長久手市の在留資格(ビザ)をはじめとする外国人関連手続き専門特定行政書士、竹内です。
9月8日(水)、私も例外なく人生初の帰宅困難者となりました。
その日は名古屋入管にいたのですが、その帰りにあおなみ線がストップしました。
市バスで六番町まで行って地下鉄に乗ろうと思ったら、地下鉄も全線運休。
仕方なく、歩きました。17.2km、40,160歩(笑)
何とか22:00過ぎには家に帰ることができました。
いや~、これほど歩いたのは、屋久島での縄文杉トレッキング以来ですね。あれに比べれば楽だったような気もします。(精神的には強制的かつ必要に迫られた点において今回の方がきつかったかもしれませんが)
あらためて、インフラの脆弱さを目の当たりにしましたね。自然災害に対して人はあまりにも無力ですね。
ということで、今回もスタートです。
今回は、8月末に入管庁のHPにUPされた「不法滞在者ゼロプラン強力推進パッケージの解説」を見て、解説したいと思います。
【不法滞在者ゼロプラン強力推進パッケージとは】
これについては過去ブログでも何回か触れてますので、簡単に行きます。
不法滞在者を増やさないため・減らすために入管庁が色々分析した上で公表した「俺たちはやったるで!」という決意表明(選挙の公約みたいなイメージ)のようなものです。(私見による感覚)
25年5月 ⇒ 突如「国民の安心・安全のための不法滞在者ゼロプラン」を公表。
26年5月 ⇒ 突如「不法滞在者ゼロプラン強力推進パッケージ」を公表。
※↑この少し前から(現在まで)、異例の年度途中での入国警備官の増員募集もしている。
26年8月 ⇒ 突如「不法滞在者ゼロプラン強力推進パッケージの解説」なるものを公表。(今ここ)
これだけ慎重に情報を出しているということは、「ホンマにめっちゃやるからお前らビビらんといてや」という意志表示にほかなりません。
【不法滞在者の増加要因および減少要因について】
これについて、まず増加要因として挙げられているのは以下の3点です。
1.ビザ不要国から短期滞在(ビザを取らずにパスポートのみ)で来日、その後不法残留になる人が多い!
2.技能実習で入国して、その後不法滞在者になる人が多い!
3.難民認定申請歴のある者に不法滞在となっている者が多い!
一方、減少要因としては、下記2点が挙げられています。
1.出国命令の活用(あんたダメ。30日上げるからその間に国へ帰りなさい、という制度)
2.退去強制制度による送還(普通の強制送還)
※2025年については、☝2つのみで不法滞在状態解消の約96%を占めている。
【具体的内容】
以上のことを踏まえて、入管庁が「不法滞在者を増やさない・減らすためにどうすべきか」と考えた結果、次のステップにより目的を達成しようとしています。
1.上記増加・減少要因を踏まえた対策の段階分け
2.「1.」の段階に応じた個別具体策の策定およびそのために必要な事項等の検討
3.対策の実施
4.目標の達成
【「1.段階分け」について】
これは、どのような場合にどのような対策が必要になるのかを考えるために、この「どのような場合」の部分を段階に分けて、それぞれの段階に応じて何をすべきかを考えるためのものです。
結局、入管庁はその段階をつぎの3段階に分けました。
① 入国管理・・・日本に入る段階
➁ 在留管理・難民認定申請・・・日本に入った後、日本にいる段階
③ 出国・送還・・・日本に入った後、不法滞在等となり、退去強制が決まった段階
【「2.段階に応じた対策および実施に必要な事項等」について】
次に、上記①~③の段階にある外国人に対してどのような対策が必要かを以下の3つに分類しました。
Ⅰ.不法残留者を増やさない施策
Ⅱ.不法残留者を減らす施策
Ⅲ.不法残留者を増やさない、かつ、減らす施策
【各段階における具体的な施策について】
「①入国管理」段階における「Ⅰ.不法残留者を増やさない施策」として実施されるのがいわゆるJESTAの導入です。ニュースでもこれの実施年度が当初の2030年度から2028年度へと早められた際話題になりましたが、それだけ政府としてはこれを重要かつ必要なものと考えているのは明らかです。
これを実施する理由は、最初に述べたように「ビザ不要国から来日して、そのまま不法残留になる人が多い!」という分析データがあるからです。
つまり、査証(ビザ)を取得してからでないと観光でも日本に入れない国の人はあまり不法滞在状態になっていないので(比較的に)、ビザ不要国からの来日を厳しくすれば不法残留者も減るんじゃね?ということです。確かに合理的です。
問題は、このJESTAがどれほどの精度で怪しい外国人をはじけるのか、というところですが、この結果がわかるのはだいぶ先ですね。
なお、「技能実習で入国して、その後不法滞在者になる人が多い!」の問題に対しては、来年4月から始まる育成就労で技能実習制度の問題点(転籍不可等)は解消されるはずだから大丈夫やろ、と言っていますが、本当にそうなのか甚だ疑わしいです。
最後に、中長期在留者(観光客とかでなく、日本で働こうとする外国人等のこと)に関しては、そもそもの根底を覆そうという話もさりげなく出ています。上陸許可基準の厳格化ですね。つまり、そもそも日本で働くために必要となるハードルを上げて、これまで以上に高度な人材でないと申請すらできない(=外国人数を減らせば、当然不法残留者も減る)、という状況にすることを暗ににおわせることもかかれています。
次に「不法残留者を増やさない、かつ、減らす施策」について主なものを書きます。
まずは「難民認定申請の審査の迅速化」ですね。
これは「あまりにも難民等認定申請の濫用・誤用が多すぎる!」という現状に「どげんかせんといかん」と入管庁が本腰を入れたものです。
濫用・誤用が多い=申請件数が多い⇒人手不足もあり審査の制度が下がる⇒真に救うべき難民を救えない
という悪循環を防ぐことがこの目的です。
これを解消するために入管庁が取り入れたのが「B案件のさらなる類型化」です。
難民認定をすると、まず案件の振り分けが行われます。大まかにいうと下記の通りです。
A案件:これは難民の可能性高いで。ちゃんと見たろ!(難民の可能性大)
B案件:これ絶対難民ちゃうやんけ。見ることは見るけども!(難民の可能性小)
C案件:またこいつやん!何回目やねん!(再申請)
D案件:A~C以外のケース(その他)
今回入管庁がやっているのが、上記のうちの「B案件」をさらに細かく分けて、明らかな誤用・濫用は即刻不認定を出すことにより、本当に大事な審査に時間をかけられるようにしようという取り組みです。
これに関しては、適正に運用される限りにおいては私も賛成ですが、これにかまけて難民の可能性をはなから捨ててとりあえずB案件に振り分ける、というようなことがあっては本末転倒です。
また、人手不足の解消の手段としてDXの活用も謳われています。
最後に「不法残留者を減らす施策」として主なものは以下のようなものがあります。
まずは、護送官付き国費送還の促進です。
要するに、これまで法改正などをしながら「自分で帰れ!」と促しても中々帰らないから不法残留者が減らないという状況がありました。もちろん、入国警備官の人数不足も「自分で帰れ」を促す理由でもありました。
しかし「これではもう無理や。無理無理。」と入管庁があきらめて、人員を増やしたうえで研修もしっかりやって、バンバン護送官を付けて確実に国費送還して、地道に不法滞在者を減らしてやろうということにしたのです。
先ほど触れた「異例の年度途中での入国警備官増員」というのがこの姿勢を証明するある意味恐ろしい出来事なのです。
とは言え、全員を護送官付で送還することは当然ながら不可能です。6万8千人いますからね。
なので、これと併用して「自主出国」も促していくことも大切だと入管庁は考えました。
これも見据えて令和5~6年度には既に入管法が改正されており、既に施行されています。
この改正で、退去の命令、一定の条件での退去強制後の入国拒否期間の短縮許可といった自主出国を促す制度が導入されています。
これらの制度をうまく周知しながら、国費送還も併用して、結果として不法残留者を減らすというのが、今後の入管の姿勢です。周知とともに「この前強制送還されたあんたの国の人、早く自主的に帰っとけばよかった~、って泣きながら後悔しとったで。」というようなことも退去強制対象者に伝えることで「ホンマかいな、めっっちゃ嫌やん。ならすぐ帰るわ!」と仕向けるようなやりかたも取るようですよ。
また、仮放免・監理措置に付されている人がルールをやぶったりした場合は、容赦なく収容して帰国を説得し、応じないならバンバン強制送還する、とも書いてあるので、「やった~、監理措置(仮放免)や~、もう俺は自由や~」と浮かれてめちゃくちゃやっていると、痛い目に合うかもしれませんね。
最後に「不法就労防止」と「摘発強化」です。
退去強制が決まった人は、仮放免や監理措置になっても一切働けませんが、実際には働いている(不法就労している)人がたくさんいます。これは入管が最も嫌うことの一つなので、相当本気でやってきます。
まずは積極的な摘発です。関係各所からの通報のみならず、入管自らが全国各地の怪しい場所に出向いて(もちろん抜き打ち)バンバン摘発する、ということは間違いなく増えます。これに関しては、「不正ヤードの摘発」としてまさに昨日ネット記事になってましたね。
そして、不法就労できるのはその人を雇う人がいるからです。なので、その「雇う人」等=「不法就労を助長する人」への罰も重くしようと目論んでいます。
とにかく「不法就労をする外国人本人も、その外国人を働かせる日本人・外国人も絶対に許さない。徹底的に懲らしめてやる」という入管庁の姿勢が今後より一層強まるのは間違いないので、変なことをしている人は今すぐやめましょうね。
ということで、今回は以上です。
最後までお読みいただきありがとうございました。