長久手市の在留資格(ビザ)&終活関連業務(相続、遺言、成年後見、死後事務等)専門行政書士の竹内です。
12月も後半に突入し、さすがに冬らしく(寒く)なってきましたね。
本当に、冬は嫌です…。寒い、暗くなるの早い、寒い、そして寒いのは本当にきついですね”(-“”-)”
とはいいつつも、時間は過ぎますので今週も頑張っていきましょう!
今週も終活シリーズでいきます。ここ数回にわたって「後見制度(特に任意後見)」について書いてきていますが、今回は、任意後見を開始するまでの基本的な流れを説明したいと思います。
なお、今回説明する流れは、個人的に「理想的」だと思う流れですので、ケースごとに若干異なるのでその点はご了承ください。
【全体の大まかな流れ】
① 信頼できる人を探す。
② ↑の人と何度も話し合い、自分のことを知ってもらう。
③ 任意後見契約を結ぶ
④ 見守り期間開始
⑤ 判断能力の低下が認められる
⑥ 任意後見監督人の選任の請求
⑦ 任意後見開始
【解説】
★「① 信頼できる人を探す。」について
ある意味、これが一番大事なポイントと言っても過言ではないですね。と同時に、一番難しいこととも言えます。しかし、任意後見制度の最大のメリットとも言えます。
後見人(本人の世話をする人)は、被後見人(世話をされる人。以下、本人と言います。)が判断能力を失った後、本人に代わって財産の管理(預貯金の管理、不動産の管理等)や身上の監護(施設入所の契約、入院の契約等)を行います。これは、本人にとって「自分の全てを他人に任せる」と言い換えることができるほど、重大・重要なことです。
そのため、後見人を誰にするか?ということは非常に重要です。
前回のブログでも述べたように、後見人は、一部を除き、誰でもなることができます。
従って、
1.家族、親族
2.知人、友人
3.専門家(弁護士、司法書士、行政書士他)
4.その他
など、誰でもいいのです。
まず、本当に信頼できる家族、親族(以下、家族等)がいる場合、その方の同意があるのであれば、その方を後見人にすることが一番かと思います。特に、家族等が後見人になる場合、報酬も発生しないというパターンが多いので、その面でもプラス面が大きいです。ただ、家族等が後見人になること=無報酬である必要はなく、あえて報酬付きにすることで、お互いに(後見人・被後見人がお互いに)精神的に安心するという効果もあります。
次に、家族・親族が身近にいない、又はいても信頼できないというケースも多くあります。その場合の選択肢として、「2.知人・友人」や「3.専門家」(「4.その他」)があります。
知人・友人で、自分のすべてを任せられる方がいる場合は、その方に頼んでみるのが良いでしょう。なお、このケースでは無報酬とすることも考えられますが、念のため「報酬付き」にしておいた方がよい場合が多いと思います。知人・友人であるとはいえ、やはり「他人」であることに変わりはないので、そこは意識した上で後見契約を結ぶ方が良いかと思います。
そして、信頼できる家族等、知人・友人がいない場合では、それ以外から後見人を探す必要があります。そこで出てくるのが、専門家等です。つまり、職業として「後見人」に就く人に頼む方法です。この場合のメリットとしては、何よりも制度に関する知識を熟知しているため、手続き等が迅速・正確に行われることが期待できることでしょう。デメリットとしては、100%報酬が発生すること、そして、全くの赤の他人であり、信頼できる人かどうかの見極めが難しいことです。
そして、忘れてはならないポイントが、「年齢」「健康状態」等です。
つまり、後見人を選ぶにあたって、本人と同じ又はそれ以上の年齢の人を選ぶと、自分より先に亡くなったりしてしまう可能性が高いので、なるべく避けるか、複数人での契約を結ぶことが望まれます。これについては、大病を患っている方等についても同様のことが言えます。
★② ↑の人と何度も話し合い、自分のことを知ってもらう。/③ 任意後見契約を結ぶ
後見人となってほしい人が見つかったら、自分のことをよく知ってもらうことが大事です。
これに関しては、特に専門家等、赤の他人を後見人にしたい場合に重要となってきます。例えば、ずっと一緒に暮らしている信頼できる家族を後見人にする場合は、その家族は、本人の好きなこと・嫌いなこと、趣味、好物、性格、人生の出来事等々、色々知ってくれていると思います。
しかし、専門家等はそうではありません。
そのため、初めて会ってその場で任意後見人をお願いする、ということはなるべく避けるべきです。もちろん、諸事情によりそうせざる得ないケースもありますが、できる限り何度も会って話をして、後見人がどういう人間なのかを見極めることが大切です。つまり、可能な限り、時間をかけて依頼するかどうかを検討することをおすすめします。
これは、将来的にお互いにとってプラスに働きます。
こうして、後見人となる人を無事見つけられたら、公正証書にて「任意後見契約」を作成します。
★④ 見守り期間開始
任意後見契約を締結する段階では、本人の意思もはっきりしているのが条件です。もし、本人の意思がはっきりしていない場合は、そもそも任意後見契約は締結できません。このような場合は、法定後見(以前のブログをご参照ください。)となります。
後見人は、任意後見契約を締結した後、本人の判断能力が低下した時、裁判所に任意後見監督人の選任の申立てをします。
したがって、任意後見契約を締結してから任意後見を開始するまでの間、契約に何も定めていないと、後見人が本人の判断能力の低下に気づかない、というようなことになりかねません。
なので、任意後見契約の内容に加えて「見守り契約」というものも加えるべきです。見守り契約は、定期的(例えば、1か月に2回以上等)に後見人が本人を訪問又は本人に電話等をする等を行うことを内容とする契約で、本人の変化に気づきやすくなります。すなわち、迅速かつ適正なタイミングでの任意後見監督人の選任の申立てにつながるのです。
★⑤ 判断能力の低下が認められる/⑥ 任意後見監督人の選任の請求/⑦ 任意後見開始
そして、本人の判断能力の低下が認められたタイミングで、後見人が家庭裁判所に「任意後見監督人の選任の申立て」をします。
これにより任意後見監督人が選任されることによって、任意後見契約は効力が発生し、任意後見が開始されることになります。
以上、今回は任意後見契約の開始までの流れについて書いてきました。
最後までお読みいただきありがとうございました。