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【第114回】もし入国審査中に何か起きたらどうなるの?

長久手市の在留資格(ビザ)等の外国人関連手続きに強い特定行政書士・竹内です。

寒い日が続いていますね。もう2月も終わりますが、例年の感覚では3月~4月中旬くらいまでは寒いイメージがあるので、もう少し寒さとお付き合いする必要がありそうですね。

春はもうすぐ!がんばって冬を乗り切りましょう!

では、2月最終週スタートです。

 

前回で6回に及ぶ「退去強制事由シリーズ」が終了しました。

今回は、逆に(?)外国人の上陸手続に関することを書いていこうと思っています。

今回は「仮上陸の許可」という制度を紹介します。

 

【仮上陸の許可とは?】

外国人が日本の空港(や港)に到着すると、日本に上陸(入国)するための審査を受けなければなりません。

この審査に合格すれば、晴れて適法に日本の領土に入ることができます。

しかし、例えば、以下の例のように上陸手続中に何かあった場合、途中の上陸の審査は一体どうなってしまうのでしょう?また、その場合の外国人の扱いはどうなってしまうのでしょうか?

例)上陸手続中に大規模な災害が発生し、上陸審査どころではなくなった場合。

このような場合では、外国人は上陸の許可を受けていないため、適法に日本に上陸することはできないことになります。だからといって、災害が収まって安全が確保されるまで、空港の入国審査場でそのまま待機させておくのでしょうか?

そんなはずはありませんよね。このようなケースで使われる制度が「仮上陸の許可」という制度です。

この仮上陸の許可をするのは「主任審査官」(入国審査官の中から選ばれる、立場が上の人)です。つまり、この仮上陸の許可は、外国人側から「仮上陸の許可をしてください」というように申請をして得られるものではなく、あくまでも主任審査官が「これは仮上陸の許可をする必要があるな」と認めたときになされるものです。

 

【仮上陸の許可を受けた場合】

主任審査官が、この「仮上陸の許可」をする場合には、外国人に対して以下のような条件を付けることができます。

・(仮上陸の許可期間中の)住居

・行動できる範囲の指定

・呼び出しに対して出頭する義務

・200万円(未成年者は100万円)を超えない範囲での保証金の納付 等

なお、仮上陸の許可を受けた外国人には、在留カードが交付されるわけではないので、その代わりに「仮上陸許可書」というものが交付されます。これは、常に携帯しておく義務があります。

 

【仮上陸の許可を受けた外国人に対する罰則等】

仮上陸の許可を受けた外国人が、以下のような行動をすると罰則が科されたり、不利益が生じます。

・仮上陸の許可に対して与えられた条件に対する違反 → 保証金の没収

・住居から逃亡したとき → 保証金の没収、退去強制手続きへ移行

・出頭義務に応じない → 保証金の没収 など

 

【仮上陸の許可の期間】

仮上陸の許可は、上述のように「上陸手続中」に何らかの支障が生じた場合の特別な許可という性質のものなので、仮上陸許可の期間は、「上陸審査が終了するまで」の間となります。

 

以上、今回は「仮上陸の許可」という制度について書いてみました。

最後までお読みいただきありがとうございました。