長久手市の在留資格(ビザ)をはじめとする外国人関連手続専門特定行政書士、竹内です。
まだ梅雨らしい日が続ていますが、時々晴れるともう夏ですね。昨日はめちゃくちゃ暑かったです。
公言しているとおり、私は四季で一番夏が好きです。その理由の一つが、夏は薄着でいいのでとても楽ということなのですが、最近の夏はとにかく焼けるように暑いので、年々「今年はどれくらい暑くなるのだろう」と心配も募る今日この頃です。
ということで、今回も始めます。
前回までは「外国人に対する基礎調査」について4回に渡って好き勝手書いてきましたが、前回でそれを終了し、今回は新しいことを書きます。
「不法滞在者ゼロプラン」(以下「ゼロプラン」と言います)は、昨年の5月頃入管庁のHPに突如発表されたもので、私もその際にブログを書きました。(2025年5月、第127回のブログです。ご参照ください。)
今回は、そのゼロプランの強力推進パッケージと題して、その進捗状況と今後の取組を追加で発表したものについて好き勝手書こうと思っています。
【復習:ゼロプランて何?】
ゼロプランは、ルールを守らない外国人を速やかに我が国から退去させるための対応策を定めるよう法務大臣が指示したもので、その対応策を「入国管理」、「在留管理・難民審査」、「出国・送還」の3つの段階に分け、その内容を具体的に示したものとしてまとめられたものです。
それぞれの対策の主なものとして、
「入国管理」・・・JESTAの導入など
「在留管理・難民審査」・・・難民認定申請の早期かつ迅速な処理体制の整備、AI等デジタル技術の活用
「出国・送還」・・・計画的かつ確実な護送官付き国費送還の実施、新制度等を生かした自発的な帰国の促進、仮放免者の不法就労の防止(動静監視への注力、不法就労者本人のみならず、雇用主も含めた摘発強化)
これらのことを実施していくことが宣言されています。
【今回の「強力推進パッケージ」て何よ?】
今回の「強力推進パッケージ」では、不法残留者の現状をデータで示しつつ、ゼロプランの実施についてより具体的にその内容を示したものになっています。具体的には、各施策を、不法滞在者を「増やさない施策」「減らす施策」「増やさない施策であり、かつ、減らす施策」の3つに分けて、その具体策等が示されています。
新たに発表された事項を含めた主なものとして、3つの段階ごとに以下のようなものがあります。
1.入国管理
(1)増やさない施策
・査証免除国(ビザなしで日本に観光等に来られる国。アメリカやヨーロッパ等)の外国人に対してはJESTAの導入により、査証必要国(日本に来るためにはパスポートだけでなくビザの事前取得も必要な国)については入管庁と外務省(ビザを管掌する省庁)の連携を更に強化し、そのうえでDX等を用いて査証業務を行うことにより、査証業務全般を厳格化する。
・在留資格認定証明書交付申請の厳格化
(2)減らす施策
・なし
(3)増やさない施策であり、かつ、減らす施策
・実績的に退去強制者が多い国への働きかけ ⇒ 動画による広報強化、駐日外国公館への申入れ実施。
2.在留管理・難民審査
(1)増やさない施策
・なし
(2)減らす施策
・なし
(3)増やさない施策であり、かつ、減らす施策
・難民に明らかに該当しない事情を主張している者に対する早期かつ迅速な処理体制の整備を目的として、在留制限の更なる厳格な運用および処理体制の更なる整備を検討、案件処理のタイムラインの明示を行う。
・↑と関連し、難民DXによる処理の迅速化・効率化・
・出入国在留管理DXによって、不法滞在者の発生防止及び摘発・退去強制等の一連の業務を効率化するための、その中身(出入国在留管理DXの中身)の具体的な検討を加速&具体的実現期限の設定。
3.出国・送還
(1)減らす施策のみ
・退去強制が決まった者について、護送官付き国費送還を更に強力に推進&多角的な送還手法の検討。
・退去強制が決まった者のうち、出国命令対象者・自費出国対象者に対して、帰国説得を行う人員の体制整備や帰国説得用資料(多言語翻訳)の準備の検討。「早く帰れば良かった。」などと後悔していた被送還者の声をアウトリーチ型で周知、および仮放免されている者及び監理措置に付されている者について、各要件を満たさなくなったものは収容した上で帰国の説得を行う。
・出頭申告した不法滞在者、摘発された不法滞在者等を減らすため、不法就労助長者の摘発強化ならびに厳正なる対処、不適正ヤード対策、不法就労助長罪を各業法の欠格事由に盛り込むことを提案する(=法改正が必要)等を実施する。
・不法滞在者等を減らすため、入管の体制を増強(合同・入管単独摘発の強化、サイバーパトロールの実現、情報提供、通報の促進策の検討)
※以上「3.出国・送還」に関しては「関係機関が連携し、強力に推進」する。
【結局、何なの?何が「怖すぎる」の?】
大前提として、当たり前ですが「違法行為を行うこと自体が悪」ということは当然あります。
ここでは、そのうえで、現在日本に住んでいる又はこれから日本に来る外国人にとって「怖すぎる」ことを解説します。
①在留資格認定証明書交付申請の厳格化
・これは、「1.入国管理」の「増やさない施策」に出てきています。在留資格認定証明書の交付は専ら事実認定であり、要件に該当している場合には、法務大臣に「交付しない」という裁量は原則として認められていないのですが、どのように厳格化するのか。こう考えると答えは一つでしょう。「上陸許可基準」の厳格化です。難しい言葉を使ってますが、要するに「上陸するための条件」が各在留資格について厳格化されること、すなわち、日本に来るのが難しくなることが予想されます。
②取り締まりのスーパー強化の意思表示
・これは「3.出国・送還」の中に様々な恐ろしいことがさりげなく書かれています。
その最たる文言が「不法就労助長者の摘発強化ならびに厳正なる対処」です。不法就労助長者とは、外国人に不法就労を行わせている者等、例えば雇い主などを指します。「外国人である不法就労助長者の」とは記載されていません。つまり、この対象は外国人に限らず、日本人も対象となるということです。更に怖いことは、この不法就労助長罪は、知っていようがいまいが成立する罪です(無過失の場合を除く)。
「すみません、入管法のことを全くわかっていませんでした。次から気を付けます」というのは通用しないということです。しかも、この不法就労助長罪はこれに先立って厳罰化されますので(3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金⇒5年以下の拘禁刑または500万円いかの罰金)、さらに恐ろしいです。
・何が言いたいかというと「摘発」という言葉がたくさん使われており、入管庁も本気であることがにじみ出ているということです。この先、不法就労者(助長者含む)の摘発は、間違いなく格段に増えます。
➂入管の体制を増強
・これは恐ろしいですね。ちなみにここでも「合同・入管単独摘発の強化」という言葉があります。その他、サイバーパトロールも強化されますが、注目すべきは「通報の促進策の検討」でしょう。
つまり、摘発強化と併せて通報制度も充実させ、逃げ場をなくすくらい徹底的にやる、という意思表示に取れます。この「通報制度」に関しては、茨城県の報奨金制度がニュースを賑わせていますね。果たして入管庁(国)としてはどのような促進策を考えているのでしょうか?
以上、大きく変貌を遂げている入管施策のうち今回は「不法滞在者ゼロプラン~強力推進パッケージ~」について書いてみました。
最後までお読みいただきありがとうございました。