長久手市の特定行政書士、竹内です。専門は在留資格(ビザ)をはじめとする外国人関連手続きです。
GWも明け、通常の日々が戻ってきました。
桜もとっくに散り、新緑が美しい季節になりましたが、梅雨の足音が(まだ早いか)聞こえてくる時期でもありますね。
今週は若干バタバタした週になりそうなので、気合い入れていきます!
というわけで、今週もスタートです。
前回まで数回にわたり「在留資格の取消し」に関するシリーズを書いてきましたが、今回からは新しいシリーズで行こうと思います。
これまでは入管法に関する制度等を話してきましたが、今回はそこからちょっと離れて、「日本国籍」に関するシリーズを書いていこうと思います。名付けて「日本国籍シリーズ」です。
日本国籍の取得や離脱等に関する事項を定めた法律として「国籍法」という法律があります。日本人の「戸籍」に関して定めた「戸籍法」という法律と似た響きですが、今回からこの「国籍法」について書いていきたいと思います。
【国籍法とは?】
「国籍法」には、日本国籍の取得、選択、離脱、帰化、それら条件、又は国籍喪失など、日本国籍に関する事項が定められており、いわば「日本国籍」に関する辞書のような役割を果たします。
私たち外国人関連業務を取り扱う行政書士にとっても重要な法律ですが、特に実務上この「国籍法」を使う機会が多いのが「帰化」に関するものです。
そんな国籍法に書かれていることを、今回から順に解説していこうと思っています。
第一回目である今回はずばり「生まれてきた子供が「日本国籍」を取得できる条件とは?」ということを説明します。
【生まれてきた子供が「日本国籍」を取得できる条件とは?】
生まれた子供が日本国籍を取得する条件は、国籍法に定められています。その条件は、下記の3つです。
➀ 生まれた時に、その子の父又は母が日本国民であったとき
➁ 子供の生まれる前に父が死亡し、その死亡の時の父の国籍が日本国籍であったとき
③ 日本で生まれた場合に、父母が不明のとき、又は父母が無国籍者であるとき
以下、1つずつ見ていきましょう。
まず「➀生まれた時に、その子の父又は母が日本国民であったとき」についてです。
これは読んで字のごとく、両親が日本人である場合はもちろん、両親のうち片親のみが日本人である場合であっても、その2人の間に生まれた実子は日本国籍を取得します。
この「➀」でのポイントとなるのが「生まれた時」が基準となるということです。
例えば、国籍のある外国人同士で結婚し、母親が妊娠したとします。この状態のまま出産すれば、その間に生まれた子は当然日本国籍は取得できません。しかし、その妊娠中に帰化等により父母のいずれか一方又は両方が日本国籍を取得し、その後に出生した子は、「生まれた時」が基準となるため日本国籍を取得できます。
次に「➁子供の生まれる前に父が死亡し、その死亡の時の父の国籍が日本国籍であったとき」についてです。
これは例えば、日本人夫とアメリカ人妻の間で母が子を妊娠したとします。しかし、不幸なことに妊娠中に夫が病気で死亡してしまったような場合に、後に出生した子は、「父が死亡の時」に「日本国籍を持っていた」ため、この規定により日本国籍を取得できるということです。まあ、そのままですね。
ただこのような場合に子の国籍を「日本」とすべきなのか否かは別問題です。(当事者の境遇や状況による)
最後に「③日本で生まれた場合に、父母が不明のとき、又は父母が無国籍者であるとき」です。
前段の方は、赤ちゃんポストに置かれていた赤ちゃんで、父母が誰なのか判明しない場合などです。
そして後段の「父母が無国籍である」ということの典型例が、難民などの無国籍者同士の夫婦の間に生まれた子などです。
注意すべきこととは、あくまでも「日本で生まれた場合」しか対象とはなりません。したがって、無国籍者同士の夫婦の妻が他国で出産してすぐ日本にその赤ちゃんとともに来ても、日本国籍は取得できません。
以上、今回は「生まれた子が日本国籍を取得できる条件」について簡単に説明しました。
最後までお読みいただきありがとうございました。