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【第138回】《時事ネタ》経営管理ビザの要件厳格化?

長久手市の在留資格(ビザ)等の外国人関連手続専門特定行政書士、竹内です。

8月に入り、今週はお盆ですね。

暑さは増すばかりで、日本各地で40度超えを記録しています。

私は結構歩くのが好きなのですが、さすがに最近は普段歩いていく場所も車や公共交通機関に頼るようにしています。何かあったら色々な人に迷惑をかけてしまいますからね。

皆様におかれましても、水分補給等しっかりして体調崩さないように猛暑を乗り切ってくださいね。

というわけで、今週もスタートです。

 

今回は、先週新聞の記事に出ていた「経営・管理」という在留資格に関する話題を取り上げたいと思います。いわゆる「ビジネスビザ」などと呼ばれる在留資格の一つなのですが、このビジネスビザの許可要件が加重されるようです。

まだ詳細などはわかりませんが、その記事をもとに以下書いていきます。

 

【そもそも在留資格「経営・管理」とは?】

在留資格「経営・管理」とは、前述のとおり「ビジネスビザ」という通称で通っています(以下、ビジネスビザという表現でいきます)。

一言でいうと、外国人が日本で会社や個人事業を経営したり、会社の管理者としての業務(仕事)をするために必要となる在留資格(ビザ)です。

実務上の典型例としては、

・外国料理のコックさんが、新たに自分でレストランを立ち上げる。

・日本の中古自動車やその部品を、母国に輸出するための会社を営む

というようなものが多いです。

なお、このビジネスビザに関しては「第7回」のブログ(ずいぶん古いですが)で現在の条件等を説明していますので合わせてご参照いただければ幸いです。

 

【どのように「厳格化」されるのか?】

現在の条件(基準省令適合性を満たすための条件)

1.事業所の確保

2.規模(次のいずれかを満たす)※1つ端折ってますが、下記の2つのうちいずれかでとりあえず大丈夫です

(1)常勤職員2名以上の雇用(日本人、永住者等、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者に限る)

(2)資本金又は出資の総額500万円以上

3.管理者のみ、3年以上の経験

新たな条件(前記新聞の記事によるところ)

1.記載なし(だが、おそらくそのまま残るのでは?)

2.規模(次の「いずれも」満たす)

(1)常勤職員1名以上の雇用

(2)資本金又は出資総額3,000万円以上

3.記載なし

 

上記のとおり、「2.規模」の部分がめちゃくちゃ厳しくなるようです。

現在は「2名雇用 or 500万」でOKなのに、新条件は「1名雇用 and 3,000万円」になると記事には書かれています。

なので、外国人の日本での起業が一気に難しくなることになります。

なお、この経営・管理ビザの前段階的な在留資格も存在しています。

国家戦略特別区域外国人創業活動促進事業、外国人起業活動促進事業、未来創造人材制度(J-Find)等は、基本的に起業活動を始めるハードルを下げるものですが、最終的にはビジネスビザへの変更が求められますので、その変更の際にはこの条件を満たさなければならないことになるのか、はたまた、これらで起業する人には低いハードルを設けるのか、その部分も個人的に注目しています。

また、上述の典型例として紹介したような個人事業のレストラン経営など小規模事業の経営は、事実上困難になります。

そもそもビジネスビザというのは、海外から有能な経営者を受け入れて日本経済を活性化させるというのが大きな目的であったのですが、取得するための条件(現在の条件)が他国と比べてハードルが低かったために、とりあえず条件だけ揃えてビジネスビザを取得し、日本に残ろうとする者などに悪用されてきた部分があったのも事実なのでしょう。

500万円なら何とかなってきたものの、3,000万円を用意することはさすがに並大抵のことではありませんよね。

会社を設立してビジネスビザを取得するためには、とりあえず3,000万円を準備して口座に振り込み、それを資本金として会社を設立すればよいですが、個人事業に関してはその方法は取れません。

つまり、3,000万円(に近い金額)を開業のために使わないといけません。(使った証明も必要)

これは、小さなレストラン経営においては基本的にほぼ不可能だと思いますので、このような小規模事業を個人経営で行おうとする人は、事実上ビジネスビザを取得するのは無理になるでしょう。

つまり、ある程度以上の資金力がある又はしっかりしたビジネスプランを持って投資家の心を掴める人であって、かつ、本当に「儲けてやろう」という野望を持った本当の起業家でないと、これからのビジネスビザの取得は目指すべきではないでしょう。

もし、とりあえず申請したけど結果的に不許可でした、となった場合3,000万円は返ってきません。もちろん500万円も大金ですが、まさに桁が違います。つまり、失敗した時のリスクが跳ねあがります。

この記事の内容が現実となれば、私たち行政書士も、これまでのような事業計画書は通用しなくなる可能性が高いため、ビジネスの専門家の方々(中小企業診断士さんや経営コンサルタントさん等)との連携が必須となってくるかもしれませんね。(ビジネスプランよりも、3,000万円の出所の立証の方が重要になるかもしれませんが)

 

以上、今回はビジネスビザの条件厳格化について書いてみました。

最後までお読みいただきありがとうございました。