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【第31回】在留資格の紹介~興行②~(つづき)

長久手市の在留資格(ビザ)専門行政書士、竹内です。

今回は、前回のつづきとして、「興行」の在留資格について書いていこうと思います。前回も書いたとおり、外国人の方が行おうとする活動が「興行に係る活動」であるか、「その他の芸能活動」であるかによって基準(上陸許可基準)が大きく異なります。

後者については、前回書きましたので、今回は前者「興行に係る活動」の上陸許可基準について詳しく書いていこうと思います。

まず、この「興行に係る活動」において、どのような興行活動を行うか等により更に基準が次の2つ分かれています。

①演劇、演奏、歌謡、舞踊、演奏(以下、「演劇等」といいます)の興行に係る活動

②「①」以外の興行に係る活動

上記の違いを以下に述べていきます。「①」は基準が複雑で、かつ、更に2つに分かれます。一方「②」の基準はシンプルです。従いまして、まず「②」を説明した後に「①」について説明していきます。

【②「①」以外の興行に係る活動】

これは要するに「演劇等以外の興行に係る活動」を日本で行おうとする外国人の方に適用される上陸許可基準です。

具体的には、プロスポーツの試合・大会、絵画作品の個展、ファッションショー、ゲームの国際大会の開催などが該当します。

こちらの基準は、下記「①」に比べて非常にシンプルです。

基準「日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けて従事すること」

これだけです。従って、外国人の方は有効な旅券&査証を所持し、上記基準を満たし、上陸拒否事由に該当しなければ、原則許可を得ることができます。

しかし、この在留資格(ビザ)は「就労資格」です。よって、例えばサッカー日本代表と国際親善試合をする相手国の選手についても、日本代表の選手が受ける報酬と同等額以上の報酬を受ける必要があります。従って、相当の実績がある選手でないといけないので、誰でも簡単に取れる在留資格(ビザ)ではないのは当然のこととなります。

【①演劇、演奏、歌謡、舞踊、演奏(以下、演奏等という)の興行に係る活動】

具体的には、舞台演劇、ウィーンフィル演奏会、ミュージカルショーなどです。

これは更に、主催者又は開催場所が以下に該当する場合(単純な基準)とそうでない場合(複雑な基準)に分かれます。

★「単純な基準」に該当する条件★

1.国又は地方公共団体等の一定の公的機関等が主催するもの

2.公的機関等から資金援助を受けて設立された外国との文化交流に資する公私の機関が主催するもの

3.敷地面積10万平米以上の外国をテーマとした日本のテーマパーク(ディズニー等)で行うもの

4.客席での飲食物有償提供及び客の接待をしない一定の施設で行うもの

5.報酬の額が1日に50万円以上、かつ、15日を超えない期間日本に滞在して行うもの

「1.」は、2つのケースが想定されています。1つ目は国や地方公共団体、法律によって直接設立された法人、特殊法人が主催する「演劇等の興行に係る活動」です。2つ目は、学校等で行われる「演劇等の興行に係る活動」です。1つ目は「主催者」が、2つ目は「興行を行う場所」が定められています。

ちなみに、ここで言う「学校等」は、幼稚園、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、大学、高等専門学校(ここまでが学校教育法上の「学校」)及び専修学校、各種学校です。

「2.」は、「興行に係る活動」を行う機関が、国や地方公共団体、独立行政法人(地方独立行政法人除く)等の資金援助を受けて設立された日本の公的又は民間の機関で、かつ、その機関の目的が日本と外国の文化交流に資するものであることが条件とされている。

「3.」は、ディズニーや志摩スペイン村などのように外国の風景や景色、文化を題材としたテーマパーク等の広い敷地で行われる興行を条件としています。

「4.」は、キャバクラのような客の接待を行わず、かつ、客席において飲食物を有償で提供をしない施設であることを条件としています。そのうえで、その施設が非営利団体が運営する施設又は客席の店員が100名以上の施設のいずれかであることが必要です。この「客席において飲食物を有償で提供」とは、要するにお客が「客席で施設係員に飲食物を注文し、そこで飲食する」ということです。なので、客席のある場所から舞台の外へ出て、そこにある売店等で飲食物を販売するのはOKです。

「5.」は、興行により得られる報酬額が50万円以上であり、かつ、15日以内に興行を終えて出国することを条件としています。なお、この50万円は、個人で行う興行であれば個人が、団体で行う興行であればその団体が受ける総額を表わします。

上記の「1.~5.」に該当するような「演劇等の興行に係る活動」に従事する場合には、それ以外の上陸許可基準は定められていないため、前述の「演劇等以外の興行に係る活動」に従事する場合と同様、比較的容易に上陸することができます。

これに対して、上記「1.~5.」に該当しない「演劇等の興行に係る活動」に従事する場合は、事細かに複雑な基準が定められています。

次回は、「複雑な基準」が定められている「演劇等以外の興行に係る活動」について書いていこうtお思います。

今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。