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【第123回】在留資格が取り消されるのはどんなとき?~その5~

長久手市の在留資格(ビザ)等の外国人関連手続専門特定行政書士、竹内です。

早いもので4月ももうすぐ終わりで、世間はゴールデンウイークに突入しましたね。

最近の気候は、個人的に日差しは夏で、風はまだ若干冬を感じるという非常に衣類のチョイスに困る微妙な気候だなぁと感じておりますが、皆様はいかがでしょうか・・・?

月日が過ぎるのは本当に早いので、もうあっという間に夏ですね。頑張りましょう!

ということで、今週もスタートいたします。

今回も、しばらく続いております「在留資格の取消し」シリーズのつづきです。実際の入管法の条文を用いながら、順々に在留資格が取り消されてしまう理由(以下「在留資格取消事由」と言います。)を解説してきており、今回は「入管法第22条の4第一項第七号」からスタートします!それ以前のものは、前回以前のブログでチェックしていただければ幸いです。

 

【入管法第22条の4第一項第七号】

条文:

七 日本人の配偶者等の在留資格(日本人の配偶者の身分を有する者(兼ねて日本人の特別養子(民法(明治二十九年法律第八十九号)第八百十七条の二の規定による特別養子をいう。以下同じ。)又は日本人の子として出生した者の身分を有する者を除く。)に係るものに限る。)をもつて在留する者又は永住者の配偶者等の在留資格(永住者等の配偶者の身分を有する者(兼ねて永住者等の子として本邦で出生しその後引き続き本邦に在留している者の身分を有する者を除く。)に係るものに限る。)をもつて在留する者が、その配偶者の身分を有する者としての活動を継続して六月以上行わないで在留していること(当該活動を行わないで在留していることにつき正当な理由がある場合を除く。)。

解説:

いや~、長い!読みにくい!さすが入管法!と言いたくなる条文です。

簡単にいうと「日本人の配偶者、永住者の配偶者が婚姻関係を止めて6箇月以上経ったら在留資格を取り消しますよ」ということです。

そもそも条文冒頭に「日本人の配偶者等の在留資格(日本人の配偶者~中略~者に限る。)」、その後「永住者の配偶者等の在留資格(永住者等の配偶者~中略~ものに限りる。)」というようにイチイチかっこ書きがされているのかというと、

日本人の配偶者等 ⇒ ①日本人の配偶者 ➁日本人の特別養子 ③日本人の子として生まれた者

永住者の配偶者等 ⇒ ①永住者の配偶者 ➁永住者の子として日本で生まれ、その後ずっと日本に住んでる者

というように、それぞれの「配偶者」ではない者でも「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」の在留資格を持っているケースもあり得るため、かっこ書きで「配偶者以外の者を除外しているからです。

最も単純な具体例を挙げると、日本人と離婚や死別した「日本人の配偶者等」の在留資格を持っている外国人が、その後、他の日本人と結婚したり、他の在留資格に変更することなく6箇月以上経過したようなケースですね。この場合は、最悪在留資格が取り消されてしまう可能性があることになります。

ちなみに、条文最後の方に出てくる「正当な理由がある場合を除く。」の「正当な理由」になり得る典型例は、DVから逃げている、母国にいる親が重病に罹りその看病のため長期間再入国許可を受けて出国している、夫婦喧嘩により一時的に別居状態であるが、事実上の夫婦としての関係は継続しているもの、などがあります。

 

【入管法第22条の4第一項第八号】

条文:

八 前章第一節若しくは第二節の規定による上陸許可の証印若しくは許可又はこの節、第五十条第一項若しくは第六十一条の二の五第一項の規定による許可を受けて、新たに中長期在留者となつた者が、当該上陸許可の証印又は許可を受けた日から九十日以内に、出入国在留管理庁長官に、住居地の届出をしないこと(届出をしないことにつき正当な理由がある場合を除く。)。​

解説:

冒頭「​前章第一節若しくは第二節の規定による上陸許可の証印若しくは許可​」とは、かなり端折って言うと「日本に到着し、入国する(上陸。日本の領土に適法に入る)ための許可」のことです。

次に「この節、第五十条第一項若しくは第六十一条の二の五第一項の規定による許可​」のうち「この節」の「許可」とは「在留資格変更許可、在留期間更新許可、永住許可、在留資格取得許可」を、「第五十条第一項」の「許可」とは「在留特別許可」を、最後に「第六十一条の二の五第一項の規定による許可」とは「仮滞在の許可を受けた在留資格未取得外国人に対する在留資格の取得許可」を指します。

条文最後の方に出てくる「住居地の届出」とは、中長期在留者に義務付けられている届出の一つです。この届出は、届出をすべき時から14日以内にしなければならないことになっています。

従いまして、この条文は「何らかの許可を受けて中長期在留者となった外国人が、本来の期限である14日を過ぎ、90日を超えてもまだ住居地を定めた旨の届出をしていない」場合に、その外国人の在留資格を取り消すことができるというものです。

なお、この条文の最後にも「正当な理由がある場合を除く。」とありますが、その意味は上述のものと同じような理由です。

 

以上、今回は在留資格取消事由の定められている入管法22条の4第一項の第七号~第八号の解説をいたしました。

次回で最終回となる予定です。

最後までお読みいただきありがとうございました。