長久手市の在留資格(ビザ)をはじめとする外国人関連手続き専門特定行政書士、竹内です。
お盆が終わりましたね。
当事務所は13日~16日まで夏休みをいただいております。
前半は温泉へ行き、今日明日は趣味の音楽の活動をさせていただく予定で、充実した4日間を過ごすことができそうです。
というわけで、8月後半もはりきっていきましょう。
今回は、先日発表されました「出入国在留管理基本計画」について書いていこうと思います。
【「出入国在留管理基本計画」って何よ?】
出入国在留管理基本計画とは、一言でまとめると「外国人の入国および在留管理に関する施策の基本とすべき計画」のことで、法務大臣が定めます。
以前は、出入国管理基本計画(『在留』が入っていない)というものでしたが、当時の入管法改正により、外国人の出入国のみならず、外国人の在留管理も法務省の任務とされ、出入国在留管理庁が創設されたことも相まって、現在の「出入国在留管理基本計画」(以下「基本計画」といいます。)に改称されました。
2019年4月に改称後の第一次の基本計画が策定されましたが、今回(2026年)の改定が第二次、つまり2回目であり、実に約7年ぶりの改定ということになります。
大雑把な構成としては、
・改訂に至った経緯・状況の変化・日本における現状
・外国人の入国・在留等に関するデータの変遷(過去~現在。正規滞在者・不法滞在者に分けて)
・出入国在留管理の主要な課題と今後の方針の概要
というような内容から始まり、
・↑を受けて、具体的な課題を6つにしぼり、
・それぞれの課題に対して、これまでやってきた取組⇒その課題⇒これを受けた今後の方針
という流れで、作られています。
【今回の基本計画で課題とされた事項は何なのか?】
今回の基本計画では、以下の6点が主要な課題として列挙されています。
1.デジタル技術等の活用により厳格かつ円滑な出入国審査の推進
2.外国人の適正な在留管理の実施
3.外国人との秩序ある共生社会の実現に向けた環境整備
4.退去強制手続きの効果的な実施&不法滞在者等への対策強化
5.難民等の適切な保護および支援の実施
6.外国人の受入れの基本的な在り方に関する検討
【具体的な課題に関して私の感想】
上記の6つ全てについて書くとものすごいことになるので、ここでは、
2.外国人の適正な在留管理の実施
4.退去強制手続きの効果的な実施&不法滞在者等への対策強化
の2点について述べようと思います。
【「2.外国人の適正な在留管理の実施」について】
ここで入管庁が「現状の課題」として挙げているのが、在留諸申請の件数が過去最大となっているものの、昨今の外国人に係る諸問題等および在留申請の長期化の是正が望まれている現状を勘案すると、より迅速かつ適正な在留管理の重要性が一層高まっている、という点です。
要するに、入管側の人員も体制もこれまでどおりなのに、外国人は増え、申請件数も増え、問題も複雑化し、不正も巧妙化しているのに、求められるのはこれまで以上に迅速かつ的確な審査であり、その無理難題にどのように立ち向かえばよいか、というようなことを課題として挙げています。
これに対して基本計画では、以下のような対応策を定めています。
①在留管理DXの推進
②在留管理の一層の適正化・実態把握の強化のための具体策
③永住許可制度の適正化等
④上陸許可基準の見直しの検討等
⑤育成就労の運用開始に向けた適切な準備
⑥特定在留カード運用開始およびその活用
といったことを挙げています。
ここでもすべては触れませんが、まず「②」についてです。
入管は、適正な在留管理の為には外国人およびその雇用先(所属先)等の関係機関(以下「雇用先等」という)双方の実態の把握およびその分析を更に強化することが必要だと考えています。
そのための手段として、地方公共団体とのこれまで以上の連携の強化および情報共有のための仕組みの構築に取り組むということを言っています。
そのうえで、外国人の雇用先等への実態調査等、すなわち立ち入り検査・現場調査等を増やすこと、そして、これらの手段のために必要となる人的・物的体制の整備を行うとしています。
そして、今問題となっている「偽装技人国」(専門的な知識・技術を有する者にしかできない仕事をするための在留資格(ビザ)「技術・人文知識・国際業務」を持って在留しながらも、実態としてそのような仕事はしておらず単純労働をしている外国人等を指す言葉)や、留学生のアルバイトしすぎ問題についても、関係機関と連携して実態把握を努めるとしています。
特に「資格外活動許可」そのものを見直すことも検討されていることが書かれていますので、この点は今後の動きに注目ですね。つまり、これまでのように簡単に許可が取れなくなる可能性があります。
続いて「③」に行きたいところですが、既に「第185回」のブログで触れていますのでそちらをご参照ください。
最後に「④」についてです。
ここでは、国税庁との情報連携により外国人の公租公課の履行状況、つまり税金をしっかり適正に納めているか等について、事業実態の把握に努め、状況によって更に必要な見直しを行うとしています。
この部分は、「経営・管理」の在留資格に係る部分が大きいです。この「経営・管理」の問題について詳細は触れませんが、要するにビザだけ持って、実際には事業経営などしていないという事例が散見されたたことで、昨年10月に同在留資格(ビザ)の上陸許可基準が厳格化されましたが、それについてのものです。
高度人材の受入れについても見直しを検討するようです。
これについては「高度専門職外国人」のポイント制についての見直し、要件についての見直しのみならず、それ以外の在留資格(ビザ)、例えば「技人国」「技能」等についても見直しが検討される可能性があるのではないか、と思います。
つまり、ハードルを上げることでそもそも申請できる外国人の絶対数が減ることになり、自然と外国人の数が減る(=本当に高度な人材しか日本に住めない)ことに繋がりそうですね。
と言いながらも、基本計画では「高度な人材の獲得競争」には勝ちたいというようなことが書かれてあり、高度人材受入れ促進のための審査期間の短縮や条件周知も必要として、広報活動の強化に向けた取り組みも行っていく、となっています。
個人的には「増やしたいの?減らしたいの?どっちなんだい?」という感覚です。
私は今のままでは、高度の人材は来ない、特定技能・育成就労などの高度でない人材(言い方は悪いですが)は増える、という状況になるのが目に見えていると思います。
【「4.退去強制手続きの効果的な実施&不法滞在者等への対策強化」について】
2025年末時点での不法滞在者等の数は約68,000人で、最多であった1993年の約30万人に比べればかなり減っているように見えますが、実は2014年に6万人となってから高止まりしている状況です。
このような状態を脱却するために、入管庁が基本計画に示した今後の方針の主なものは以下のとおりです。
①国費送還の計画的かつ的確な実施(退去が決まったのに退去を拒む送還忌避者への対応)
②不法滞在者・不法就労(助長)者の効果的・効率的摘発・厳格な対応
まず「①」についてです。
入管法違反(不法残留など)の疑いがもたれ、調査をした結果、法違反である旨の決定がされ、所定の手続きを経たうえで正式に退去することが確定した者であって、送還を拒否する者のことを「送還忌避者」と言います。
この送還忌避者について、厳格に対応し、確実に送還するぞ、というのが入管の今後の姿勢です。
それを実現するための今後の方針として、職員の増員をすることは当然のこととして、その送還に対応する職員に対する研修の強化、更には送還に必要な物的資源(機械器具など)の充実、そして職員の処遇改善も行う予定であるとされています。
また、事案に応じて送還方法(個別送還、小規模集団送還、保安要員付送還等)も検討していく予定です。
なお、国費送還を基本とするわけでは当然なく、既に法改正によって取り入れられている諸制度(出国命令対象者の拡大、退去の命令制度、上陸拒否期間短縮制度など)を活用して、その対象となる者に関しては自発的出国・退去を促すことも同時進行で行っていくとされています。
またIOMの活用が所々で言及されており、入管が、今後の送還業務に関して、IOMを重要な手段として捉えていることも窺えます。
そして「②」です。
ここでまず掲げられていることは、ずばり「摘発強化」です。
第一に、摘発強化のために「情報収集・分析機能強化」が重要であるとして、上述されている地方公共団体等との連携・情報共有とともに、デジタル技術の活用を促進していくことが強く述べられています。
そして、必要な人材の確保および体制の整備を行ったうえで、以下のようなことを厳格に行っていくようです。
・不正ヤードの摘発(不法就労の温床とされており、これ以上放置できないと前々から考えられていた。)
・不法就労者本人はもちろん、不法就労を行わせている「不法就労助長者」への厳正な対応。
(前者もですが特に)後者については、入管が以前よりずっと重く受け止めている問題です。
具体的には、仮に不法就労助長を行った外国人が、最終的に刑事罰を受けなかった場合でも、積極的に退去強制していくこと、不法就労助長罪に係る各法律との関係の変更を求めること、等が言及されています。
前者について。
この不法就労助長者である外国人は、元々刑罰を受けていようがいまいが、退去強制の対象となっています(入管法24条第一項三の四イ~ハ)ので、そうであるならば、入管(国・行政)としてそう認めた外国人については、司法の判断を待つことなく、容赦なくバンバン送還していこうということです。
後者について。
日本では、ある仕事をするためには許可・認可など(以下「許認可」という)を取得しなければならないことが法律で決まっている者が多くあります。
例えば、私がやっている行政書士という仕事もそういったものの一つです。
そして、そのようなものには、必ずと言っていいほど許認可をするにあたっての「欠格事由」というものが定められています。
ちなみに行政書士の欠格事由の主なものは、未成年者、破産者、拘禁刑以上の刑に処せられた者などがあります。
入管は、日本に数多くある許認可が必要な業務について定めた法律に関し、この「不法就労助長罪」により刑に処せられたことのある者等、を加えてもらうよう関係省庁に働きかけていくよ、というのが後者の意味です。これが実現すると、この不法就労助長を行うことによるリスクは格段に跳ね上がりますので、まともな経営者や使用者、事業主は外国人雇用には細心の注意を払わざるを得なくなるでしょう。
【最後に】
何となくまとまりがないことになってまってますが、最後にまとめると、入管は今後、以下のキーワードをもとに行政運営を行っていきます。
・手続きおよび業務のDX化
・上陸審査・在留審査の時間短縮
・上陸審査・在留審査の時間短縮しつつも一層の厳格化(JESTAや関係各所との情報共有、人員増員等)
・地方公共団体のみならず、関係省庁、民間団体、外国人の所属機関等との連携強化
・在留外国人との秩序ある共生に向けた取り組み(日本語教育、生活支援プログラム等の実現)
・不法滞在者対策(積極的強制送還の実施、自主出国の促し、JESTA等による発生の未然防止、摘発強化等)
・難民等認定手続きの適正かつ厳格な運用、審査期間短縮(案件分類の更なる見直し、DX活用、諸外国との連携強化等、申請回数の制限の導入?、)
・↑を実現するための入管庁全体の体制整備と処遇改善(人材育成強化含む)
それ以外にも怖いことや興味深いことが多々触れられていますが、めちゃくちゃ長くなってしまったので、ここまでにします。
最後までお読みいただきありがとうございました。