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【第2回】上陸拒否とは?

前回は「在留資格」という言葉について簡単に説明し、その手続きが猥雑かつ専門性が高いため、専門家の必要性がある旨を書きました。

今回は、外国人が在留資格を取得して来日するにあたり、日本側が入国(日本の領土に入ること)自体を拒否する場合について書きます。

「上陸拒否事由」という言葉があります。これは読んで字のごとく「日本に来ることを拒みます・入れさせません」という日本国政府の意思表示です。(入管法5条1項各号)

どのようなケースがこれに該当するのか。

例えば、あなたの家にが見ず知らずの外国人が住ませてくれ、と言ってきたときのことを考えていただくとわかりやすいと思います。

感染症を持っている方、生活困窮者、精神的な障害のある方、犯罪者、テロリストや暴力団・・・このような方を同居者として受け入れられますか?

法律上に挙げられている上陸拒否事由は以下のとおりです(実際の条文とはことなる言葉で説明しています。ニュアンスの問題等がありますので、なんとなくこんなことが拒否事由になるのだなぁ程度に読んでください。)上記の例を踏まえて下記ご確認ください。

 

【上陸拒否事由(主なもの)】

・症状が重い感染症患者とその所見のある方

・重度の精神上の障害がある方

・貧困者等

・重犯罪者

・薬物関係前科者

・テロリスト及びその恐れのある方

・売春、人身売買に関与したことのある者

・銃砲刀剣類所持

・一定以上の刑を受け、一定の日から一定の期間を経過していない者

・一定の理由に該当して、過去に日本から強制退去等を命じられたことのある者

・いわゆるクーデターをもくろむ者

上陸拒否事由は、あくまでも外国人の入国を拒む「最低限」の条件を列挙したものです。したがって、当然ながら上陸拒否事由に該当しない=入国できる・在留資格を取得できる、というものではございません。上陸拒否事由に該当しないことが、その最低限の条件となります。そのうえで、各在留資格ごとに定められている各種条件に適合することが必要です。

日本政府の外国人受入れの基本的な基準をかなり簡略にすると「その外国人は日本にとって不利益をもたらすことなく、いかに利益をもたらすか」というものです。

在留資格取得・更新・変更申請は、言い換えれば「いかに日本の負担とならず、多くの利益をもたらすか」を書面により証明する申請と言えるでしょう。