loader image

【第82回】老後、死、そして死後に関する手続きについて

長久手市の在留資格(ビザ)・相続関連手続に強い行政書士、竹内です。

昨年の7月上旬ってこんなに暑かったでしたっけ?めちゃくちゃ暑いですよね。夏は一年で一番好きな季節と生まれてこの方宣言し続けているのですが、何かそれも揺らいでくるぐらい猛暑ですね。しかも、まだ夏の本番はこれから・・・・この時点で35℃を超えるような暑さでは、8月・9月あたりはものすごいことになりそうですね。

私ももちろんですが、皆様も熱中症にはくれぐれも気を付けましょうね。冷房就けずに我慢してると、本当に命の危険があるようなので、その辺は躊躇せず、又はイオンなどの涼しいところへ涼みに行くなどして、工夫しないといけませんね。

それでは、今週も行きましょう。

 

今週からは趣を変えていこうと思います。以前まではしばらく「会社シリーズ」を書いてきましたが、一旦休憩し、今回からは行政書士業務の一つでもある相続関連業務に関して書いていってみようと思います。

今回は、その初回ということで「相続」に関連する業務として、どのような業務があるのかを簡単に説明しながら紹介していこと思います。

 

【相続に関連する業務①~生前に行う業務~】

☆後見・保佐・補助(法定後見)及び任意後見

この制度は、国が今力を入れ始めている制度です。大きく分けて法定後見と任意後見の2つに大別できます。

この2つの共通事項としては、判断能力が不十分になってしまった人を、他の人(法人含む)がサポートするということですね。

違いは、始め方です。

前者は、判断能力が不十分になった後、裁判所に後見等の開始の申立てをすることによって始まります。

一方、後者は、判断能力がある状態、すなわち自分が元気な時に、信頼できる人を見つけて、その人に自分の老後の事務を任せる、というものです。

前者は、契約ではありませんが、後者は契約です。そして、任意後見契約は公正証書によって行わなければ効力は生じません。

なお、法定後見には「後見・保佐・補助」の3種類がありますが、判断能力の程度の差により、サポートの度合いをわける、ことにしています。

判断能力十分有 >>  補助  >>  保佐  >> 後見 >> 判断能力無

これらの制度については、また詳しくブログを書いていきたいと思います。

 

☆遺言(死因贈与)

遺言は、皆様ご存じですね。遺言も、自身の死後に自身の財産(借金等の債務も含む)をどのように分け与えたいかということについて、意思表示をしておくものです。

遺言をすることのメリットとしては、遺産分割協議をしなくてもいいことなどがあります。例えば、相続人(亡くなった方=被相続人の財産を相続する権利がある人)がばらばらに住んでいて一堂に会すのが難しい場合や、相続人の一部が海外に住んでいる場合、または相続人がどこにいるのか・いるのかいないのかがわからない場合などにおいて、この「遺言」がないと、遺産の分割をするための手続きが非常に猥雑になります。(なお、相続人を一人でも欠く遺産分割協議は、すべて無効です)

とはいえ、遺言の一番のメリットは、遺言者が自分の意思を表示できる点にあるといえるかもしれません。

遺言と似たものとして、生前贈与があります。遺言は遺言者の一方的な意思表示です。これに対して、生前贈与は遺言者と贈与を受ける人(受贈者)の生前の契約に基づくものです。なお、その性格上、似ているものであるので、原則として生前贈与には「遺贈」に関する規定が準用されます。

 

☆信託☆

最近よく耳にするようになった言葉として「信託」があります。信託は奥が深いので、ここでは深くは述べませんが、簡単に説明します。

Aさん、Bさん、Cさんがいます。Aさんは500万円の現金を、子で身体障害のあるBさんのための費用に充てたいと思っていますが、Aさん自身も高齢であり中々Bさんの世話等ができません。そこで、信頼できるCさんに、その500万円を託して(信託して)。Cさんが、Bさんのためにその500万円をうまく使う、というのが信託(の一つ)です。

信託には様々な形態があり得、財産を託される人(上記の例ではCさん)は、親族でも、弁護士や行政書士、税理士等の専門家でも、近所のおじさんでも、また信託会社でもOKです。

信託は「財産を預けるに足りる信頼を置ける人」を探すのが最も難しいと言えるかもしれません。

 

【相続に関連する業務②~死後に行う業務~】

☆相続手続き、遺言の執行

「相続」は、被相続人の死亡によって開始します。(民法882条)

被相続人の方が亡くなった後、その方の財産(土地、預貯金、有価証券、車、会社その他の財産)及び債務(借金、未払の公的料金・施設料・医療費等)をわける手続が、相続手続きです。

このときに、遺言の有無で手続の流れが全然変わってきます。また、遺言があり、かつ、遺言執行者が指定されていれば、更に迅速に手続きができます。

遺言執行者とは、被相続人が亡くなった後に、被相続人の遺言の内容を実現するために一切の行為をする権利・義務を有する人のことです。遺言執行者の指定は、遺言者(=被相続人)が遺言で指定しておくことができます。仮に、遺言執行者が指定されていない場合でも、家庭裁判所に選任を請求することもできますが、その分時間がかかります。

この相続手続き・遺言執行についても、また別の機会にじっくり書いていきたいと思います。

 

☆死後事務委任契約☆

これもかなり大事なものです。この死後事務委任契約とは、名のとおり「契約」ですので、被相続人と誰か別の人が、生前に「契約」をしておかなければなりません。

被相続人が亡くなった後の、葬儀、法要、電気・ガス・水道の解約、預金口座等の解約、退職手続、各種会の退会、SNSの閉鎖手続、貸家の解約、公的手続等々、人が亡くなった後に必要となる事務手続きを行う旨の契約です。

これは、身近に親族がいて、かつ、関係が良好であれば、通常はその親族の方がやってくれるのが通常です。しかし、以下のような方は、真剣に「死後事務委任契約」を考えた方がいいかと思います。

 

・近くに親族がいない

・そもそも、もう親族がいない(全員亡くなってしまった)

・親族はいるが、遠方や海外にいて、もしもの時に迷惑はかけたくない

・親族との折り合いが悪く、頼めない・頼みたくない

 

なお、死後事務委任の内容について、遺言で触れることはできなくもないですが、遺言で書いてもそれを受けた人が死後事務を処理する義務を負うことはありません。

 

以上、今回は「相続に関する業務」ということで、いくつか書いてきました。もし私が受任する場合は、各々単独で受任するより、可能な限りある程度まとめて一連の流れとして受任しますね。

特に死後事務委任契約の受任者と遺言執行者が別々だと、死後のやりとりで色々問題が生じることも考えられるため、なるべくなら「見守り契約(これは今回は触れてません)→任意後見契約→死後事務委任→遺言執行者」と一貫してやれた方が、双方(被相続人・受任者)にとって安心だと思います。

 

以上、今回は「相続に関する手続き」について、薄く広く書いてみました。

最後までお読みいただきありがとうございました。