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【第141回】育成就労制度の概要①

長久手市の在留資格(ビザ)等の外国人関連手続専門特定行政書士、竹内です。

8/30(土)には長久手市にあるリニモテラス公益施設さんにおいて、音楽のイベントを開催させていただきました。1人も来なかったらどうしようと思いましたが、合計で10~15人くらいの人が来てくれて、とても楽しい会になりました。

次回は9月27日(土)、18:00~20:30を予定してます。

というわけで、今週(あ、気づいたら9月ですね💦)もスタートです。

 

今回からは、現時点で入管庁から発表されている情報をもとに、2027年から始まる「育成就労制度」について書いていこうと思います。

今回はその1回目ということなので、育成就労の概要、目的、基本的なステップアップの流れ、受入産業分野、技能実習と似ているところについて書いていこうと思います。

 

【そもそも「育成就労」って何?】

現在「技能実習」という制度が行われています。

この制度は、開発途上国・地域から外国人を受け入れて、働きながら日本の技術や知識を修得等し、それを母国に持ち帰って、母国等の産業発展につなげてもらおうという、いわば「国際協力」を目的とした制度です。つまり、本来は「労働力の確保」を目的とした制度ではありません。

しかし、この制度が目的を失い、労働力の確保のための制度として悪用されているという一面が問題視されていました。

そこで出てきたのがこの「育成就労」という制度です。

この制度は、技能実習(国際協力目的)を廃止し、育成就労(人手不足分野の労働力確保&人材確保目的)を新たに開始することで、これまでの目的(国際協力)と実体(労働力確保)の乖離をあらため、正面から「労働力の確保」という目的で外国人労働者を受け入れることにした、というものです。

そして「育成」就労とあるように、この制度の目的は労働力の確保のみならず、労働者を育てる制度にもなっています。

技能実習は、技術等を修得して国に持ち帰ることが目的でしたが(実態はそうではない側面もあった)、この育成就労は、日本で技術を学んだうえで、育成就労⇒特定技能1号⇒特定技能2号・・・とステップアップしていくことを前提とし、日本における人手不足産業の人材確保を目的とする制度ということです。

 

【基本的なステップアップの流れと勘違いしがちな事柄】

★基本的なステップアップの流れ

来日⇒育成就労3年⇒特定技能1号(最大5年)⇒特定技能2号(更新することで在留期間上限なし)

★勘違いしがちな事柄

育成就労制度が始まったからと言って、全ての外国人がこの「育成就労制度」を経る必要があるわけではありません。

特定技能1号は、原則として「日本語能力試験N4以上」&「産業分野ごとの技能水準試験」の2つに合格していれば、その在留資格(ビザ)を得ることができます。

つまり、この条件を満たしている・満たすことができる人は育成就労を経ずにこれまでどおりいきなり「特定技能1号」で来日することも可能です。

もっと言えば、特定技能1号と同様に、いきなり特定技能2号として来日することも不可能ではありません。

 

【どのような仕事(分野)で育成就労外国人として働けるのか?】

現在もある在留資格(ビザ)である特定技能は、人手不足分野に限って外国人を受け入れることができます。その分野のことを「特定産業分野」といい、以下の16分野があります(2025年8月現在)。

介護、ビルクリーニング、製造業、建設、造船舶用工業、自動車整備、航空、宿泊、農業、漁業、外食業、飲食料品製造業、林業、木材産業、鉄道業、自動車運送業

育成就労は、前述したように「特定技能1号へのステップアップのための在留資格」であるため、当然ながら、特定産業分野と一致する分野のみが受入れ対象となります。

注意点としては、特定産業分野=育成就労の産業分野では必ずしもない、ということです。

特定産業分野のうち「国内での育成になじまない分野」については、育成就労の対象外とされるとのことですので、上記16分野のうちの一部は、育成就労での受け入れはできない予定です。よって、その外された分野で外国人を受け入れようとする場合は、これまでどおり「特定技能1号」での受け入れが必要となります。

 

【技能実習制度と似ている部分】

① 技能実習計画の作成

育成就労制度においても「育成就労計画」を外国人1名ごとに作成し、その計画が問題ないかの認定を受ける必要があります。

 

➁ 監理支援機関による監理等

(団体監理型)技能実習において​は、監理団体、特定技能制度においては登録支援機関というものが外国人と雇用機関の間に入り、技能実習に関する監理・特定技能外国人の支援をしていましたが、この育成就労においても「監理支援機関」なるものが同様の働きをします。

ただし、この監理支援機関になるためには「許可」を受ける必要があります。現時点で技能実習制度における「監理団体」の許可、特定技能制度における「登録支援機関」として登録を受けている場合でも、再度許可を取りなおす必要があり、更に、この基準がかなり高くなることが決まっています。

すなわち、監理支援機関の数はかなり減ることになると思われます。

特に特定技能制度における登録支援機関は、許可ではなく文字通り「登録」なので、かなりの数の登録支援機関が育成就労により消えるものと予想できます。

 

以上、長くなったので今回はここまでとします。次回、つづきです。

最後までお読みいただきありがとうございました。