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【第156回】永住許可要件に日本語要件追加へ…

長久手市の在留資格(ビザ)をはじめとする外国人関連手続専門特定行政書士、竹内です。

12月も約3分の2が終わり、早くも年の瀬感が漂ってきましたね。(あ、その前にクリスマスがありますね)

寒さも厳しい今日この頃、皆様はいかがお過ごしでしょうか。

私は、まだまだ忙しいとまでは胸を張っては言えませんが、特に今年後半はご依頼を多くいただくことができ、幸いにも仕事に励むことができ感謝しております。

ゆったりとした年末年始を過ごせるよう、最後まで頑張って業務に取り組む所存です。

ということで、今週もスタートです。

 

今回もまたまた新たな情報が入ってきたので、それを取り上げたいと思います。

最近のブログは専ら外国人関連政策の転換情報なのですが、今回は永住許可に関する情報が入ってきました。

なお、今回の内容もまだ「協議中」の内容なので決定したものではありませんし、以下には私の個人的見解も加わっておりますので、その点あらかじめご承知おきいただいたうえで読み進めていただければ幸いです。

 

【永住許可要件に日本語要件が加わることについて】

これまでの永住許可の要件に関しては、大きく分けて以下の3点がありました。

・素行善良要件(悪いことしてない)

・独立生計要件(経済的に、日本で生活していくことに問題がない)

・国益適合要件(日本での永住を認めるにあたり日本に利益をもたらすか否か)

※なお、この3つの条件の詳細に関しては今回触れませんが、過去のブログ第56~58回にて少し詳しく書いていますのでご興味ある方はご一読ください。

そして、これまでの永住許可の要件としては、「日本語能力」については一切不問でした。

しかし、今回はついにこれが加わることになりそうです。今のところ2027年4月(令和5年改正による永住許可取消し対象拡大が施行されるのと同時期)からの施行を目指しているようです。

この日本語能力要件に関しては、おそらく上記3つの要件の中の「国益適合要件」の中の一つとして追加されるものと思われます。

したがって、永住許可要件が3つに分けられる点は変わりませんが(外形的には変わりませんが)、その中身が追加されるような感じになると思います。

では、その日本語能力をどの程度のハードルにするのか。

この点が最大の関心事項ですね。

その前に、どういう方法で確認するのか、という点が出てきますが、これに関しては個人的に、

①試験結果などで立証

➁日本の学校(義務教育の修了、高校や大学等)を卒業していることにより立証

➂その他、相当程度の日本語が理解・使用できることを前提とした職業等に就いていること

など、いくつかの条件を設けて、その中のいずれかに該当すればOKとすると思われます。

また、個人的には「日本に特別の功労等のある外国人」などについてはこれ(日本語能力要件)を免除する措置なんかも設けられる気がしています(ノーベル賞受賞者や、世界的なプロスポーツ選手等、日本にいるだけで日本にとってプラスとなるようなレベルの外国人)。

というわけで、本題です。そのハードルの高さですが、私はN3もしくはN2以上の日本語能力試験の合格あたりになるのではないかと予想しています。

まずN4はないと思います。特定技能1号でやってくる外国人の方々は、上陸許可基準としてN4以上の合格が求められていますので、それと同じレベルを永住許可に求めたところで、今回の改正の意味があまりないかなと思うからです。

今回の改正は、「永住者」という在留資格のハードル自体を上げることが目的です。つまり、育成就労や特定技能で上陸する外国人が増加を続け、その後特定技能2号となったあと永住許可申請をする人が増えることが予想されるところ、そういった人々が簡単に永住許可申請をしないように、それなりの日本語能力を求めることが目論見との一つと思われます。つまり、N4レベルの日本語力では無理、ということになります。

では、N3かN4かという話になります。

N3は、特定技能2号に上がるために今後必要な日本語能力のレベルです。ということは、上述した目論見を考えるとこれも低いのではないか、と思われるでしょう。

確かにそうですね。

政府がどの程度の厳格化を目指しているのか、現時点ではわかりませんが、N2以上(BJTでいうと400点以上)ほどを求めてくる可能性は高いと思います。

ただ、いきなり「N2」という条件を定めると、またかなりの反発が予想されますので、そのラインは慎重に協議を進めていくことになるかと思います。

まあ、ビジネスビザの横暴を見ると、私はN2以上にしてくる可能性は高いと思っています。

 

【その他の情報】

上述の日本語能力要件以外にも、

① 生活ルール等を学ぶ講習のようプログラムの受講を義務化

➁ 収入要件(独立生計要件の中の要件の一つ)を引き上げる

などの案も出ているようです。

特に「収入要件の引き上げ」に関しては、いわゆる富裕層、又は富裕層に近い中間層でない限り、そもそも永住許可申請すらできないというようになっていくような未来が見えますね。

 

以上、今回はここまでいたします。

ルールを守らない外国人は出ていけ、という考え方は否定はしませんが、過度の条件厳格化は必ずしも日本にとって良いことばかりをもたらすとは到底思えません。

最後までお読みいただきありがとうございました。