長久手市の在留資格(ビザ)専門行政書士、竹内です。
この書き出しをずっと続けてますが、最近会社シリーズばかり書いてますね。しかし、実は外国人関連の手続と会社設立の知識は関連してきます。特に、以前のブログ(【第65回】外国人の会社設立~経営・管理ビザとの関連性~、をご参照ください。)でも書いたように、経営・管理という在留資格(ビザ)と会社設立は密接な関連を持ちます。
そして、このことはすべてに関連してきます。例えば、外国人が日本で飲食店を開こうとしたら、飲食業許可が、特定技能「建設業」で外国人を受け入れようとすれば当然建設業許可やキャリアアップシステム等に関する知識が、外国人が日本で亡くなった場合には渉外相続に関する知識が・・・というように、結局はすべてが繋がっていきます。
私もまだまだですので、あらゆる分野の知識を吸収していきたいと思っています。
というわけで、今週も行きます。
今回は、前回のつづきです。前回は株式会社の設立方法の概要と、2つの設立方法のうちの1つである発起設立について書きました。今回は、もう一つの「募集設立」について書いてみようと思います。
なお、実務上は「発起設立」の方が大半のようです。
【募集設立の大まかな流れ】
①定款作成
➁定款認証
③発起人による出資の履行 ※①~③までは発起設立と同じ
④株式引受人の募集と引受人の出資の履行
⑤創立総会の招集・決議
⑥設立登記 ※発起設立同様、この「登記」で会社が成立する。
【④株式引受人の募集と引受人の出資の履行】
募集設立は、発起人のみで出資を履行(金を出したり、パソコンや不動産などの現物を会社に提供する)するわけでなく、発起人以外にも出資してくれる人を募集して株式会社を設立する方法です。
従って、まず発起人全員が自身が引き受ける出資の履行をした後、残りの株式を引き受けてくれる人(株式引受人)を募らなければなりません。
設立時発行株式が100株である場合において、発起人が50株しか引き受けない場合は、残りの50株(設立時募集株式)についてはそれを取得してくれる人(つまり、出資してくれる人)を探さなければなりません。これが、株式引受人の募集です。
募集方法は大まかに言うと、募集の条件(何株募集するか等)を公表し、申し込みをしようとする者(=株式引受人になろうとする者=株主になろうとする者)を募り、応募した者に対して、一定の事項を記載した書面(申込書みたいなもの)を送ります。それを受けた申込者は、発起人に対して申込をします。
これを受けた発起人は、申込者の中から設立時募集株式を割り当てる者、そして、それぞれに何株ずつ割り当てるかを決めます。なお、この割り当ては発起人が自由に決めることができます(割当て自由の原則)。
そして、発起人が期日を定めて、(自らが選んだ)株式引受人達に対して、割当ての通知をします。それを受けた株式引受人は、その通知で示された期日まで(又は期間内)に自分に割り当てられた金額を、指定の口座などに振り込みます(これが出資の履行)。
なお、もしこの株式引受人が、その期日までに出資を履行しない(金を払わない)ときは、その期日を過ぎた(又は期間が経過した)時点で、「払いなさ~い」などの催告等をすることなく、当たり前に株式引受人の権利を失ってしまいます(失権)。この場合においても、(失権した引受人以外の引受人から)払い込みのあった金額と発起人が出資した金額の合計が、定款で定めた出資額の最低額以上であれば、再募集などすることなく、そのまま設立手続きを進めることはできます。
【⑤創立総会の招集・決議】
創立総会は、会社成立前の最終段階で、出資者(発起人、募集株式引受人)が参加して行われる会議のようなものです。いわば、会社設立前の最終決定のための仮株主(設立時株主)総会と言えるかもしれません。
創立総会を招集するのは、もちろん発起人です。「④」の出資の履行が完了したら、遅滞なく、招集します。
創立総会では、株式会社の設立に関する事項で、かつ、発起人が創立総会の議題(その会議の目的である事項)として定めた事項に限って決議することができます。つまり、何でもかんでも決議することはできないということです。ただし、定款変更と設立の廃止に関する事項は、議題として定められていなくても決議できます。
創立総会で決議する事項はいくつかありますが、必ずこの創立総会でしなければならないことがあります。設立時取締役等(会社が登記されて成立した時に取締役等となるもの)の選任です。また、設立しようとする会社が監査役設置会社である場合は、設立時監査役も選任しなければならないなど、機関設計によっては設立時会計参与、設立時会計監査人の選任も必要となります。
その他、会社の設立に関する事項の報告、変態設立事項がある場合の現物出資財産等の検査役の調査報告等も必要です。そして、発起設立と同様に、設立時取締役(監査役設置会社の場合は設立時取締役及び設立時監査役)は設立手続きの調査をする必要がありますが、その結果報告は、発起人ではなくこの創立総会にします。
【⑥設立登記】
以上①~⑤までの手続を経たら、法務局へ株式会社の設立登記をします。この設立の登記をしなければならない期間は会社法に定められています。基本的には、「⑤」で述べた設立時取締役等による設立事項の調査の終了した日から2週間以内です。ただし、定款で別途定めた日がある場合は、その時から2週間以内にしなければなりません。
この「設立登記」によって、会社は正式に成立します。
以上、今回は株式会社の設立方法の2つ目「募集設立」について書いてきました。
最後までお読みいただきありがとうございました。