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【第74回】委員会設置会社

長久手市の在留資格(ビザ)専門行政書士、竹内です。

ゴールデンウィークも終わり、普通の1週間が本格的に始まりましたね。

ところで、今週末には、体操競技のオリンピック代表選考会の最終選考となるNHK杯が開催されますね。今から楽しみにしています。​私のプロフィールを見ていただいた方はご存じかと思いますが、私は大学生まで体操競技をやっていましたので、いまだに体操を見るのは大好きですね。

ある意味、オリンピック本番より緊張すると言われる選考レース、選手の皆様はめちゃくちゃ大変ですが、悔いのない素晴らしい演技を期待しています。

では、今週も元気に始めましょう!

今回も、まだまだ続きます「会社シリーズ」です。今回も、株式会社に関する事項をテーマに書いていこうと思います。今回は、いわゆる「委員会設置会社」についての概要を書いていこうと思います。

 

【委員会設置会社とは?】

委員会設置会社とは、大きく分けて以下の2つのものがあります。

①監査等委員会設置会社

②指名委員会等設置会社

 

【監査等委員会設置会社とは?】

この監査等委員会設置会社は、比較的新しい株式会社の形態です。

名前に「監査」と入っているところからも、監査役などとの関係がどのようになるのかということが疑問だと思います。

委員会設置会社(指名委員会等設置会社含む)は、取締役会の設置が義務付けられます。そして、取締役会設置会社には監査役の設置も義務付けられるのが原則です。

しかし、一定の場合には、取締役会設置会社でも監査役を置かないことができます。そこで出てくる選択肢の一つのがこの監査等委員会設置会社なのです。

この「監査等委員会設置会社」では、まず、株主総会で「監査等委員」という取締役を選任します。なお、この「監査等委員」は他の取締役とは区別して選任しなければなりません。

上記のように選任された「監査等委員」である取締役が、「監査等委員会」を組織します。そして、その監査等委員会が(監査等委員以外の)取締役の職務の執行を監査するのです。

つまり、役割としては「監査役」と同じようなものです。

それゆえに、この監査等委員の過半数は社外監査役である必要があります。この理由も、監査役会と同様に、チェック機能をしっかり働かせるためです。つまり、内側の人間のチェックでは信用できないため、外部の人間を中心にしっかり監査をさせて、業務の適正を確保させることが目的だからです。

 

【指名委員会等設置会社とは?】

この指名委員会等設置会社も、上記の監査等委員会設置会社よりは古いものの、比較的新しい形態です。アメリカの上場企業をモデルにして導入されたようです。

この指名委員会等設置会社では、以下の3つの委員会が置かれます。

①指名委員会

②監査委員会

③報酬委員会

上記①~③をまとめて「指名委員会等」と呼んでいます。

この指名委員会等設置会社は、監査等委員会設置会社とは異なり、株主総会で取締役を選任した後、その取締役の全員で組織される取締役会で、各委員会の委員が選定されます。監査等委員が、株主総会で直接選任されるのとは異なります。また、各委員の兼任は可能ですが、監査委員と執行役・業務執行取締役等との兼任など、一部は認められません。理由は、監査する人=監査される人では意味がないからです(=経営陣からの独立性の確保)。

ちなみに、各委員会の委員は3名以上、そしてその過半数は社外取締役でなければなりません。

そして、この指名委員会等設置会社が他の株式会社の形態と決定的に異なる点が「執行役」の存在です。指名委員会等設置会社で会社の業務を執行するのは取締役ではありません。「執行役」が会社の業務を執行します。

この執行役は、取締役会が選任します。人数は1人でも2人以上でもOKです。なお、2人以上いる場合には、これまた取締役会が「代表執行役」を選任します。1人のときは、その人が自動的に代表執行役になります。指名委員会等設置会社を代表するのは、この代表執行役となります。

 

★指名委員会の役割

株主総会に提出する取締役の選任議案(要するに取締役候補者を誰にするかの具体案)を決定することです。つまり、通常の取締役会設置会社では、取締役会の決議で同議案を決定するところ、指名委員会等設置会社では、社外取締役が過半数を占める指名委員会がそれをすることにより、取締役候補者選定における透明性、客観性が見込まれ、慣習にとらわれない人選が期待できると言われています。

 

★監査委員会

監査委員会は、監査役と同じような役割を担います。つまり、職務の執行の監査と監査報告の作成です。しかし、通常の株式会社では「取締役」の職務執行の監査が監査役の役割ですが、前述のように、指名委員会等設置会社では、執行役が業務を執行するため、監査委員会は「執行役、取締役、いれば会計参与」の職務を執行を監査することが役割となります。また、上述のように、執行役等一部の兼任は認められません。(なお、兼任禁止は、その会社のみならず子会社まで及ぶものもあります。)

 

★報酬委員会

執行役、取締役、いれば会計参与の個人ごとの報酬等を決定する。なお、ここで言う「報酬等」は執行役等の個人別報酬であって、報酬の全額(役員等への報酬総額)は、定款又は株主総会で定めます。要するに、定款又は株主総会で決まった報酬を、個々の執行役等へどのように割り振るかを決めるのが報酬委員会の役割と言えます。

 

【指名委員会等設置会社における「執行役」と「代表執行役」】

上述のように、指名委員会等設置会社では取締役会が選定した執行役が業務を執行します。

執行役は、上述のとおり取締役会の決議で選任されますが、取締役会の決議で、いつでも解任できることになっています。

代表執行役は、取締役会の決議で選ばれた執行役の中から、更に取締役会が選定しますが、執行役は1人でもいいため、執行役が1人の場合には、何らの行為を要せずして、その者が当然に代表執行役となります。この代表執行役についても、取締役会の決議でいつでも解職できます。

代表執行役・執行役は、取締役会から任された権限の範囲内で、業務の執行のみならず、業務の執行の「決定」も行うことができ、広範な業務執行に関する権利が認められています。

 

以上、委員会設置会社について簡単に紹介しました。このタイプの会社は、大きな会社ですね。中小企業ではこのような形態は少ないと思います。

 

最後までお読みいただきありがとうございました。