長久手市の在留資格(ビザ)専門行政書士・竹内です。
今回は、日本に居住する外国人の方が、日本において行う必要がある手続き(届出)について書いていこうと思います。
外国人の方は、日本に到着後、入国審査官による上陸の審査を受けて、無事許可されれば在留資格(ビザ)と在留期間が決定されて、晴れて日本に居住が認められることとなります。
【中長期在留者が入国(上陸)直後に行うべき手続】
日本で住むことが許可された外国人の方が、最初にしなければならないことが「住居地」の決定です。つまり、日本で生活する基盤となる住所を定めることです。これについては、通常はどこに住むか決めてから来日するケースが多いと思いますので、住居地を定めること自体は苦ではないと思われます。
ただし、住居地を定めて終了ではなく、その決定した住居地をその住居地の市区町村役場に「届け出る」ことが必要です。
この手続は、住居地を定めた日から14日以内、かつ、入国(上陸)後90日以内に行うことが義務付けられています。そして、これを怠った場合は罰則もあります。さらに、90日の方に違反すれば、在留資格取消事由に該当してしまいます。(ただし、正当な理由【病気等】があって届出期限に遅れた場合を除く)
具体例)4/1に技術・人文知識・国際業の在留資格(就労ビザ)により上陸許可を受け在留が許可されたAさんが、とりあえずホテルに滞在しながら日本での住所を探していたとします。このケースで
①住居地が見つかった日が4/20、市役所に届け出た日が5/10であるケース
②住居地を定めた日が4/20、市役所へ届け出た日が4/30であるケース
③住居地を定めた日が6/30、市役所へ届け出た日が7/10であるケース
上記、①、②のケースでは、①・③はダメです。➁はOKです。
①のケースは、上陸後90日以内ではありますが、住居地を定めた日から14日以内という条件を満たしていません。
③は、住居地を定めてから14日以内ではありますが、上陸後90日を過ぎてしまっています。このケースは、在留資格取消事由にも該当し得ます。
②は、いずれの条件(住居地を定めた日から14日以内、上陸後90日以内)も満たしており問題ありません。
なお、例えば「短期滞在」で来日した外国人の方や、日本国内で出生した外国人の方が在留資格を取得するなどした場合、それぞれ在留資格の変更・取得後に同様の手続が必要となります。
【住居地等の変更】
住居地を定めた場合のほか、引っ越し等により住所を変更した場合も同様に変更の届出が必要です。この届出も、変更後14日以内、かつ、引っ越し前の住居を退去した日から90日以内にしなければなりません。
【(大半の)就労資格を持って就労している外国人の方が必要な届出手続き】
経営・管理、技術・人文知識・国際業務、企業内転勤、技能など、在留資格諸申請において、日本における所属機関(就労・転職した会社や入学する学校など)を記載する必要がある在留資格のうちの一部において、転職等により他の機関に移った場合等にも、当該事由が生じた日から14日以内に届出が必要です。これを所属機関(活動機関又は契約機関)に関する届出といいます。(なお、所属機関が契約機関となるか、活動機関となるかは、所持している在留資格により異なります。)
届け出が必要となるのは以下の場合です。
所属機関の名称変更
所属機関の所在地変更
所属機関の消滅の場合
所属機関を離脱した、又は契約を終了した場合
所属機関を移籍した、又は新たな契約機関と契約を締結した場合
なお、この届出をしていないことによって、将来の在留期間更新許可申請時に不利益な取り扱い(在留期間が短縮されたり、審査に通常より時間がかかったりする)を受ける可能性もありますのえ、この届出もしっかりやっておく必要があります。
【居住資格(日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、家族滞在)を持っている外国人の方の手続】
日本人や永住者と結婚している外国人の方、就労資格(就労ビザ)をもって働いている外国人の方の扶養を受けている配偶者の方などは、以下の場合に届出が必要です。
・配偶者との離婚
・配偶者との死別
こちらの届出期限も、当該事由が生じた日から14日以内に届出が必要です。これを怠った場合も、罰則の適用があるほか、届出を行っていない場合は、将来の在留資格変更許可や在留期間更新許可の際に在留不良とされ、許可が下りない可能性もあるので必ず届け出るようにしましょう。
【特定技能について】
特定技能に関しては、特に特定技能所属機関に多くの届出義務が課されます。定期的な届出と随時の届出と大きく2つに分けられますが、これを完璧に実施するのは困難といえるほど、多くの届出が義務付けられているうえに、それを1つでも怠ると欠格事由に該当し、特定技能外国人を受け入れできなくなる可能性もある恐ろしい制度です。(詳細に関しては、今回は書きません。)
【永住許可申請と届出との関連性】
将来的に「永住者」の在留資格への変更を希望されている外国人の方も多いと思います。
そのような方は、上記の届出に不履行があると永住が許可されないので、必ず「期限内」に実施することが必要です。
昨今、永住許可申請はさらに厳しさを増しています。原則として、届出はしっかりしていても、届出の期限に遅れているだけで、国益適合要件を満たさない=不許可とされる可能性もあります。
十分注意しましょう。
以上、今回は「入国後に必要となる手続き(届出)」について書きました。
最後まで読んでいただいてありがとうございました。