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【第119回】在留資格が取り消されるのはどんなとき?~その1~

長久手市の在留資格(ビザ)をはじめとする外国人関連手続き専門特定行政書士、竹内です。

まだ春は少し先のようですね。

一昨日当たりから今日までめちゃくちゃ寒い!せっかく咲き始めた桜も一気に縮こまってしまうような感じですね。しかも、明日からは天気も悪くなるようで・・・新年度のスタートは何となくはっきりしない感じになりそうですね。

入学式、入社式の日には是非あたたかな春の日差しが差し込むような素敵な一日になりますように…!

ということで、今週もスタートです。

 

今回からはまたシリーズもので「在留資格の取消し」というものに着目して解説していきたいと思います。

以前のブログ(108回~113回)で「退去強制事由」というものを紹介しました。

この「退去強制」と今回のテーマ「在留資格の取消し」は異なります。

だいぶ端折って言うと、前者は「在留資格失う+強制送還される+しばらく来日できない」というものであり、後者は「在留資格失う+いついつまでに出てってね♪」というものです。(原則)

「退去強制」は、文字通り強制的に出国させられ、かつ、その後の日本への上陸も5~10年できなくなります。これに対して、「在留資格の取消し」を受けてちゃんと期間内に出国すれば、「退去強制」されたことにはならないので、5~10年上陸できない、ということは制度上ありません(もちろん、必ず上陸できるというわけでもありません。なぜなら、「在留資格を取り消されたことがある者」である事実は残るため、場合によってはそれを原因として上陸不許可等の可能性もないことはないからです。)

今回からは、この「在留資格の取消し」についてどのような場合に在留資格が取り消されてしまうのか?ということを条文と共に見ていきましょう。

 

【在留資格が取り消されるパターンの大枠】

在留資格の取消しの原因となる事項を「在留資格取消事由」と言いいます。以下、この意味でその単語を使います。

この在留資格取消事由は、入管法第22条の4第一項第一号~十号に定められています。

これを大きく分けると、以下の3つの種類に大別できます。

① 偽りなどの不正な手段で上陸許可等の許可を受けた(在留資格を取得した)場合

② 在留資格で定められた活動を行っていない場合

③ 義務付けられた届出をしない、又は虚偽の届出をした場合

 

なお、在留資格取消事由の中では、その悪質さなどによってランクがあります。

在留資格取消しによって、即刻退去強制手続きに移行するもの(悪質さMAX)

在留資格取消しによって、一定の条件に該当する場合には、即刻退去強制手続きに移行するもの(悪質さNo.2)

在留資格取消しによって、一定の出国期限が定められ、出国するよう促されるもの(通常の取消し事由)

といった感じです。

 

【法務大臣の裁量(やるか・やらないか決めることができる自由度)】

この「在留資格の取消し」をするかどうかの最終判断をする権限は、法務大臣にあります。

仮にある外国人が在留資格取消事由に該当することが判明した場合でも、法務大臣は必ずその外国人の在留資格を取り消さなければいけない、というわけではありません。

どんなときに「取り消さない判断」がなされる可能性があるのかというと、例えば、

・それまでの在留状況が決して悪くなく、かつ、他の在留資格へ変更できる可能性がある場合

・日本に家族で長年生活しており、在留資格を取り消すことによって家族の結合が失われる等、人道上の配慮をすべきであるような場合

などです。

 

【取消しの対象となる在留資格(ビザ)】

在留資格の取消しによって取消となる在留資格(ビザ)は、その外国人がその時点で持っている「現在の」在留資格です。

したがって、上陸時に虚偽の資料で上陸許可を受けてAという在留資格を取得して上陸した外国人が、その後AからB在留資格へ正当な資料を提出して、正式に変更許可を受けたようなケースにおいて、上陸時にA在留資格を不正に取得したことがバレた場合、取り消される在留資格は、過去に持っていたAではなく、今現在正当に持っているB在留資格と言うことになります。

 

今回は、以上となります。

次回からは、この在留資格取消事由を条文で1つずつ見ていきます。

最後までお読みいただきありがとうございました。