長久手市の在留資格(ビザ)専門行政書士、竹内です。
今週は、「特定活動告示第46号」による留学生の就職について書いていこうと思います。
まず、「特定活動」について簡単に説明します。特定活動とは在留資格(ビザ)の一種で、別途定められている技術・人文知識・国際業務や経営・管理等の在留資格には該当しないが、法務大臣が特別にその活動を認めて(指定して)在留資格を与えるというものです。
この特定活動には、告示特定活動(既に類型化されているもの)と告示外特定活動(類型化されておらず個別の判断で許可され得るもの)があります。(※特定活動の詳細については、追々ブログで詳しく書くつもりですので、今回は簡単に触れるだけにします。)
今回の特定活動告示46号は、告示特定活動です。
この「特定活動告示46号」の在留資格(ビザ)は、就労系資格の一つと言え、日本の大学又は大学院を卒業した外国人で一定の条件を満たす者に限り、他の就労系の在留資格では認められない職業に就くことが認められるものです。
具体的に認められる職業としては、レストランでのホールスタッフ、コンビニやスーパー等の店員、工場のラインに自ら入り、他の外国人労働者への上司からの指揮命令伝達者としての職務等です。
❶【従事することができる活動(在留資格該当要件)]
1.法務大臣が指定する日本にある機関との契約に基づいて行うこと。
2.契約機関の常勤の職員として業務に従事すること。
3.契約機関の業務に従事すること。
4.風俗営業活動に従事しないこと。
5.弁護士事務所等いわゆる士業事務所の業務に従事しないこと。
❷【外国人本人の要件】
1.日本の大学を卒業又は大学院を修了して学位を授与されていること。
2.日本人が通常受ける報酬と同等額以上の報酬を受けて従事すること。
3.相当高いレベルの日本語能力を有していることが証明されること。
4.その大学又は大学院において修得した幅広い知識及び日本語能力を活用するものと認められること。
❶について
1.は、単純に日本にある会社等の法人や団体と外国人の方が契約(雇用契約など)をして就労しなければならないという意味です。なお、外国に本社等がある法人であっても、日本にその支店等があり、その日本にある支店との契約に基づいて行う場合もOKです。
2.は、アルバイト等ではなく、いわゆる正社員等として従事しなければならないということです。
3.は、当該契約した会社等の業務に従事するということです。つまり、派遣社員として派遣先で就労させてはならず、その会社等の業務に従事させることが必要です。ちなみに、複数の機関の業務につくことも許されません。
4.&5.は、キャバクラ、パチンコ、クラブ等の風俗営業活動や、弁護士事務所、司法書士事務所、行政書士事務所等、法律上資格を有する者が行うこととされている業務に従事することはできません。
❷について
1.は、「日本」の大学又は大学院を卒業・修了し、学位(学士・修士等)を取得していることが必要です。従って、海外の大学を卒業している場合は、この基準に該当しません。また、ここで言う「大学」には、短期大学は含まれません。もちろん、専修学校や職業訓練校も含まれません。
2.は、その会社で日本人の大卒又は大学院卒の新入社員が受ける報酬額と同等以上の報酬を受ける者でなければならないということです。簡単に言えば、国籍による労働待遇禁止ということです。
3.は日本語能力を求めるもので、下記のいずれかに該当する必要があります。
(1)日本語能力試験(N1)又はBJT(ビジネス日本語能力テスト480点以上の合格
これは、単純で示された試験を合格していればこの基準には適合するという意味です。
(2)日本語を専攻して、大学又は大学院を卒業した者
こちらは、(1)の試験を合格していなくても、(2)の条件を満たしていればOKというものです。この「日本語を専攻して」とは、日本語に係る学問(日本語学、日本語教育学など)に係る学部等に在籍して、それを専門的に履修したことを意味します。
なお、この「日本語を専攻して」に関しては、本在留資格の条件である日本の大学等で日本語を専攻していなくても、それ以前に外国の大学等において日本語を専攻していれば足ります。例えば、母国(外国)の大学で日本語教育学部に在籍し、卒業した者が、その後来日し、日本の大学の経営学部に入学・卒業しているような場合では、この外国人の方が日本語能力試験N1又はBJT480点以上に合格していなくても基準に適合します。
4.基本的に、「日本語能力を生かして」業務に従事するものであればOKですが、列挙されたような職業には就くことができません。日本語を生かすことが条件になっている以上、工場のラインに入って、日本人の上司から指示された作業のみに従事したり、いわゆる清掃業務に従事する等、日本語によるコミュニケーションをほとんど必要としないような業務のみに従事することは認められません。逆に清掃業務であっても、現場チームのリーダー補佐等としてリーダーである日本人の指示を、適宜他の外国人清掃員に外国語で伝えつつ、自らも清掃業務に従事するようなケースは、認められる可能性もあります。
ちなみに、特定活動告示47号により、特定活動告示46号により在留する外国人の扶養を受けて生活する配偶者又は子の在留も、要件を満たせば在留資格を得ることができるるようになっています。
以上、今回は「特定活動告示第46号」について書かせていただきました。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。