長久手市の行政書士、竹内です。
今回も、前々回に引き続き「特定技能」について書いていこうと思います。
今回は「特定技能雇用契約」というものについて書きます。特定技能の在留資格で外国人を受け入れる(雇う)会社等は、その外国人と「特定技能雇用契約」という特別な雇用契約を締結する必要があります。
その内容(条件)の主なものは下記のとおりです。
➊労働時間
➋報酬
➌休暇の取得
➍待遇
➎派遣等の場合の明記事項
➏旅費の負担
➐健康状態等の把握
➊の労働時間は、同じ会社等で働いている日本人の正社員と同等の労働時間であることが求められます。この労働時間は、パートやアルバイトではなく、フルタイムで働く日本人労働者と同等という意味です。なお、特定技能外国人はフルタイム勤務でなければなりません。
➋報酬は、かなり重要です。「➊」同様、簡単に言えば、同じ職場で同じような業務を行っている正社員の日本人と同等以上の報酬を与えなければなりません。まず同等性の判断の基準にされるのがその会社の賃金規定です。これを作れば、それと同等かどうかで判断されます。(もちろん、法定最低賃金の下回っているような場合は論外です)
➌休暇の取得とは、外国人の方から母国へ一時的に帰りたいという希望をもらった場合は、有給休暇等を必ず取得させなければならないということです。なお、仮に有給休暇が残っていない場合でも、無給休暇や特別休暇などで対応しなければなりません。もちろん、繁忙期など、業務上の都合で「今抜けられては困る」というケースも出てくる思います。この場合は、外国人の方に事情を説明して、代案(この期間はダメだけど、こっちの期間ならOK等)を提示してください。また、あまりにも頻繁に帰りたがるなど、社会通念上明らかに過剰な要求である場合等は当該外国人の方に説明し、面談や理由を記した書面等を交付して、後で何か問題になったときにしっかり説明できるように保険をかけておくのが無難です。
➍待遇とは、上記「➋」の報酬はもちろん、社内研修などの教育訓練、保養所の利用など福利厚生施設等の利用などの会社での待遇について「外国人であること」を理由として日本人との間に差別を設けてはいけないということです。日本人は社宅を使えるけど、外国人はダメ又は賃料が違う、日本人には入社後の社内研修を実施したが、外国人にはしなかったなどが主な例です。
➎派遣等の場合の明記事項としては、派遣先の氏名又は名称及び住所、派遣の期間などです。(なお、2022年現在、派遣が認められているのは、農業・漁業の2分野のみです)
➏旅費の負担とは、特定技能雇用契約が終了し、外国人の方が帰国する際の旅費を負担せよということですが、もちろん、基本的には外国人の方が自ら払います。しかし、外国人の方が自ら払えないようなケースは、会社等が負担しなければなりません。なお、この部分を補うために給与から旅費を天引きし、積み立てるようなことは絶対いけません。以前、基準適合性でも述べた「金銭その他の財産の管理」にあたり、基準適合性を満たさないこととなります。
➐健康状態等の把握とは、外国人の方に面談などを通して話を聞き、体調に問題はないか、その他日常生活上、職業上、社会生活上困ったことがないかなど、気にかけて、万一の場合はしかるべき対応が取れるような体制を持っておいてくださいということです。今回は、ここまでとします。
次回は、この続きを書きたいと思います。