長久手市の在留資格(ビザ)専門行政書士・竹内です。
今週は、以前行っていた在留資格の紹介の続きを行っていこうと思います。今回は、「教授」と「教育」という似ている在留資格(以下、ビザ)に関して、説明・比較しながら書いていこうと思います。
【在留資格該当性】
教授「本邦の大学若しくはこれに準ずる機関又は高等専門学校において研究、研究の指導又は教育をする活動」
教育「本邦の小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、専修学校又は各種学校若しくは設備及び編制に関してこれに準ずる教育機関において、語学教育その他の教育をする活動」
なお、「教授」の「大学」には、短期大学、大学院、大学に設置されている研究施設等、さらには放送大学等も含まれます。「これに準ずる機関」は「大学に準ずる機関」という意味で、防衛大学校や水産大学校などを意味しています。
どちらも教育に関するビザですが、教育等をする場所に違いがあります。教授の方は、主に大学や高等専門学校の教員として、教育の方は小中学校や高校の教師としての仕事に就く場合の在留資格です。
また、教授の活動には「教育、研究、研究の指導」という3つの活動内容が列挙されており、その活動のすべてを行うことも、1つのみ行うこともできます。例えば、大学で研究のみを行うことも可能です。逆に、学生に対して授業しながら、研究もし、研究の指導もするという活動もできます。
一方、教育の活動には「教育をする活動」しか掲げられていないため、教育をすることが必要ですが、教育をするために必要不可欠なものとして、あくまでも教育を行うためのものであり、かつ、それを専ら行わない限り、研究や研究の指導に当たる活動を行うことも許されます。なお、小学校や中学校、高等学校などの「教育」のビザに列挙されている機関との契約に基づいて、教育をせずに研究のみを専ら行う場合は、教育ではなく「研究」というビザに該当する可能性もあります。
また、いずれのビザも「就労資格」ですので、その活動を行うことによって、日本で安定した生活を営むことができる程度の相当額の報酬の支払いを受けることが必要です。
教授のビザは上陸許可基準の適用がありませんので、上記の活動に該当する活動をするのであれば、その他の上陸のための条件(旅券・査証の有効性、上陸拒否事由非該当性)を満たす限り許可され得ます。これに対し、教育のビザは、上記の在留資格該当性があることに加え、以下の上陸許可基準適合性も満たす必要があります。
【教育の上陸許可基準】
1.申請人(外国人の方)が各種学校若しくは設備及び編制に関してこれに準ずる教育機関において教育をする場合又はこれら以外の教育機関において教員以外の職について教育をする活動に従事する場合は、次のいずれにも該当していること。ただし、申請人が各種学校又は設備及び編制に関してこれに準ずる教育機関であって、外交・公用の在留資格又は家族滞在の在留資格を持って在留する子女に対して、初等教育又は中等教育を外国語により施すことを目的として設立された教育機関において教育をする活動に従事する場合には、次の「イ」のみに該当すればOK。
イ 次のいずれかに該当していること。
(1)大学を卒業し、又はこれと同等以上の教育を受けたこと。
(2)行おうとする教育に必要な技術若しくは知識に係る科目を専攻して本邦の専修学校の専門課程 を修了したこと。
(3)行おうとする教育に係る免許を有していること。
ロ 外国語の教育をしようとする場合は、当該外国語により12年以上の教育を受けていること、それ以外の科目の教育をしようとする場合は、教育機関において当該科目について5年以上従事した実務経験を有していること。
2.日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けること。
上記「1.」は、申請人が「各種学校若しくは設備及び編制に関してこれに準ずる教育機関」で教育する場合、小学校・中学校・義務教育学校・高等学校・中等教育学校・特別支援学校または専修学校で教員以外の職について教育をする場合、の2つのいずれかに該当する場合のみ「イ」「ロ」の両方の条件を満たさないといけないという意味です。また、このケースでも、申請人がいわゆるインターナショナルスクールで教育する活動を行う場合は、「イ」のみに該当していればよく、「ロ」の条件は課されません。
従って、小学校の教育職員免許を持つ外国人が、小学校で教員の職に就く場合は、「1.」の基準は関係なく、「2.」の報酬条件に適合すればよいということになります。逆に、小学校の教育職員免許を持たない外国人が、小学校で教員以外の職に就いて教育をする場合は、上記「1.」&「2.」の要件をいずれも満たす必要があります。
「1.」の「イ(1)」の「これと同等以上の教育を受けた」か否かは、それぞれの国においていわゆる高等教育を行う教育機関を卒業していれば、これに該当し、また、ここでいう「大学」には「短期大学又はこれと同等以上の教育を受けた」者も含まれます。「イ(2)」は、日本の専修学校を専門士又は高度専門士の称号を得て修了していることが必要です。また、「イ(3)」の免許は、外国における免許も含まれます。
【その他】
「教授」においては、大学等列挙されている教育機関で「研究、研究の指導又は教育をする活動」を行ってさえいれば、職務上の地位や肩書は関係なく「教授」の在留資格(ビザ)に該当します。
以上、今回は似ているビザ「教授」と「教育」について書かせていただきました。
最後まで読んでいただきありがとうございました。