長久手市の在留資格(ビザ)専門行政書士、竹内です。
冬なので当たり前ではありますが、最近はめちゃくちゃ寒いな~、と思っていたら、今日の朝は比較的暖かかったですね。さすがにまだまだ冬は続くとは思いますが、少しでも寒さが和らぐと心にも温かさが戻ってくるような変な気持ちになりました。
というわけで、今週も頑張っていきますか!
今週は、先週に引き続き、いわゆる「退去強制事由」について説明していきます。前回は、入管法第24条1号~2号の4まで説明しましたので、今回は第3号から順に解説していきます。
では、スタートです。
【第3号】
《条文》
三 他の外国人に不正に前章第一節若しくは第二節の規定による証明書の交付、上陸許可の証印(第九条第四項の規定による記録を含む。)若しくは許可、同章第四節の規定による上陸の許可又は前二節、第五十条第一項若しくは第六十一条の二の五第一項の規定による許可を受けさせる目的で、文書若しくは図画を偽造し、若しくは変造し、虚偽の文書若しくは図画を作成し、若しくは電磁的記録を不正に作り、若しくは偽造され、若しくは変造された文書若しくは図画若しくは虚偽の文書若しくは図画を行使し、所持し、若しくは提供し、若しくは不正に作られた電磁的記録を人の事務処理の用に供し、若しくは行使し、又はこれらの行為を唆し、若しくはこれを助けた者
《解説》
誰が:ある外国人が
誰に対して:自分以外の外国人に対して
何の目的で:不正に在留資格認定証明書の交付、上陸許可、上陸特別許可、特例上陸許可等を受けさせる目的
何を:提出書類の偽変造、虚偽の書類等の提出・提示をさせ、またそれらを提供等したとき
↑のような行為を、手助けしたり、唆したりしたとき
★端的に言うと、他の外国人を上陸させるために偽変造文書の作成したり、提供したり、或いはそのような行為を手助け・唆す行為をした外国人は、退去強制事由に該当します。
【第3号の2】
《条文》
三の二 公衆等脅迫目的の犯罪行為等のための資金等の提供等の処罰に関する法律(平成十四年法律第六十七号)第一条第一項に規定する公衆等脅迫目的の犯罪行為若しくは同条第二項に規定する特定犯罪行為(以下この号において「公衆等脅迫目的の犯罪行為等」という。)、公衆等脅迫目的の犯罪行為等の予備行為又は公衆等脅迫目的の犯罪行為等の実行を容易にする行為を行うおそれがあると認めるに足りる相当の理由がある者として法務大臣が認定する者
《解説》
三号の二は、いわゆる「テロ」を防止するための規定ですね。
・テロの実行
・テロの実行のための準備等
を行うおそれのある者の上陸を防ぐための規定です。過去にすでにテロを実行している者だけではなく、行うおそれがある者も対象となっており、テロの発生を未然に防ぐことを目的とした規定です。なお、この号の対象となる者か否かは法務大臣があらかじめ定めることになっており、その定められた者でない限り、この号を適用して上陸を拒否することはできないという建付になっています。
【第3号の3】
《条文》
三の三 国際約束により本邦への入国を防止すべきものとされている者
《解説》
「国際約束」の具体例としては、国連憲章等があります。国連安保理において「入国防止対象者」として決定されている者の上陸を防止することを目的とした規定です。したがって、入国審査官が上陸審査中に、入国防止対象者であることに気づいた場合は、その場で上陸を拒否するのは当然として、それに加えて収容&退去強制手続きに移行し、その者に退去を命じることができることになります。
【第3号の4】
《条文》
三の四 次のイからハまでに掲げるいずれかの行為を行い、唆し、又はこれを助けた者
イ 事業活動に関し、外国人に不法就労活動(第十九条第一項若しくは第六十一条の二の七第一項の規定に違
反する活動又は第七十条第一項第一号、第二号、第三号から第三号の三まで、第五号、第七号から第七号
の三まで若しくは第八号の二から第八号の四までに掲げる者が行う活動(第四十四条の五第一項の規定に
よる許可を受けて行う活動を除く。)であつて報酬その他の収入を伴うものをいう。以下同じ。)をさせる
こと。
ロ 外国人に不法就労活動をさせるためにこれを自己の支配下に置くこと。
ハ 業として、外国人に不法就労活動をさせる行為又はロに規定する行為に関しあつせんすること。
《解説》
・ある外国人が、自分以外の外国人に対して
①在留資格がないのに就労させる、資格外活動許可を受けてないのにバイトさせる、在留資格に見合っていない就労活動をさせる等、不法就労活動をさせること。
➁自分よりその者が弱い立場にあることを利用して、その者に不法就労するよう働きかけ、かつ、それを理由としてその者が不法就労をしたこと。
③実際の回数にかかわらず、その行為を反復継続する意思を持って、不法就労させたり、不法就労をあっせんする行為をすること。
★上記の行為をさせた者のみならず、同行為を唆し、又は当該行為の手助けをした者も同様に退去強制事由に該当することになります。
【3号の5】
《条文》
三の五 次のイからホまでに掲げるいずれかの行為を行い、唆し、又はこれを助けた者
イ 行使の目的又は人の事務処理を誤らせる目的で、在留カード若しくは在留カード電磁的記録(以下この
号において「在留カード等」という。)若しくは特例法第七条第一項に規定する特別永住者証明書若し
くは特例法第十四条第一項に規定する特別永住者証明書電磁的記録(ホにおいて単に「特別永住者証明
書電磁的記録」という。)(以下この号において「特別永住者証明書等」という。)を偽造し、変造し、
若しくは不正に作り、又は偽造され、変造され、若しくは不正に作られた在留カード等若しくは特別永
住者証明書等を提供し、収受し、所持し、若しくは保管すること。
ロ 行使の目的で、他人名義の在留カード若しくは特別永住者証明書を提供し、収受し、若しくは所持し、
又は自己名義の在留カードを提供すること。
ハ 偽造され、変造され、若しくは不正に作られた在留カード等若しくは特別永住者証明書等を行使し、若
しくは人の事務処理の用に供し、又は他人名義の在留カード若しくは特別永住者証明書を行使するこ
と。
ニ 在留カード等若しくは特別永住者証明書等を偽造し、変造し、又は不正に作る行為の用に供する目的
で、器械又は原料を準備すること。
ホ ニの目的で、在留カード電磁的記録又は特別永住者証明書電磁的記録(以下このホにおいて「在留カー
ド電磁的記録等」という。)の情報を取得し、若しくは提供し、又は不正に取得された在留カード電磁
的記録等の情報を保管すること。
《解説》
3号の5は、いわゆる「在留カード等の偽変造に関するもの」です。
イ ⇒ 「(入管手続き等に)使う目的」又は「入管等の事務の処理を誤らせる目的」で在留カード等の偽変造をしたり、同目的で偽変造等された在留カード等を受け取り、所持し、保管していること。
ロ ⇒ 「(入管手続き等に)使う目的」で、
①他人名義の在留カード等を受け取り、所持し、提供する。
➁自己名義の在留カードを、他人に提供する。
ハ ⇒ 偽変造在留カード等、他人名義の在留カード等を、(入管手続き等に)使用すること。
二 ⇒ 在留カード等を偽変造するための器械等を準備すること。
ホ ⇒ 在留カード等を偽変造等する目的で、在留カード等に記録されているデータの情報等を取得し、他人に
提供し、又はその不正に取得された情報を保管すること
以上、今回は「退去強制事由」の第3号~第3号の5までについて簡単に説明してきました。
次回は第4号~書いていこうと思っています。
最後までお読みいただきありがとうございました。