前回に引き続き、今回も在留資格の紹介です。
今回は「技能」という在留資格について書きます。
「技能」の在留資格の在留資格該当性は、入管法上「本邦の公私の機関との契約に基づいて、産業上の特殊な分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する活動」という短い表現で書かれているだけです。
ポイントは「❶特殊な分野」と「❷熟練した技能」です。
❶特殊な分野について
入管法上は特に何も書かれていないので、どのような業種や職種であっても「熟練した技能」というのを持っていればいいのかなぁと考えてしまいますが、そうではありません。基準省令(法律を補う決まりみたいなもの)に明示されている職種に従事する場合のみ、「技能」の在留資格に対応する活動となります。その明示されている業職種は以下の通りです。
1.外国料理の料理人
2.外国に特有の建築又は土木に関する技能 3.外国に特有の製品の製造又は修理に関する技能 4.宝石、貴金属、毛皮の加工に関する技能
5.動物の調教に関する技能
6.石油探査の為の海底掘削、地熱開発のための掘削、海底鉱物探査の為の海底地質調査に関する技能 7.パイロット
8.スポーツ指導者 9.ソムリエ等
上記1.~9.に該当する仕事に就くのでない限り、どれだけ優れた技能を持っていても「技能」の在留資格は許可されません。
❷熟練した技能とは、どのくらいのレベルかというと、具体的には以下の通りとなります。 上記1.~6.に関しては、原則として10年以上、8.に関しては3年以上、9.に関しては5年以上の実務経験が必要になります。(外国料理の料理人、スポーツ指導者、ソムリエ等はもう少し異なる条件等もございますが、ここでは省略いたします)
7.は250時間以上のパイロット経験が必要です。
技能の在留資格の中で、「外国料理の料理人」(上記1.)では過去の勤務先であるレストラン等から在職証明書を取り付ける必要がありますが、非常に偽造されることが多く、審査がとても厳しいです。申請すると必ず入管担当官が事実確認をします(現地に電話を掛ける等)。これが繋がらなかったりすると、不許可となります。
そして、8.スポーツ指導者は、当事務所としても力を入れていきたいものとなります。この資格を取るためには、上記の3年以上の経験が必要となるのが原則ですが、それが無くとも、オリンピックや世界選手権大会に出場したことを立証できれば、「技能」の在留資格が許可され得ます。(もちろん、日本でスポーツ指導者として生計を立てる必要があり、全く関係のない職種に就く場合は技能の在留資格は許可されません)
以上、今回は簡単に「技能」の在留資格の説明をいたしました。
次回は「特定技能」について書いていく予定です。