長久手市の在留資格(ビザ)専門行政書士、竹内です。
前回は「在留資格認定証明書」という、いわば「入口」の部分について書きました。そこで今週は、入口から入った後の手続の1つである「在留資格変更許可申請」について書いていこうと思います。
「在留資格変更許可申請」とは、既に何らかの形で日本に上陸(入国)した外国人の方が、これまで行っていた活動とは異なる活動を始めようとする場合、又は、これまで有していた地位とは異なる地位・活動を始めようとする場合に必要となる手続きです。
典型例をいくつか挙げてみます。
❶これまで「外国料理の料理人」として、「技能」の在留資格(ビザ)を持っていたが、今後は自分で料理店を立ち上げて、運営したいというような場合【『技能』→『経営・管理』への変更】
❷いままで大学生として「留学」の在留資格(ビザ)で在留していたが、卒業し日本の企業で通訳・翻訳を行うために就職したい場合【『留学』→『技術・人文知識・国際業務等』への変更】
❸技能実習生として日本にやってきた外国人の方が、2年目も引き続き技能実習を続ける場合【『技能実習1号(イ又はロ)』→『技能実習2号(イ又はロ)』への変更】
❹日本人と結婚して「日本人の配偶者等」の在留資格(ビザ)も持って在留していたが、先日離婚し、その後も引き続き日本での在留を希望するような場合【『日本人の配偶者等』→『定住者(告示外)』への変更】
以上のようなものが、在留資格変更許可申請の典型的なものです。
【例外その1】
在留資格(特に就労系)は、日本での活動内容によって在留資格が区分されているので、活動の内容さえ変わらなければ、在留資格変更許可申請を行う必要がないのが通常です。
しかし、在留資格の中には、所属先【就職先の企業、受け入れ先の団体等】までまとめて1つの在留資格とみなされているものもあります。
高度専門職1号、特定技能1・2号、技能実習1~3号、特定活動告示46号(本邦大学卒業者)他です。
上記のような在留資格は、たとえ活動内容が変わらなくとも所属機関が変更になる場合は、在留資格変更許可申請が必要です。つまり、高度専門職1号→高度専門職1号、特定技能→特定技能、技能実習→技能実習への変更などもあり得ます。
ちなみに、特定技能に関しては、特定産業分野(介護、ビルクリーニングなどの12分野)が変更になる場合も在留資格変更許可申請が必要となります。
なお、これらの在留資格以外は、在留資格変更許可申請は不要ですが、「所属機関に関する届出」(所属機関の名称変更等)は必須です。当該事由が発生した日から14日以内に入管に届け出る必要があります。更に、場合によっては就労資格証明書の取得も検討したほうがよいでしょう。
【例外その2】
「特定活動」という在留資格の中に、インドネシア・フィリピン・ベトナムの三国との経済連携協定等(以下、EPA等といいます)による看護師、介護福祉士、看護師候補者、介護福祉士候補者に関する在留資格があります。
これらの在留資格では、原則として、以下のような変更以外、変更が認められていません。
❶EPA看護師候補者、EPA介護福祉士候補者が、それぞれ看護師・介護福祉士資格取得後、EPA看護師・EPA介護福祉士又は在留資格「医療」若しくは「介護」に変更する場合。
❷EPA看護師候補者で、既に准看護師資格を取得した者が、在留期間中の最後の受験機会である看護師国家試験に不合格となった場合に、「医療」の在留資格に変更する場合。
❸受入施設(勤務先)を変更する場合。
❹EPA看護師候補者として在留している者が、無事に看護師国家試験に合格したが、看護師免許を取得しないまま一旦本国へ帰国し、その後、短期滞在で来日し、看護師免許を取得して、EPA看護師の在留資格へ変更する場合。
❺日本人と結婚する等して、EPA介護福祉士候補者→日本人の配偶者等の在留資格に変更する場合。
などです。
【例外その3】
「短期滞在」の在留資格からの在留資格変更許可申請は、「やむを得ない特別な事情」がない限り許可されないことになっています。なぜなら、「短期滞在」とは「その在留期間中に行う活動自体がその短期間で完了する」ことを条件に認められているからです(観光なら旅行日程終了後に帰国、会議出席なら会議出席後に帰国、親族訪問ならあらかじめ予定していた訪問日程終了後、帰国等)。
また、短期滞在は比較的容易に査証(本来の意味でもビザ)が取れ、また、国によっては査証が免除されている場合もあります。従って、短期滞在からの在留資格変更を容易に認めてしまうと、とりあえず「短期滞在」で来日して、その後、在留資格を変更すればよい、という考えが蔓延り、在留資格制度の形骸化を招く恐れがあるためです。
「やむを得ない特別な事情」としては、以下のような場合が想定されています。
❶告示外の特定活動・定住者(告示・告示外)の在留資格に変更する場合
❷婚姻等を理由とする場合
❸日本人や永住者の「子」である場合
❹入学試験受験のために来日し、その後1箇月程度で授業が開始される留学生 などなど
です。
【在留資格変更許可申請をするタイミング】
原則:変更すると確定した時(例:婚姻や転職が決まったらすぐ申請する等)
❶留学生等がそのまま日本で就職する場合
就職先から内定通知書等が交付され、就労開始までだいたい3か月以内のタイミング
❷留学生が進学する場合(高校卒業→大学入学等)
進学先から入学許可書等が交付され、かつ、入学日のだいたい3か月前以内のタイミング
以上、今回は「在留資格変更許可申請」について書きました。
最後までお読みいただきありがとうございました。