前回は「上陸拒否事由」について書きました。上陸拒否事由は、簡単にいうと「日本に入国(上陸)するための最低限の基準」です。
の「在留資格該当性」と「基準適合性」は、上陸拒否事由に該当しないことを確認した後、次に確認しなければならない事項です。上陸拒否事由に該当しなくても、在留資格該当性と基準適合性を満たさなければ、在留資格を取得することはできません。
両者の共通事項としては、「在留資格ごと」に定められているという点が挙げられます。つまり、在留資格の種類によって異なる在留資格該当性と基準適合性が定められています。
「在留資格該当性がある」とは、在留資格を取得しようとする外国人の方が、日本で行おうとする活動(就労等)の内容が、各在留資格ごとに定められている活動の内容と一致していることをいいます。言い換えれば、許可取得後においてこれが一致していないことが判明すると在留資格が取り消されてしまう原因となり得ます(偽りその他不正の手段[入管法23条1項2号]で在留資格を取得したと判断されてしまう可能性がある)。
「基準適合性がある」とは、在留資格を取得しようとする外国人の方(又はその所属機関等の条件)が、基準省令で各在留資格ごとに定められている基準(学歴、実務経験他)に適合することをいいます。例えば、「経営・管理」の在留資格では、申請人(外国人本人)が「管理」業務に従事する場合に「経営又は管理に関して3年以上の経験があること」を基準の1つとしていますので、どんなに優秀な人材でも当該経験が3年に満たない場合は在留資格は許可されません。
また、実務上は「基準適合性」を意識しすぎるあまり、「在留資格該当性」をおろそかにしてしまうことが起こりやすいので私も注意してやっています。
外国人の在留資格取得の手続きは、まず、❶上陸拒否事由に該当しないかを確認し、❷在留資格該当性があるか、そして➌その在留資格を得るための基準適合性があるかを判断することから始まります。
「在留資格該当性」と「基準適合性」の有無の判断は、法令や法務省ウェブサイトを見るだけでは難しいものも多々ありますので、お困りの際は専門家である行政書士にご相談ください。