長久手市の在留資格(ビザ)専門行政書士の竹内です。が、今回からはその他の業務に関連するブログも書いていこうと思いますので、その意味では第1回目ですね。
ここ数日は、暖かい日が多く、我が事務所(自宅)の庭にある小さな桜の木は、2月下旬に満開を迎え、3月上旬には散っていしまいました。
とはいえ、また今週は寒い日が舞い戻ってくるようで、やはりそう簡単には春は迎えられませんね。まあ、何事も一歩いっぽ地道に頑張っていくしかないということでしょう。
というわけで、今週も行きましょう。
今回からは「会社」について書いていこうと思います。実は「会社法」(商法)は、行政書士試験の科目の一つでもあり、会社の憲法ともいえるべき「定款」の作成は行政書士の主要な業務の一つです。
今回は、その「会社」の基礎の基礎ともいえる会社の種類を紹介していこうと思います。内容的にはありふれた解説になるかもしれませんが、少しでも独特な解説をしようと思いますので最後まで読んでいただければ幸いです。
【そもそも「会社」とは?】
会社の種類を説明するためには、そもそも「会社」とは何か?というところから説明する必要があります。会社とは、一言でいうと「営利社団法人」です。
この「営利社団法人」を「営利」と「社団」と「法人」に分けて解説します。
まず「営利」とは、経済的な利益を獲得した上で、それを出資者に分配することをいいます。
次に「社団」とは、一定の目的のために集められた人の集団のことです。
最後に「法人」とは、私達人間(自然人)と同様に法律の上において可能な範囲内で自然人と同様の権利義務が認められている法律上の「人」です。
・つまり、「会社」とは「利益を獲得して、それを出資者に分配することを目的とした人の集団であり、自然人と可能な範囲内で同様の権利義務を有するもの」のことです。
ここでも注意としては、「営利」とは、単に利益を獲得することを目的としているわけではないということです。つまり、利益を獲得した上で、それを出資者に分配すること、ここまでを目的とする法人が営利法人なのです。
【会社の種類(大枠)】
上記で見てきた「会社」には、現行法上大きく分けると下記の2つの会社があります。
①株式会社
②持分会社
そして、上記②の持分会社は、さらに下記の3つに分類されます。
(1)合名会社
(2)合資会社
(3)合同会社
なお、今でもよく見かける「有限会社」というのは、現行法上は既にありませんので、新たに設立することはできませんが、その廃止前から存在している有限会社は、株式会社の一種として今も存続しています。
【株式会社】
①株式会社
出資者:株主(会社に対してお金などを出した自然人・法人)
出資方法:株式の取得(購入等)
会社の所有者:株主(複数の場合はその全員が共有しているような状態になる)
会社の経営者:取締役、執行役
設立方法:発起設立と募集設立の2種類
会社意思決定機関:株主総会又は取締役会
議決権:1株式(1単元株式)につき1つ
株式会社は、出資者(=株主)がお金等を出資して、そのお金を基に経営者(=取締役や執行役)がその会社の経営を行い、その事業の結果として得られた成果(利益やもうけ)を、出資者(=株主)に還元するという仕組みの会社です。
従って、株式会社では、原則として、所有者と経営者は異なります。これが、いわゆる「所有と経営の分離」というものです。ただし、これはあくまでも原則であり、所有者=株主という株式会社も存在します。例えば、出資者(=株主)が1人で、その株主が取締役となって経営するいわゆる1人会社なども会社法上禁止されているわけではありません。
ただし、「所有と経営の分離」というのが株式会社の原則です。
そして、株式会社の出資者は「間接有限責任」を負います。
この「間接有限責任」とは、出資者は会社債権者等に対して直接の責任を負わず、かつ、出資額を限度とした責任しか負わないというものです。
例えば、AさんはX株式会社に対して、500万円を出資し株主となったとします。この場合において、X株式会社が倒産し、会社の債権者に対して債務(借金等)が1億円あるとしても、Aさんは、出資した500万円こそ帰ってきませんが、それを超える負担(責任)は発生しません。つまり、債務の債権者(借金などを「返せ」と請求する権利がある人等)に対して「間接」的、かつ、有限(出資額である500万円を限度とする)の責任を負っているため、「間接有限責任」なのです。
この「間接有限責任」は、株式会社に投資(出資)する人にとってもリスクが少なく、出資がしやすい結果となります。
株式会社の意思決定は、原則として「株主総会」で行われますが、取締役会を設置することで、重大な決定を除き、「取締役会」で行うことになります。
【持分会社】
会社の所有者:社員
会社の経営者:社員
設立方法:とくになし
会社意思決定機関:社員、代表社員、社員総会等
議決権:持分。1人につき1つ(原則)
持分会社は、上述した通り3つのタイプの会社に分類されますが、その3つの違いは、社員(=出資者)の責任の範囲です。以下、見ていきましょう。
②(1) 合名会社
社員の責任:全員が直接無限連帯責任を負う
メリット:設立時には出資が必要ない。1人設立可能。定款認証不要。
持分の譲渡:原則、社員全員の承諾が必要
出資:金銭等の他、労務の提供や信用を出資の目的とすることも可能。
持分の払い戻し:可能
配当方法:原則【出資額に応じた割合】例外【定款で定めた方法】
合名会社は、その構成する社員(=出資者)の全員が無限に連帯して責任を負います。これは、上記の株式会社の「間接有限責任」とは真逆です。
例えば、AさんがX合名会社へ500万円出資して、Xの経営に当たっていたところ、1億円の債務(借金)を抱えて倒産してしまったとします。この場合、X合同会社が、その債権者に対して負っている債務(借金)は、Aさんが直接Xに対して負っていることになるので、出資額の500万円に限定されず、自己の資産を使ってでも返済しなければならないことになります。出資者が複数いる場合は、その全員が連帯してその責任を負います。そのため「直接無限連帯責任」というのです。
そのため、メリットとして、設立時に費用が要らない(簡単)、1人でも設立可能、金銭によらずとも、例えば有名人で業界に対して顔が効く社員はその信用を金銭に換算した額を出資の目的とすることができたり、働くことを金銭換算して出資の目的とすることもできる、ということが挙げられます。
②(2) 合資会社
社員の責任:直接無限連帯責任及び直接有限連帯責任
メリット:2人以上で設立可能、設立時には出資不要(有限責任社員も)、定款認証不要
持分の譲渡:原則、社員全員(有限・無限共に)の承諾が必要
出資:直接無限連帯責任を負う社員【金銭等の他、労務の提供や信用を出資の目的とすることも可能】
直接有限連帯責任を負う社員【金銭その他の財産に限られる。労務提供などは不可】
持分の払い戻し:可能
配当方法:原則【出資額に応じた割合】例外【定款で定めた方法】
合資会社は、合名会社で説明した直接無限連帯責任を負う社員(以下、無限責任社員)と直接有限連帯責任を負う社員(以下、有限責任社員)の両方がいる持分会社です。
したがって、株式会社や合名会社、後述の合同会社とは異なり、1人では設立できません。
有限責任社員の出資の目的は、「有限である」ということもあり、無限責任社員のような労務の提供や信用を金銭に換算してそれとすることができません。
②(3)合同会社
社員の責任:全員が間接有限責任社員
メリット:1人でも設立可能、定款認証不要、社員の責任が株式会社の株主とほぼ同様
持分の譲渡:原則、社員全員の承諾が必要
出資:金銭その他の財産
持分の払い戻し:可能だが、一定の財源規制あり。
配当方法:原則【出資額に応じた割合】例外【定款で定めた方法等】
株式会社と並び、近年設立が増えてきているのがこの「合同会社」です。会社として設立されるのは、1位が株式会社、2位が合同会社であり、その2つのタイプが設立された会社の大半を占めます。
合同会社のメリットは、なんといっても「間接有限責任」でしょう。つまり、合名会社の社員のように、自己の財産から会社の債権者に対して借金を返済したりする必要はなく、また出資額を限度とした「有限責任」しか負わないため、リスクは合名会社や合資会社よりかなり低くなり、設立しやすい持分会社と言えます。
そのかわりに、合同会社の社員(=出資者)は、遅くとも会社の設立登記までに、出資を履行しなければなりません。この部分は、無限責任社員のみで構成される合名会社等とは異なります。
日本ではまだまだ知名度は低いですが、この先どんどん数が増えていくことが予想されます。
以上、今回は「会社」の種類についてかなりざっくりですが書かせていただきました。
最後までお読みいただきありがとうございました。