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【第107回】任意後見契約には種類がある?

長久手市の在留資格(ビザ)&終活関連業務(相続、遺言、後見、死後事務等)専門行政書士、竹内です。

2025年、あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。

この年末年始は、ゆっくり過ごしました。が、毎年楽しみにしている箱根駅伝に母校が出場できなかったため、かなりがっかりな年始となりました。毎年、年始に母校を応援して1年が始まる、というのが慣行になっていたため、物足りないスタートとなってしまいました。

しかし、気を落とさず今年も頑張っていきますので、よろしくお願いいたします。

ということで、今年のブロブもスタートです。

新年ということではありますが、内容は昨年からのものを引き続き書いていきます。

ここ数回は後見制度、その中でも主に「任意後見制度」について書いてきていますが、今回は、その任意後見制度について「契約の種類」というものを解説します。

是非、ご一読ください!

 

【任意後見契約には種類がある?】

以前のブログでも書いたとおり、法定後見とは異なり、任意後見は「契約」です。

その契約には、種類、正確に言うと3つの「型」があります。

① 将来型

② 移行型

③ 即効型

以下でそれぞれの型の解説をしていきましょう。

 

【「① 将来型」について】

将来型は、文字通り「将来、自分の判断能力が低下した時に備えて任意後見契約のみを締結しておく」というタイプです。

これが任意後見の基本形と言われる型ですが、以下のようなメリット・デメリットがあります。

☆メリット

・任意後見契約が発効(契約が効力を持つ)するまで費用は何もかからない。

★デメリット

・判断能力の低下に気づくのが遅れて、適切なタイミングで任意後見人の選任の請求ができない可能性がある。

 

【「② 移行型」について】

これは「判断能力の低下する前から財産管理等の一部を委任し、判断能力の低下が見られたら任意後見人の請求を申立てて、正式な任意後見へ移行する」というものです。

☆メリット

判断能力の低下前から一定の頻度で後見人(となる人)と会うことになるため、判断能力の低下に気づきやすく、適切なタイミングで任意後見へ移行できる。

★デメリット

・一定の場合を除き、原則として後見人となる前から財産管理等についての費用が発生する。

・万一、不誠実な人を後見人としてしまった場合、その人が故意に任意後見契約の発効をしないで、財産の管理等のみを継続するおそれがある(=不正が発生するおそれが高まる)。

※デメリットの2つ目はよく問題になります。どういうことかというと、例えば弁護士や行政書士等の専門家を任意後見人として移行型の任意後見契約を締結したとします。この場合において、本人の判断能力が低下してきたにもかかわらず、その任意後見人(となる人)が故意に財産管理のみを継続しようとするということです。任意後見契約が発効すると、任意後見監督人が必ず選任されます。つまり、任意後見人(となる人)にとっては、監督者のような存在が付くことになります。これを嫌い、あえて財産管理のみを継続して自分の思うように業務を行うことは、やがて不正(横領等)へ繋がっていく可能性が非常に高いです。

つまり、任意後見契約を締結する場合は、以前述べたように「誰に後見人になってもらうか」ということが最も大事であることは肝に銘じておくべきでしょう。

※なお、この移行型において財産管理等の業務は委任せず、定期的な訪問やコンタクトのみを委任する「見守り契約」というものもあります。要するに、定期的に様子を見に来てもらうことで、判断能力の低下に可能な限り早く気づいてもらい、適切なタイミングで任意後見監督人の選任の請求ができるようにするものです。

【「③ 即効型」について】

即効型は、既に判断能力が低下しかかっている状態で、任意後見契約を締結して、速やかに任意後見契約を発効させるやり方です。

☆メリット

・法定後見を避けることができる。

・発効前の費用がかからない。

★デメリット

・契約するための能力(意思能力)がないと判断されると契約できない。

この「即効型」は、意思能力があると認められる状態で契約を結び、その後、即家庭裁判所に任意後見監督人の選任の請求をして任意後見契約を発効させることになるので、非常にタイミングが難しい類型である、あまりお勧めしません。

 

以上、見てきたように、3つの類型があります。

やはり、「移行型」を特にお勧めします。「自分の老後を全て任せる」といっても過言ではない後見制度。だからこそ、自分の意思がしっかりしているうちに、適切な信頼できる人を見つけて、自分のことを任せるということが一番大事ですよね。

最後までお読みいただきありがとうございました。