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【第20回】こんなときどうなる?①~在留期限が切れてしまった!~

長久手市の在留資格(ビザ)専門の行政書士、竹内です。

今回はこれまでと少し趣を変えて、外国人の方が日本滞在中にトラブルや問題が発生したときにどのようになるのか、どのような対応を取るべきなのかなどについて、具体例を踏まえて書いて行ってみようと思います。

第一回目は「在留期限が切れてしまった」という場合について書いていきます。

【原則】

日本に在留する外国人の方は、一部の例外を除き、在留資格(以下、ビザといいます)をもって在留しなければなりません。そして、その在留資格には必ず「在留期限」が同時に決定されます(なお、外交、永住者、特別永住者、高度専門職2号については在留期限はありません)。したがって、日本への入国(上陸)が許可された外国人は、その許可の際に決定された「在留資格」に対応する活動を、在留期限までに限り日本において行いながら居住することができるのです。

【通常】

例えば、Aさん(技術・人文知識・国際業務の在留資格を所持して在留中)が日本に在留しています。しかし、うっかりしていて自身の在留期限を昨日時点で経過していることに気づいたとします。

このような場合にどうなるか見てみます。

まず、法律に基づくと、Aさんは明らかに「不法滞在(=オーバーステイ)」ということになります。したがって、入管法24条4号ロ「在留期間の更新又は変更を受けないで在留期間(中略)を経過して本邦に残留する者」という退去強制事由に該当することとなり、日本からの退去を強制されてしまいます。そして、その日から5年ないしは10年、日本に上陸できなくなってしまう恐れもあります。

しかし、1日のみの不法滞在であり、かつ、悪気のない、いわゆるうっかりミスであるにもかかわらず、則上記のような対応がとられるのは、仕方ないと思う反面、厳しすぎる気がします。

そこで、実務上は、次のような対応が可能な場合もあります。

1つは「特別受理」というものです。

これは、上記のような場合ややむを得ない事由により在留期限を過ぎてしまってから、在留期間更新許可申請があった場合に、当該事由等を入管側で考慮して、本来であれば受理できない申請を「特別に」受理するという対応です。実務上の運用では、やむを得ない事情が認められた場合に、まず、「短期滞在」の在留資格が与えられ、正規滞在状態としたうえで、希望する(元々有していた)在留資格への変更許可が取られるという流れで行われることになります。

しかし、この方法に頼るのは得策ではありません。以前までは、比較的緩やかに運用されていたこの制度ですが、現在は厳しくなっているようです。

2つ目として「在留特別許可」を受ける方法です。

これは、上記の特別受理が認められなかったような場合であっても、在留期限経過日数が長期間にわたるものではなく、かつ、申請人のこれまでの日本における在留状況(素行、公的義務の履行等の日常生活・社会生活状況が良好であること)がよければ、そのまま在留が認められるというものです。ただし、この場合、許可が得られたとしても、在留期間が短縮(3年だったものが1年になる等)される可能性が極めて高いです。

このように、在留期限を経過してしまっても、即退去というわけではなく、場合によっては救済の可能性もあります。ただし、上記の例外ケースは、必ず在留の継続が認められるものではないことは当然のこととして理解してください。

つまり、当たり前のことですが、「在留期限が切れる前にしっかり対応する」ことが重要なのです。

今回は、短いですが以上となります。

最後まで読んでいただきありがとうございました!