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【第100回】法定後見制度~後見、保佐、補助~

長久手市の在留資格(ビザ)と終活関連業務(相続、遺言、成年後見、死後事務等)専門行政書士の竹内です。

11月もまもなく3分の2が終わりますね。

去年以前の11月の気候がどんなだったか全く覚えていませんが、少し暖かいような気がしますよね。もっとも、今日の朝は「寒っ!」と感じましたが、11月下旬にしてはやはり暖かいのかなと、思います。

というわけで、今回は何のひねりもない冒頭になってますが、今週も行きましょう!

 

今回は、前回から再開した「終活シリーズ」のつづきです。前回は後見制度の概要について触れましたが、今回は、その後見制度の詳細を書いていきます。後見制度は、大きく分けると「法定後見」と「任意後見」に分けられますが、今回は前者について書いていきます。

 

【法定後見とは?】

繰り返しになりますが、後見制度には、「法定後見」と「任意後見」の2つの種類があります。

このうち「法定後見」とは、『民「法」に「定」められている「後見」制度』のことです。

 

【法定後見の3つの形態とは?】

法定後見は、更に「後見」「保佐」「補助」の3つに分けられます。

この違いは、対象となる人の「判断能力の程度」です。

その対象者は、

後見・・・・精神上の障害により事理を弁識する能力を「欠く常況」にある人

保佐・・・・精神上の障害により事理を弁識する能力が「著しく不十分」である人

補助・・・・精神上の障害により事理を弁識する能力が「不十分」である人

以上の表現は、法律に書かれている文言をほぼそのまま使っていますが、要するに、

後見・・・・既に認知症等を患っており、判断能力が著しく低下し、それが常態化している人

保佐・・・・認知症等の傾向があり、判断能力が低下し、現に日常生活に支障が出ている人

補助・・・・身体的又は精神的な疾患等があり、若干判断能力や身体能力等が低下し、日常生活にも影響がある人

と、言い換えることができます(かなり大雑把ですが)。

つまり、判断能力の低い順に、後見→保佐→補助という区分になっています。

 

【法定後見は、どのように開始するのか?】

3つに共通している法定後見の開始方法は、「申立て」です。

3つ(後見・保佐・補助)は、一定の者からの家庭裁判所への請求(申立て)で開始されます。

請求のできる一定の者とは、

共通:本人、配偶者、4親等内の親族

後見:保佐人、保佐監督人、補助人、補助監督人、検察官等

保佐:後見人、後見監督人、補助人、補助監督人、検察官等

補助:後見人、後見監督人、保佐人、保佐監督人、検察官等

また、申立人がいない場合には、首長(市町村長等)の申立てができる場合もあります。

なお、後見に関しては、未成年者に親がいない場合等に、最後に親権を行った者の申立てで始める「未成年後見」というのもありますが、ここでは省略します。

 

【後見人と被後見人って何?】

被後見人 → 判断能力を失った本人のこと(未成年者→未成年被後見人、その他→成年被後見人)

後見人 → 被後見人の代わりに財産管理・身上監護等を行う人

未成年者の後見人となる人を「未成年後見人」、それ以外を「成年後見人」といいます。

 

【後見人の仕事は結局なにするの?】

これについては、前回のブログで若干触れたのでそちらを参照していただきたいと思いますが、後見人の仕事は「財産管理」と「身上監護」です。

そして、成年後見人には、この後見業務を行うにあたっては「本人(成年被後見人)を意思を尊重」し、「心身の状態」および「生活の状況に配慮」しなければならないとさてており、これは法律上の義務です。

成年後見に関しては、特に「本人の意思の尊重」というのが最も大事にされる必要があります。いくら認知症になってしまっても、そのご本人にはこうしたい、ああしたいという「意思」が必ずあります。その意思に沿って、後見人は業務に取り組む必要があることを十分認識しなければなりませんので、決して楽な仕事ではありません。ただし、法定後見(とくに「後見」)は、本人の判断能力が低下した後に、本人の後見を開始するため、事前に本人の意思を確認することができないため、後見人が家族等でない限り、かなり難しいことは間違いありません。

 

【後見人になれない人、後見人の報酬について】

後見人には、原則として誰でもなれます。ただし、以下の者は後見人にはなれません。

➀未成年者

➁以前家庭裁判所から解任されたことがある後見人、保佐人、補助人

➂破産者

➃被後見人に対して訴訟をした(している)者及びその一定範囲の親族

⑤行方不明者

 

後見人は報酬が必要なのか?ということは昔からよく聞く疑問ですが、必ずしも必要ではありません。特に、子が親の後見人になるといったような場合は、報酬がないことが多いです。ただし、後見人を行政書士や弁護士といった他人に頼むような場合は、報酬が発生するのが通常です。

法定後見の場合、後見人及び被後見人の資力(資産や財産)等を考慮して、家庭裁判所が定めます。つまり、後見人が勝手に自分の報酬を決めたりすることはできません。

 

【法定後見のメリット・デメリット】

主なメリット

・自分の判断能力の低下後も、財産の管理や身上の監護をしてもらえる。

・本意でない契約等をしてしまった場合、後見人がいれば取り消すことができる場合もある。

・後見監督人(後見人を監督する者)の選任も請求でき、後見人の事務を監視してもらうこともできる。

・入院の手続や、施設への入所手続きなどの猥雑な手続きも、後見人にがやってくれる。

・国(家庭裁判所)の監督の下に行われる制度である。

 

主なデメリット

・一旦始めたら、原則として亡くなるまで続く(簡単にはやめられない)

・原則として、後見人を選べない(赤の他人に自分の財産の管理等を任せることになることもある)

・横領などの不正に巻き込まれる場合可能性が否めない。

・原則として、自分のためにしかお金を使えない(孫にお小遣いを上げたい、子に何かを買ってあげたい、といったことが難しい)

 

以上、今回は後見制度の2つの種類のうち「法定後見」について簡単に書いてきました。

次回は「任意後見」について書こうと思っております。

最後までお読みいただきありがとうございました。