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【第137回】特定技能制度~地域の共生施策に関する連携~

長久手市の在留資格(ビザ)をはじめとする外国人関連手続専門特定行政書士の竹内です。

8月ですね。

私は「夏が好き」と公言していますが、さすがに(少なくとも去年の夏からは)暑い。暑すぎますね。

いや、暑いのは当たり前なので、正確に言うと「日差しが痛い」ですね。

う~ん、こんなに痛かったけ?と感じる今日この頃です。外を歩いていると、暑いというよりも肌が焼けているのを実感するくらい日差しが強いですよね。

雨も全然降らないし、水不足も心配ですね。

何事も起こりませんように・・・と祈りつつ今週も行きましょう!

 

今週は、比較的最近のニュースを取り上げます。前回で「日本国籍シリーズ」を終了しましたので、とりあえず今回は時事ネタということです。

昨今騒がれている特定技能制度に関する事項につき、先日入管庁は「​特定技能制度における地域の共生施策に関する連携」という情報を更新し、発表しました。これはいったい何なのか、誰が何のために、何をするのか、実際にどのような協力をするのか等について解説していこうと思います。

 

【「地域の共生施策に関する連携」って何よ?】

まず、これが策定される前提として、以下のような内容が閣議決定されています。

・特定産業分野:12分野⇒16分野へ拡大(林業、鉄道、自動車運送業、木材産業の4つが追加)

・特定技能外国人受け入れ見込数の大幅な見直し(約34万5千人⇒82万人)

つまり、外国人労働者がめちゃくちゃ増えるということです。

ということは、当然各自治体における外国人住民数も増えていくのは当然の結果ということになります。​

そこで、各自治体における外国人との共生施策を本当にしっかりやっていかないと、文化や国民性の違いから様々な軋轢や問題が生じ、地域社会に悪影響が及んでくる可能性が出てくると考えて、この施策が打ち出されたわけです。

この「地域社会の共生」というテーマは、特定技能制度成立当初からテーマとして存在していましたが、これまでは蔑ろにされていた部分となりますが、今回の閣議決定をきっかけに「そろそろこちらもしっかり考えていかないとまずいよね」ということになり、その第一歩として実施されたのがこの「地域の共生施策に関する連携」というわけです。

 

【誰が何のために、具体的に何をするの?】

まず「誰が」の部分ですが、これは「特定技能所属機関」、すなわち特定技能外国人を受け入れる企業等が行う義務を負います。

実務上は、これを行った地方自治体名と行った年月日を「一号特定技能外国人支援計画」等に記載することにより入管庁へ報告することになります。

「何のために」に関しては、前述のとおり「特定技能外国人と地域社会の共生を図るため」です。

では最も重要で皆様が興味のある「結局何をすればいいのか?」の部分です。​

これは「協力確認書」というものを提出することにより行うこととされています。

それでは、「どこに」協力確認書を出すのか?ということになりますが、原則以下の場所に出します。

①外国人の住所地の市区町村役場

➁外国人の勤務先の所在地の市町村役場​

以上の2か所に行う必要があります。例えば、長久手市に住んでいる特定技能外国人が、名古屋市内にある勤務先で働くというような場合は、長久手市と名古屋市の2カ所の市区町村役場に協力確認書を提出する必要があります。

なお、住居地も勤務先も同じ自治体であれば、1か所のみでOKです。

 

ではでは、「どのタイミングで(いつ)」出すのか?という疑問が次に出てきます。

①初めて外国人を受け入れる場合⇒当該外国人の在留諸申請をする前

➁この制度開始前から既に外国人を受け入れている場合⇒その外国人の次の在留諸申請(変更、更新)の前

 

次に「どのように提出するの?」というところです。

これは自治体によって違います。

例えば名古屋市 ⇒ 既に市HPに入力フォームが設けられており、それにより入力するのみ。

例えば春日井市 ⇒ 市担当へメールにて、入管庁所定の様式に入力したものを添付して提出

などです。要するに、実際に市区町村役場に出向く必要はなく、かつ、内容も簡単です。言い方は悪いですが、形だけのものですね。

 

【実際にどのような協力をするのか​?】

では、上述の協力確認書を提出することによって、特定技能所属機関には実際にどのような義務が生じるのでしょうか?

まず簡単に言うと、特定技能所属機関(外国人の勤務先)は地方公共団体から共生施策に係る協力を求められ​た場合には、これに協力しなければならないことになります。

では、その「協力」を必要とする範囲はどの程度なのか?求められたら全て応じなければならないのでしょうか?

その点に関しては、以下の2点を満たすものに関して協力の義務が生じます。

①共生社会の実現に必要な施策であること。

➁特定技能外国人に対する支援に資するものであること。

具体的には、

★求められれば協力が必要な要請

​各種行政サービス、交通・ゴミ出しのルール、医療・公衆衛生や防災訓練・災害対応、地域イベント、日本語教室等に関する施策等​(入管庁HPより)

★求められたとしても応じる必要のない要請

地域イベント等への参加の強制、地方公共団体ではない機関(○○法人、○○会など)に対する協力要請、特定技能所属機関及び特定技能外国人にとって過大な負担が生じるもの​(週1回地域の安全のための広範囲の見回りを強制するもの等)、そもそも特定技能所属機関が協力しなくとも地方公共団体が行うことが相当であるもの、明らかにこの制度の趣旨と関係のないものなど

 

以上、今回は「特定技能所属機関における地域の共生施策に関する連携」についててでした。

最後までお読みいただきありがとうございました。