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【第77回】株式会社の設立方法①~概要&発起設立~

長久手市の在留資格(ビザ)専門行政書士、竹内です。

6月1週目ですね。

先週末土曜日に、長久手市文化の家にて開催された「親と子のみどりの杜合唱団」による「とべないホタル」の公演を観てきました。実は、母がこの合唱団に入っているので、半ば強制的に鑑賞してきました。実は、こう言ったことが何回かあるのですが、今回も楽しく観させていただきました。

特に、小さな子供たちが必死に歌い、踊る姿はかわいらしく、見ていて飽きませんね。若いころは、はっきりいって子供が苦手でしたが、歳を取るにつれて、むしろ好きになってきました。

彼らがこれからの未来を背負っていく小鳥になりますからね。これからも応援しています!

ということで、6月も行きましょう!

 

6月も会社シリーズで行きます。今回は株式会社の設立方法に関連することを書いていこうと思います。今回は、あくまでも新規設立の場合を想定していますので、その旨ご承知のうえお読みいただければと思います。

 

【株式会社の設立方法】

これは、2種類あります。発起設立と募集設立ですね。

株式会社を設立するためには、いずれの方法による場合でも必ず「発起人」が必要となります。これは、1人でも複数でも、また、自然人(私たちのような普通の人間)でも法人(会社等)でも構いません。

その上で、上記2つの設立方法を見ていきましょう。

 

①発起設立

こちらは、新規設立では圧倒的に多いパターンかと思います。これは、株式会社の設立時に発行する株式(設立時発行株式)のすべてを発起人が引き受ける設立方法です。

例えば、Aさん(自然人)とB会社(法人)が共同でC株式会社を作るにあたり、設立に際して株式を100株発行することにした場合において、Aさんが50株、B会社が50株引き受けて会社を設立するときは、発起設立の方法となります。

 

②募集設立

募集設立は、名前の如く、設立時発行株式の一部について、発起人以外の引受人を募集し、出資してもらって、発起人と引受人が共同で会社を設立する方法です。

例えばAさん(自然人)が、R株式会社を設立するにあたり、設立時発行株式を100株発行する場合において、60株はAさんが引受け、40株は引受人を一般に募って、その引受人とともにR会社を設立するという方法が、募集設立です。

 

【発起人】

上記で少し説明しましたが、株式会社の設立には発起人が必要です。この発起人は、株式会社の設立に関してあらゆる事項を行うほか、必ず1株以上の設立時発行株式の引き受けもしなければなりません。そして、株式を持つことになる=会社が設立すれば株主になる、ということになります。

 

【発起設立の流れ】

①定款作成&公証人による認証

②出資の履行

③設立時役員等の選任

④設立時取締役等による設立手続の適法性等の調査

⑤設立登記(=成立)

 

☆①定款作成&公証人による認証

定款は、会社の憲法のようなものとも言われ、その会社の組織や運営等に関する基本となるルールをまとめたものです。

この定款は、単に作成すればよいのではなく、その作成したものが法令に違反していないか、不適切な事項が定められていないか等を公証人にチェックしてもらう必要があります。これが「認証」です。この認証を受けて初めて会社の「定款」となります。

なお、新規会社設立時に作成・認証された定款を「原始定款」といいます。定款は、実際に会社が成立し、運営を始めていく中で、変更をする必要が生じることもあります。しかし、変更をしても、改めて公証人の認証を受ける必要はありません。あくまでも、最初だけ定款認証が必要です(ただし、登記事項に係る変更をする場合には、登記の変更手続き等必要になる場合がある)。

なお、定款の記載事項については、3つに分けられます。

1.絶対的記載事項(必ず記載が必要)

例)目的、名称、本店所在地、発起人氏名・住所等

2.相対的記載事項(定めておかないと効力が生じない事項)

例)変態設立事項、種類株式等

3.任意的記載事項(書かなくてもよいが、書くことによって一定の効力を持たせたい事項)

例)事業年度、定時株主総会の招集時期等

の3つです。

 

②出資の履行

これは、かなり大雑把にいうと、発起人が会社に対して金を出すことです。つまり、株式会社としてこれから事業を開始するにあたり、その開始のための金銭等を会社に対して支払う(出資する)ということです。この出資は、金銭はもちろん、金銭以外のもの(有価証券、建物、自動車その他)でも構いません。金銭以外のものによる出資を「現物出資」と言います。

この「出資」の額(多いか少ないか)に応じて、その替わりとして当該発起人に株式が交付されることになります。そして、この株式の数が多ければ多いほど、株主として大きな力を持つことになります(例えば、株主総会における議決権は株式数に応じて発言力が決まる)。

出資の履行にあたり、発起人が複数いる場合には、どの発起人に、設立時発行株式を何株割り当てるか(どの発起人が、いくらずつ出資するか)を定め、期限までにその全額を払い込みます。

ちなみに、発起人が、上記の期限までに割り当てられた出資をしない場合には、出資を履行した他の発起人が、まず「払い込みしてないから改めて〇月〇日までに払い込みなさい」という催告を出資の履行をしていない人にします。そして、その期日までに出資の履行がない場合には、その発起人は株主となる権利を失うことになります(なお、これを失権といいます)。

 

③設立時役員等の選任

「②」の出資の履行が完了したら、次は、設立時役員等の選任です。具体的には、取締役の選任ですが、その会社に監査役、会計参与、会計監査人を置く場合(定款に定めている場合)には、それらも選任します。設立する株式会社の種類(取締役会設置会社、委員会設置会社など)によっては、さらにそれに見合った役員等の選任(人数等)も必要となっていきます。

ちなみに、設立時役員等は定款で定めておいてOKです。定めがない場合は、発起人の議決権の過半数をもって決定します。あくまでも「議決権の過半数」ですので、発起人が3人いて、Aは議決権の5分の3、BとCが各々5分の1ずつ持っている場合は、BとCが反対しても、A1人賛成すればAの意見が通ります。

 

④設立時取締役等による設立手続の適法性等の調査

「③」で(又は定款で)選任された設立時取締役(監査役設置会社の場合は、設立時監査役も一緒に)は、以下の事項を調査します。

1.出資の履行が間違いなく完了しているか

2.設立の手続が法令や定款に違反していないか

3.現物出資がある場合で、一定の場合には、現物出資財産価額の相当性が認められるか

もし調査の過程で、法令違反や不正等が見つかった場合は、すぐに発起人にその旨を伝えて、是正を求める必要があります。​

 

⑤設立の登記(=成立)

以上の手続を経て、問題がなければ、法務局で株式会社の設立の登記をします。

この登記によって株式会社が正式に成立し、株式会社としての事業活動がスタートできることになります。

 

以上、株式会社の設立方法①として発起設立を中心に書かせていただきました。

次回は「募集設立」について書いていこうと思っています。

最後までお読みいただきありがとうございました。