長久手市の在留資格(ビザ)専門行政書士、竹内です。
今回は、「特定活動」と「定住者」という2つの在留資格(ビザ)についての説明をしていこうと思います。
【特定活動】
・入管法では在留資格(ビザ)の一覧が入管法の「別表」に記載されています。そして、この別表はまず「別表第一」と「別表第二」の2つに分かれています。
・別表第一は、「居住資格以外の在留資格」が規定されており、さらに5つの表(一の表~五の表)に分かれています。そして、一の表、二の表はいわゆる就労活動、三の表は短期滞在・文化活動、四の表は留学・研修・家族滞在が規定されています。そして、五の表にこの「特定活動」という在留資格(ビザ)が出てきます。
・この「特定活動」は、「法務大臣が個々の外国人について特に指定する活動」と書かれているだけです。つまり、特定活動は、別表第一~第四に掲げられている居住資格以外の在留資格(ビザ)のいずれにも該当しない活動であり、かつ、法務大臣がそれでもその外国人を日本に在留させることが相当であると認めたときに認められる在留資格なのです。
・そして、この「特定活動」という在留資格は無数に存在し、我が国の在留資格制度を複雑にしている1つの原因ともいえるかもしれません。
・特定活動という在留資格は、大きく2つに分かれます。1つ目は「告示特定活動」、2つめは「告示外特定活動」です。
・まず「告示特定活動」についてです。特定活動とは、本来上述したように「法務大臣が個々の外国人について特に指定する活動」であり、原則として、法務大臣がその申請があった都度審査し、その活動を許可するか否かを決定、許可する場合には在留資格「特定活動」が決定される、というものです。
・しかし、毎回毎回審査することは事実上不可能です。そこで、特定活動として認めるべき活動の種類をあらかじめ告示に示しておいて、その告示に載っている活動に関しては、法務大臣ではなく、入国審査官限りで審査し、許可をすることができるようにしています。これが「告示特定活動」です。
・つまり、この「告示特定活動」については、他の在留資格と同様、告示特定活動として定められている1つひとつが「1つの在留資格」といって事実上差支えありません。告示特定活動は、通称「特定活動告示」と言われるものに記載されており、2022年現在1号~50号まであります(内2号、48・49号など一部削除済みのものあり)。つまり、「特定活動」という在留資格は「1つの在留資格」ですが、実際には、その中の「告示特定活動」には50個近くの在留資格が存在しているのです。
・なお、「特定活動」の在留資格が許可されると、日本で行われる「活動が指定される」ことになりますので、その行う活動内容を変更する場合には、在留資格の変更許可申請の手続きが必要となります。ここが、後述の「定住者」とは異なる点の1つです。
・告示特定活動の主なものとしては、高度専門職外国人の家事使用人、アマチュアスポーツ選手、日系4世、大阪万博関係者、イギリス人ボランティア、EPAインドネシア・フィリピン・ベトナムの看護師候補者・介護福祉士候補者等、本邦大学卒業者、スキーインストラクター等があります。
・一方、告示外特定活動として許可実績のある活動の類型としては、大学等を卒業後就職活動をするために在留する者、EPAインドネシア・フィリピン・ベトナムの看護師・介護福祉士、各種起業活動関係のもの等があります。
【定住者】
・「定住者」は、上記で出てきた入管法別表の、別表第二に記載されています。
・定住者は、「法務大臣が特別な理由を考慮し一定の在留期間を指定して居住を認める者」と書かれています。つまり、先ほどの「特定活動」は日本で行う「活動」について法務大臣が認めて許可をするものであるのに対し、定住者はその外国人の日本での「地位・身分」について法務大臣が認めて許可をするものです。
・別表第二には、永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等という3つとともに定住者が定められていますが、「特定活動」と同様に、定住者は「別表第二の永住者・日本人の配偶者等・永住者の配偶者等」のいずれの身分・地位にも該当しない外国人に対して、法務大臣が特別な理由を考慮して、相当期間の在留を認め、許可するという在留資格です。
・この定住者の在留資格も、特定活動と同様、「告示定住」と「告示外定住」の2種類に大別されます。そして、特定活動と同様、「告示定住」については、法務大臣があらかじめ告示で定めている地位・身分については、法務大臣がその都度審査せず、入国審査官限りで審査・許可をすることができます。つまり、定住者告示に定めれれている地位・身分1つひとつが実質的には「1つの在留資格」といえることになります。
・「特定活動」については、前述のとおり「活動内容を変更」する際には「在留資格変更許可申請」が必要となりますが、「定住者」については、原則として、日本入国後の、年齢や扶養を受けているか否かなどの要件に関する事情変更があっても、「在留資格変更許可申請」は不要です。
・例として、定住者告示7号に「日本人等の扶養を受けて生活する6歳未満の養子」という地位が定められています。この「6歳未満の養子」が、上陸許可を受けて日本で生活を開始し、その後月日を重ね、6歳以上になったからと言って「では、祖国に帰りなさい」ではあまりにも理不尽です。そのため、このようなケースでは、在留資格変更許可ではなく、「在留期間更新許可申請」の対象となります(告示定住⇒告示外定住は在留資格の変更にはあたらず、更新です)。
・「告示定住」の例は、日系人2・3・4世の一部、中国残留邦人、第三国定住の難民受け入れ対象者等です。
・一方「告示外定住」として認められた実績のある地位・身分は、日本人等との離婚・死別・婚姻破綻した者、日本人の実子を監護養育する者、上陸拒否事由に該当することが判明した永住者、就労系資格で継続して10年程度以上在留する者等があります。
以上、今回は「特定活動」と「定住者」について、その違いや比較等を通して、概要を欠いてみました。個々の在留資格の詳しい内容も、今後書いていけたらいいなあと思っていますので、またその時は読んでみてください。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。