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【第64回】外国人留学生受入促進の新制度

長久手市の在留資格(ビザ)専門行政書士、竹内です。

 

ついに来ましたね。花粉。

ここ数年、比較的大人しかったのですが、2月下旬あたりから鼻水が出始め、今(3月4日)現在は、だらだらです。でも、数年前の最悪な時期に比べたら、鼻水が止まっている時間帯もあるのでまだマシだと言えるかもしれません。

いずれにせよ、これからが怖いですね。

というわけで、今回もスタートです。

 

今回は、標題にあるように「外国人留学生の受入れの促進」を目的とした、制度(正確には既存の制度での受け入れの範囲を拡大)が、2024年2月29日付けで入管庁から発表されましたので、その制度について書いていこうと思います。

 

【受け入れ範囲の変更があった在留資格(ビザ)]

①技術・人文知識・国際業務

➁特定活動告示46号「本邦大学卒業者」

 

【①技術・人文知識・国際業務】

★これまで

・まず、この「技術・人文知識・国際業務」の在留資格(以下「技人国」と言います)についての概要は、第8回ブログ(だいぶ遡りますが笑)をご参照ください。

・技人国のうち「技」と「人」の部分については、大学や専修学校専門課程での専攻が、就職先・勤務先での職務内容と関連性があることが許可の要件の1つとなっていました(10年以上の実務経験で許可申請する場合を除く)。これは新たな制度でも変わりません。

・この場合において、大卒者(短大含む)以上の学歴を持っている留学生は、その専攻内容と職務内容が比較的緩やかに判断されていますが、専修学校専門課程卒業者は、それが大卒者以上に比べて厳しく判断されていました。つまり、企業(採用する側)から見れば、大卒者を採用する方が専修学校専門課程卒業者よりリスクが低いことになります。

★これから(新制度)

・これまでとは違い、以下の条件を満たす専修学校専門課程修了者に関しては、大卒者以上と同様に技人国の在留資格の許可の可否を判断することになりました。

条件:文科大臣による「外国人留学生キャリア形成促進プログラム」の認定を受けた専修学校専門課程を修了していること。

※この認定制度は、2023年6月に創設された制度です。この「外国人留学生キャリア形成促進プログラム」の認定を受けた専修学校の専門課程を修了した留学生が、卒業して就職するために技人国への在留資格を変更する際には、これまでとは異なり、その専攻と職務内容の関連性は、大卒者以上の留学生と同様に、比較的緩やかに判断される、つまり、就職できる範囲が拡大すると言い換えることもできます。

【外国人留学生キャリア形成促進プログラムの認定条件】

・認定条件をかなり大雑把に挙げると、以下の4つのすべて満たすこととなります。

①職業実践認定課程の認定を受けていること。※1

②その専修学校の経営状態がいいこと

③その学科における外国人留学生の割合が、日本人学生の半分以下であること等(日本人学生との交流機会の確保)​

④その専修学校が、違法・不当な行為をするなど適切と認められないということがないこと

 

※1 企業等との連携の下、当該課程の目的に応じた分野における実務に関する知識、技術及び技能を教授し、職業に必要な実践的かつ専門的な能力を育成することを目的として既に存在していた認定制度。ある専門学校が、地元の企業と提携して、実際の職場での作業や職務を行わせるなどして、実務能力をつけることなどを授業の一環として取り入れていることなどがその例。

 

【②特定活動告示46号「本邦大学卒業者」】​

★これまで★

・こちらの『特定活動告示46号「本邦大学卒業者」』(以下、「特活46号」と言います)の概要については、こちらもだいぶ遡りますが、第24回ブログをご覧ください。

・この特活46号は、大学(短大除く)卒業者・大学院修了者に限って、ある意味就職の範囲を大幅に拡大した、日本の在留資格制度の大きな変革点と言ってもいいような制度です。

・しかし、その条件は厳しく(上記に加え、N1又はBJT480点以上の合格等の条件もある)、専門学校や短大卒では利用できない制度でした。

★これから(新制度)★

・新制度では、これまでの大卒者・大学院修了者に加えて、以下の留学生も対象とされます。

①一定の要件を満たした専修学校専門課程の学科※1を修了し、​高度専門士の称号を付与された留学生
②短期大学又は高等専門学校を卒業し、かつ、その後学士の学位を授与された留学生※2

※1 この「一定の要件を満たした専修学校専門課程」は、上記の​「外国人留学生キャリア形成促進プログラム​」認定を受けた専修学校専門課程と同じです。

※2 「②」の条件について簡単に説明します。この条件では、まず「短大又は高等専門学校を卒業」します。その後、独立行政法人 大学改革支援・学位授与機構が実施する審査に合格して「学士」の学位を授与されることが必要です。つまり、短期大学又は高等専門学校を卒業するだけではダメということです。

・独立行政法人 大学改革支援・学位授与機構は、大学等以外で学位を授与することができる唯一の機関であり、以下の条件を満たした者に対して、以下の順序で学位を授与します。

①基礎資格を有すること(短大卒、高等専門学校卒も基礎資格の一つ)

②その上で、大学や短大などで(学士を得るために足りない)単位の積み上げ

③レポートの提出等&論文(面接)試験に合格

④学位授与

 

今回の制度の改定の目的は、優秀人材の確保・定着及び専修学校等を卒業又は修了した外国人材に一層の活躍の機会を提供することにあります。

人材確保競争にも後れを取っている日本ではありますが、今後も高度人材の確保のための新たな制度が、人手不足を補う制度(育成就労等)とともにより進化していくものと思われます。

 

以上、今回はタイムリーな「外国人留学生の就職促進の新制度」について書きました。

最後まで読んでいただきましてありがとうございました。​