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【第19回】家族滞在(子供や配偶者を海外から連れてこられる?)

長久手市の行政書士、竹内です。

今週はタイトルにあるように「家族滞在」という在留資格(ビザ)について書いていこうと思います。

まず、「家族滞在」という在留資格(ビザ)の基本的な説明をします。

①日本で一定の就労資格(就労ビザ)等をもって日本に在留している外国人がいること。

②申請人(以下、海外から呼ぶ人)が「①」の外国人の扶養を受けて生活する配偶者又は子であること。

 

①について

「①」に該当する外国人を以下、「本体者」と表現します。家族滞在は、この本体者に付随する在留資格(ビザ)なので、本体者がいない状態では「家族滞在」の在留資格が許可されることはありません。そして、次に掲げる在留資格を持っている外国人が本体者である場合、申請人の家族滞在は許可されません

【家族滞在の本体者の在留資格として認められないもの】

技能実習、特定技能1号、研修、特定活動、短期滞在、家族滞在、外交・公用

したがって、上記の在留資格をもって日本に居住している外国人の配偶者又は子は「家族滞在」の在留資格では日本に上陸できません。一方、例えば、申請人が家族滞在以外の在留資格(技術・人文知識・国際業務等)をもって、扶養を受ける家族としてではなく、単純に就労者として入国したり、留学生として「留学」の在留資格で来日したりして、全員で同居する等は可能です(もちろん、実際に就労又は留学を主たる目的として活動・在留する必要があります)。

②について

これがこの在留資格において大きなポイントとなるものです。申請人が本体者の扶養を受けて生活することがこの在留資格の絶対的基礎となるものです。したがって、申請人は、原則として就労活動はできません。なお、家族滞在が認められた子(又は配偶者)が学校へ通うことは問題ありません。例えば、小学生が小学校に通うことはその「配偶者又は子として行う日常的な活動」だからです。

この「扶養を受けて生活する」という点については、以下のような点に注意が必要です。

【本体者の収入が扶養すべき家族の人数等から勘案して比較的少ない場合】

扶養する側である本体者のAさん(ベトナム国籍・男性)の月々の収入が、18万円だとします。そのような状況で、本国から妻のBさんと、子供Cさん(17歳)、Dさん(15歳)、Eさん(12歳)(いずれもベトナム国籍)の計4名を呼び寄せたいという希望があるとします。このケースでは、配慮すべき事情がない限り不許可となる可能性が高いです。なぜなら、18万円という収入で、Aさん自身を含め計5名分の生活費等を賄ったうえで、水光熱費や家賃等を支払い、生活をしていくのはかなりきついのは想像に難くありません。しかし、理由書等により「18万円の収入でも家族全員の生活費をカバーできること」を具体的かつ詳細に説明し、入国審査官の納得を得られれば許可が出る可能性もあります(こういったことは、我々専門家の力の見せ所といえるでしょう)。

では、呼び寄せた配偶者Bさんと子Cさんが、アルバイトをして不足分を賄います!と入管に説明した場合はどうなるでしょうか。このケースでも、一般的には受け入れられない場合が多い=不許可の可能性の方が高いです。なぜなら、呼び寄せた配偶者Bさん及びCさんが、Aさんの「扶養を受け」て「日常的な生活」を送っているとは認めがたいと判断されてしまうからです。(もちろん、個別の状況等によりますので、必ず不許可となるわけではありません)

また、このようなケースでも例えばDさんが身体障がい者である等で、今までBさんとその子Cさん、Eさんと協力してDさんを本国で世話をしてきたが、どうしても肉体的・精神的に厳しくなり、Aさんの支援も得て、家族全員で生活していきたいなどの特段の事情があれば、そのことを勘案して許可がされる場合もあり得ます。

【配偶者、子の意義】

ここでいう「配偶者」は、「法律上の配偶者」です。したがって、内縁関係や事実婚のパートナーは「家族滞在」における配偶者には含まれません。また、この「法律上の配偶者」については「日本法」に基づいて判断されます。したがって、外国において有効に成立した「同性婚」であっても、家族滞在でいう「配偶者」としては扱われない(2023年2月現在)ことになります。

また、「重婚」についても、日本の民法で「配偶者のある者は重ねて婚姻することができない」と定められているため、本体者の第二婦人(以降)については家族滞在の「配偶者」として在留資格は認定されないということになっています。

一方、子については、嫡出子(婚姻した男女間の実子)はもちろん、認知された非嫡出子(婚姻関係のない男女間の実子)、更には養子(普通養子、特別養子)も含まれます。つまり、法律上の親子関係がある子であれば対象となります。

さらには、「扶養を受けて生活」していれば成年に達した子も含まれます。

【その他】

・家族滞在で呼べるのはあくまでも「配偶者又は子」のみです。つまり、親は「家族滞在」では呼べません。(一定の条件下で、いわゆる「連れ親」として「特定活動」の在留資格で呼ぶことが可能な場合はあります。)

・家族滞在で呼び寄せた配偶者又は子は、資格外活動許可を受けてアルバイト等することが可能です。

・例えば、小学校の時に「家族滞在」で日本に来たFさんが、その後「留学」へ在留資格を変更したとします。そして、順調に大学を卒業して、そのまま日本で就職しようと就職活動をがんばりましたが、内定が得られなかったとします。このような場合、それでも何とか日本に留まりたいとして「家族滞在」の在留資格へ戻ることは、原則としてできません

 

以上、今回は「家族滞在」という在留資格について書かせていただきました。

最後まで読んでいただきありがとうございました。