更新が1日遅れてしまいました。
今回は前回からスタートした在留資格「特定技能(1号)」の紹介のつづき、第2回目です。前回は特定技能の概要を書きましたが、今回は特定技能の在留資格を得るための条件の一つである「在留資格該当性」について説明していこうと思います。
在留資格該当性について、まず入管法の条文をそのまま下記に記します。
「法務大臣が指定する❶本邦の公私の機関との雇用に関する契約に基づいて行う❷特定産業分野であって、法務大臣が指定するものに属する法務省令に定める❸相当程度の知識もしくは経験を必要とする技能を要する業務に従事する活動」
❶「本邦の公私の機関との雇用に関する契約」とは、「日本に所在する会社・団体・公的機関・個人事業主等との雇用契約」と言い換えることができます。つまり、海外にある団体等と雇用契約を結んで日本に来て特定技能の在留資格で就労することはできません。ただし、海外に本社や事業所等がある会社の日本にある子会社等との雇用契約に基づいて就労する場合はOKです(もっともこの場合は条件を満たせば企業内転勤等の在留資格の方が適していますが)。 そして、「雇用に関する契約」と明示されているのがポイントです。「技術・人文知識・国際業務」や「技能」等の在留資格では「本邦の公私の機関との契約に基づいて」と記載されており、この場合は委任・請負・業務委託等、雇用契約以外の契約でも許可となり得ますが、特定技能の場合は「雇用契約」でなければ在留資格該当性がない=許可は下りません。 そして、特定技能の場合は雇用契約を結べばいいのではなく、「特定技能雇用契約」という特別な雇用契約を締結することが条件となります(特定技能雇用契約については後の回で詳しくやります)。
❷「特定産業分野」は、前回でも案内した12分野(かつては14分野でしたが、製造業の3分野が1つに統一され、12分野となりました)のことであり、当該分野に係る業務に従事しないと許可は下りないということです。なお、このことは当然ながら、申請人である外国人が実際に従事する業務が、当該産業分野に掲げられている業務内容である必要があります。つまり、例えば申請人である外国人が自動車整備会社において自動車点検整備を行うとして特定技能の許可を取得したにもかかわらず、清掃や経理など、全く関係のない業務のみに専ら従事しているような場合は、在留資格に対応する活動を行っていないとして、申請人本人は在留資格の取り消し事由に該当することになるとともに、その所属機関も不法就労助長罪等に問われることになり得ます。(なお、専ら在留資格に対応する業務に従事しながら、その傍らで清掃や経理を行う程度のことであれば問題ないと考えられます。)
❸「相当程度の知識もしくは経験を要する技能を要する業務」 この部分が、これまでの専門的・技術的分野の他の就労資格と異なる部分です。これまでは、以前もブログで述べたように「ある程度高い技術・知識を持つ外国人で、日本にとってプラスとなるような人材であれば就労者として受け入れてあげます」というのが日本の国としての指針でしたが、特定技能は「ある程度の力があれば、受け入れてあげますよ」というようにハードルを下げたのです。 もちろん、特定技能は上記のように職種を限定することにより、日本人の就労者に影響が出ないように考慮されています。つまり、「特定産業分野」に挙げられている職種は、簡単に言うと、日本人に対してあらゆる募集をかけても中々希望者出てこない職種で、何とかして人員を確保しなければ日本の産業や国民生活に悪影響を与えてしまうという分野、言い換えれば誰もやりたがらないが、誰かがやらないと困る産業分野で、その深刻な人材不足を外国人によって補おうというのが狙いです。 なお、「相当程度の知識もしくは経験を要する技能」は、国の運用方針では「相当期間の実務経験等を要する業務であり、特段の育成や訓練を受けることなく、直ちに、一定程度の業務を遂行することができる」レベルとされています。
今回は特定技能の「在留資格該当性」についてみてきました。 次回は「基準適合性」について書いてみたいと思います。(これも複雑なので基準適合性だけで複数回になる可能性もあります・・・)