4号 : 日系3世

5号 : 日系2世・3世等の配偶者

6号 : 日本人・永住者等・定住者その他の者の扶養を受けて生活する未成年未婚の実子

7号 : 日本人・永住者等・定住者その他の者の扶養を受ける6歳未満の養子

8号 : 中国残留邦人等及びその親族

※告示定住は、日系人に関する告示が多いです。日系人とは、日本人と血のつながりがある者等です。例えば、日本人の祖母を持ち、母が外国人でその子として生まれた外国人Aさん(日本人の子として出生した者の実子)は定住者告示3号に該当します。

※日系人に関しては、父母や祖父母との身分関係が重要となるため、それを証明する資料をしっかり集めて申請することが必要になります。

・「告示外定住」とは、前述の「告示定住」のようにあらかじめ定められた類型ではなく、まさしく、法務大臣が個別の判断で許可するか否かを決めるものです。

・「告示定住」との大きな違いの一つとして、「在留資格認定証明書」が得られるか否かということがあります。つまり、「告示定住」の場合は、海外から新しく来日する外国人も「在留資格認定証明書交付申請」をして、許可されれば日本で定住者の在留資格を持って在留を開始することができますが、「告示外定住」ではそれができません。「告示外定住」は、既に他の在留資格を持って日本に在留している外国人に、特別な事情が生じた場合に、法務大臣が「それなら仕方ないね」と認めてもらったときに、もともと持っていた在留資格から定住者の在留資格へ変更するというプロセスが必要となります。

・「告示外定住」については、個別の判断に基づいてその都度判断すると述べましたが、実は、ある程度典型的な類型も存在しています。以下、そのごく一部を示します。

 

・日本人等と離婚した外国人

・日本人等の配偶者と死別した外国人

・日本人等との間に出生した子を扶養する外国人

・日本人等との婚姻が破綻してしまった外国人

・日本人の特別養子として在留していた者が離縁した場合

・難民不認定処分後に特定活動の在留資格をもって在留している者

・上陸許可基準不適合が判明した永住者

 

※例えば、リストの1番上の「日本人等と離婚した外国人」は、「離婚定住」と呼ばれる典型的な「告示外定住」の類型です。日本人等と概ね3年以上正常な婚姻関係・家庭生活が継続していたこと、今後独立して生計を営むことができること、生活に困らない程度の日本語能力があること、公的義務を履行していること等の条件を全て満たせば、離婚後も「定住者」として日本での在留を継続することができます。

 

以上、今回は「定住者」の在留資格(ビザ)について簡単に紹介・説明させていただきました。

最後までお読みいただきありがとうございました。