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【第111回】外国人が国外へ送還されてしまうのはどんな時? ~退去強制事由について➃~

長久手市の在留資格(ビザ)専門行政書士の竹内です。

早いもので2025年が始まって2カ月目がスタートしてしまいましたね。

今日の朝起きた時「暖かい」と感じたのですが、ニュースを見たら「今週から強い寒波が押し寄せてしばらく居座る」とのことでした。

まだまだ寒い日は続きますので、もうしばらく辛抱ですね。

というわけで、2月も頑張っていきましょう!

 

今回も、まだまだ続きます(笑)「退去強制事由」についてです。

前回は24条4号で終わってしまいましたので、今回は4号の2~5号の2まで行きます!

 

【第24条4号の2】

条文:

四の二 別表第一の上欄の在留資格をもつて在留する者で、刑法第二編第十二章、第十六章から第十九章まで、

第二十三章、第二十六章、第二十七章、第三十一章、第三十三章、第三十六章、第三十七章若しくは第

三十九章の罪、暴力行為等処罰に関する法律第一条、第一条ノ二若しくは第一条ノ三(刑法第二百二十

二条又は第二百六十一条に係る部分を除く。)の罪、盗犯等の防止及び処分に関する法律の罪、特殊開

錠用具の所持の禁止等に関する法律第十五条若しくは第十六条の罪又は自動車の運転により人を死傷さ

せる行為等の処罰に関する法律第二条若しくは第六条第一項の罪により懲役又は禁錮に処せられたもの

解説:

条文だけ見るとまるで暗号ですね。

ここについてはめっちゃざっくり説明します。

誰が:永住者、定住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等以外の在留資格を持って在留している外国人

条件①:刑法等の列挙されている法律に定める罪を犯し、かつ、

条件②:懲役又は禁錮の刑に処せられた

場合に、この条文の対象となります。

例えば、技能の在留資格を持って在留している外国人が、住居侵入罪により罰金刑に処せられても、少なくともこの条文で定められている退去強制事由には該当しないことになります。なぜなら、対象者・対象刑罰ではありますが、「懲役又は禁錮」に処せられていないからです。

なお、執行猶予が付いた場合でも、対象刑罰により刑に処せられた(=判決が確定した)のであれば、退去強制事由に該当します。

 

【第24条4号の3】

条文:

四の三 短期滞在の在留資格をもつて在留する者で、本邦において行われる国際競技会等の経過若しくは結果に

関連して、又はその円滑な実施を妨げる目的をもつて、当該国際競技会等の開催場所又はその所在する

市町村の区域内若しくはその近傍の不特定若しくは多数の者の用に供される場所において、不法に、人

を殺傷し、人に暴行を加え、人を脅迫し、又は建造物その他の物を損壊したもの

解説:

これは、オリンピックやサミット等の国際的なイベント等を妨害・台無し当にするためにその会場や実施施設のみならずその関連する場所等においてテロ行為等をした短期滞在の在留資格(ビザ)をもって在留している者を退去させるためのものですね。

 

【24条4号の4】

条文:

四の四中長期在留者で、第七十一条の二又は第七十五条の二の罪により懲役に処せられたもの

解説:

大雑把に言うと、外交・公用、短期滞在、在留期間が3箇月以下の在留資格等以外の在留資格(ビザ)を持って在留している外国人が、住居地等の虚偽の届出をしたり、住居地の届出をしなかった場合、在留カードの更新を怠った場合、在留カードの不携帯等があった場合で、かつ、懲役刑に処せられた者を退去させるための条文ですね。

これに関しては、よっぽど酷いものを想定していると思われます。虚偽の住居地を届け出て注意を受けたにもかかわらず、また虚偽の住居地を届け出るようなことを繰り返すような場合ですかね。

 

【24条5号】

条文:

五 仮上陸の許可を受けた者で、第十三条第三項の規定に基づき付された条件に違反して、逃亡し、又は正当な

理由がなくて呼出しに応じないもの

仮上陸の許可とは、例えば上陸手続中に大規模災害が発生し、その上陸可否の審査終了前に一時避難が必要な場合などに​、一時的に主任審査官の判断で許可することができる特別な許可です。

その仮上陸の許可を受けた外国人には、住居や行動範囲の制限、呼び出しに対して出頭する義務などの条件が付されるのですが、それを無視して逃亡したり、病気など正当な理由もなしに呼出しを無視した者を退去させるための条文ですね。

 

【24条5号の2】

条文:

五の二 第十条第七項若しくは第十一項又は第十一条第六項の規定により退去を命ぜられた者で、遅滞なく本邦

から退去しないもの

解説:

日本に到着した外国人は、到着した空港等で上陸審査というものを受けます。その審査において上陸させることができないと判断された者には、一定の手続を経て「退去命令」というものが出されます。この退去命令を受けた者は、指定期間内に直ちに日本を出国しなければならないのですが、その者がこの退去命令を無視して、日本に留まっている場合にその者を退去させるための条文です。​

 

以上、今回は退去強制事由4号の2~5号の2まででした。次回は、6号から7号までを予定しています。

最後まで読んでくださりありがとうございました。