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【第116回】門前払い制度?~退去命令~

長久手市で在留資格(ビザ)等の外国人関連手続きを専門とする特定行政書士、竹内です。

3月2週目ですね。明日月曜日は終日仕事で外出するので、前日にブログ更新します。

 

今回は響き的にまあまあ恐ろしい「退去命令」というものについて解説していきたいと思います。

なお、今回説明する退去命令は、入管法10条7項、11条6項に定める退去命令(以下、退去命令といいます。)です。なんのこっちゃ?というところですよね。

実は、近年の入管法改正により新たに「退去の命令」というものが創設されました。こちらの「退去の命令」は入管法55条の2に規定されており、今回説明する退去命令とは異なります。(入管法には、同じような名前で異なる手続きがいくつもあります・・・。出国命令、口頭審理等)

というわけで、今回は退去命令について書きます。

 

【退去命令って何?】

簡単にいうと、日本に到着した外国人が上陸を許されず、そのまま日本から退去させられる制度のことです。

前回のブログでは、日本に到着した外国人が上陸審査に引っかかった場合について触れましたが、そのケースで上陸が認められなかった場合に受ける命令が「退去命令」です。

 

【どんなパターンがあるの?】

この退去命令には、大きく分けて2つのパターン、その中で更に分かれて全4パターンがあります。

★以下の2つが、大きく分けた2パターンです。

1.個人識別情報の提供に係るパターン

2.上陸のための条件に係るパターン

 

【「1.個人識別情報の提供に係るパターン」と「2.上陸のための条件パターン」を更に分ける】

まず「個人識別情報」とは何ぞや?というところですね。

ざっくり言えば「指紋と写真」です。つまり、上陸審査では「原則」全員が指紋と写真を提出するよう求められます(一部不要な人もいます)。以下、個人識別情報のことを「識別情報」といいます。

では、大きな2パターンをさらに4つに細かく分けて解説しましょう。

①識別情報の提供を拒否⇒識別情報の提供を必要としない者と認められない⇒退去命令

②識別情報の提供を拒否⇒識別情報の提供を必要としない者と認められる⇒が、上陸のための条件に適合していないと判断される※1⇒退去命令

③識別情報の提供に協力⇒が、上陸のための条件に適合しないと判断される※1⇒退去命令

④「②」又は「③」の※1の後⇒法務大臣に対する異議の申出⇒認められない※2⇒退去命令

 

【要するに】

まず、①パターンですが、上陸審査の際に指紋と写真の提供を拒むと、その審査をしようとした入国審査官から、特別審理官(偉い人)に「こいつは写真と指紋を提出したくないって言ってるけど、しなくてもいい人なの?」とお伺いが立てられます。

これに対してその偉い人(特別審理官)が「せんとあかんやろ」と答えた場合に、それでもその外国人が識別情報の提供を拒んだ場合は、即退去命令となります。

②パターンは、上述の①パターンの偉い人へのお伺い立てで「せやで(提供しなくていい人やで)」という返答があった場合、その外国人は「識別情報の提供をしなくてもいい人」と認定されたことになります。なので、識別情報の提供は免除された(クリアした)ことになるのですが、その後引き続き行われるその偉い人による「上陸のための審査」(=その外国人の日本への上陸を拒否する条件(以下、上陸拒否事由といいます。)に該当していないか等の審査)において、「こいつ犯罪者やん(一例)」となって上陸拒否事由等に該当すると判断されたとします。その場合に、その外国人が「そうか・・しゃあないな」とあきらめたとき、退去命令がなされます。

③パターンは、②パターンのそもそものスタートで識別情報を提供したものの、上陸のための条件に適合していないとされたもので、流れは②パターンの『「こいつ犯罪者やん(一例)」』以下と同じですので省略します。

そして、④パターンです。これは、②又は③パターンにおいて「こいつ犯罪者やん(一例)」等の理由で「あなたは上陸のための条件に適合していません」という判断が下った場合において、その外国人がそれでもあきらめきれずに「それはありえへん!めちゃくちゃや!」と反旗を翻して、ラスボス(法務大臣)に対して「あんたとこの部下の判断、おかしいんちゃう?」と文句をつけることができます。

この文句に対してラスボスが「おかしない。あいつらはちゃん仕事しとるんや」と判断されてしまうと、その外国人は退去命令を受けることになります。一方、ここでラスボスが「ほんまやな。あいつらさぼっとるがな。ちゃんとしつけとかなあかんな。ごめんな。」と判断し、その外国人の文句を受け入れると上陸できることになります。

 

以上、若干ふざけた部分もありますが、「退去命令」についてでした。

最後まで読んでいただきありがとうございました。