loader image

【第108回】外国人が国外へ送還されてしまうのはどんな時? ~退去強制事由について①~

長久手市の在留資格(ビザ)等外国人関連業務専門行政書士、竹内です。

いや~、最近本当に寒いですね。先日は長久手市では珍しいくらい雪が降りました。「東海平野部でも雪が降る」とニュースで聞いてはいたものの「まあ、長久手は関係ないだろう」とたかをくくっていましたが、普通に大雪でした(笑)。

まだまだ寒さは続きますので、体調には注意して頑張っていきましょう。

それでは、今週もスタートです。

 

今回からは、また外国人関連に戻ろうと思います。

今回から何回かは「退去強制事由」というものを説明していこうと思います。

退去強制事由とは、日本にいる外国人が一定の事由に該当した場合に、その外国人の在留(日本滞在)を強制的にやめさせて、日本からの退去を強制する制度(=退去強制制度)を適用する場合の、その事由のことであり、入管法第24条に列挙されています。

その退去強制事由には、一体どのようなものがあるのでしょうか?

条文の順序で一つ一つ見ていきましょう。

【第24条一号、二号】

条文

一 第三条の規定に違反して本邦に入つた者
二 入国審査官から上陸の許可等を受けないで本邦に上陸した者

解説

一号 第三条の規定とは、いわゆる「不法入国者」に関する定めです。つまり、偽造パスポートで上陸しようとして日本の領域に入った外国人、パスポートを持たずに密入国しようとして日本の領域に入った密航者、また有効なパスポートを持っていても正当な上陸手続を経ないで上陸しようとして日本の領域に入った外国人などがその典型例です。

二号 一号と似ていますが、一号は不法「入国」者を対象にしているのに対し、二号は不法「上陸」者を対象としています。入国とは「日本の領域(領海・領空)に入ること」を指し、上陸は「日本の領土に入ること」を指します。正規の上陸手続を受けないで日本に上陸した外国人は、退去強制事由に該当します。

つまり、一号は上陸しようとして入国した者、二号は実際に上陸した者を対象としています。

【第24条二号の二、二号の三】

条文

二の二 第二十二条の四第一項(第一号又は第二号に係るものに限る。)の規定により在留資格を取り消された者

二の三 第二十二条の四第一項(第五号に係るものに限る。)の規定により在留資格を取り消された者(同条第七項本文の規定により期間の指定を受けた者を除く。)

解説

「第二十二条の四第一項」にはいわゆる「在留資格取消事由」が定められています。在留資格取消事由は、同項第一号~第十号まで定められていますが、その内第一号又は第二号(二号の二)、一定の条件下で五号(二号の三)に該当する理由により在留資格を取り消された場合に限り、ここで言う退去強制事由に該当することになります。

その第一号とは、日本に上陸する際の審査において、嘘の書類等を提出して不正に上陸許可を受けたことを理由とする在留資格取消事由です。

第二号は、嘘の書類等で不正に在留資格変更許可等を受けたことを理由とする在留資格取消事由です。

第五号は、いわゆる就労系在留資格(ビザ)をもって在留している外国人が、その就労資格に合った活動をしていない、或いは全く別の活動を行っている又は行おうとしていることに対する退去強制事由であって、かつ、それが悪質であるために出国期間(※下記参照)の指定を受けなかった者が対象となる退去強制事由です。

【第24条二の四】

条文

二の四 第二十二条の四第七項本文(第六十一条の二の十一第二項において準用する場合を含む。)の規定により期間の指定を受けた者で、当該期間を経過して本邦に残留するもの

解説

「第22条の四第七項本文」とは「在留資格を取り消す場合に、その対象となる外国人に対して与えられる出国までの猶予期間」について定める条文です。例えば、在留資格を取り消されてしまった外国人が、その場で即出国しなさいと言われても不可能ですよね。そのため、在留資格が取り消された場合は、その取消しから出国までの出国準備期間(これを「出国期間」といいます。)が与えられます。(ただし、例外あり。)

第24条二の四は、その出国期間を過ぎてもなお、日本に残っている外国人に対する退去強制事由です。

 

以上、今回は「退去強制事由」を定める条文である入管法第24条の第一号~第二号の四までのものを解説してきました。次回は第三号から先を予定しています。

最後まで読んでいただきましてありがとうございます。