長久手市の在留資格(ビザ)専門行政書士、竹内です。
前回は、「在留資格変更許可申請」について書きましたので、今回は「在留期間更新許可申請」について書いていこうと思います。
【在留期間更新許可申請とは?】
在留期間更新許可申請とは、既に在留資格(ビザ)を持って在留している外国人の方に関して、その在留資格の在留期間の有効期限(在留期限)が切れるにあたり、帰国等せずに、その在留期限後も引き続き日本に住み続けたい場合に、その在留期間を更新する手続きです。
そして、更新前の在留資格と、更新後の在留資格は同じです。つまり、異なる在留資格に対応する活動(在留活動)を行おうとする場合は、前回書いた「在留資格変更許可申請」が必要となります。
つまり、在留期限後も、同じ活動を引き続き行う場合に必要となる手続きが「在留期間更新許可申請」です。
なお、在留諸申請において、特段の問題がない限り、在留期間更新許可申請は許可となる可能性が高い手続きと言えます。在留資格認定証明書交付申請(前々回)、在留資格変更許可申請(前回)に比べて、圧倒的に許可率は高いです。
不許可となる事例としては、留学の在留資格を持っているにもかかわらずその留学生が学校に通っていなかった、家族滞在・留学等の在留資格で在留している者が週28時間という資格外活動許可の制限を超える就労(アルバイト等)をしていた、技能(料理人)の在留資格をもって在留している者が、料理人ではなく専らホールスタッフとして就労していた、税金・年金を支払っていない・加入していない等です。
【在留期間更新許可申請をすべき時期】
通常、在留期間が満了する日の3か月前から更新ができるとされています。なお、そもそも在留期間が3箇月以内の外国人の方は、在留期間の半分を過ぎたくらいから受理されます(例えば、1/1に在留期間3か月の家族滞在の在留資格により上陸を許可された外国人の方は、おおむね2月中旬頃には申請が可能です)。この部分が、前回の「在留資格変更許可申請」と違う部分です。
また、この在留期間更新許可申請は、遅くとも(最悪)、今持っている在留資格の在留期限が経過する前にしなければなりません。裏を返せば、在留期限の前日でもOKということになります。
このようなケースを想定して「特例期間」というものが設けられています。これは、在留期間更新許可申請が今の在留資格の在留期間の経過前に行われていることを前提に、その在留期限までに結果(許可・不許可)が出ていない場合、その結果が出た時又は元の在留期限の満了日から2か月が経過する日のいずれか早い時まで、引き続き従前の在留資格を持って在留する事ができる、という制度です。
この「特例期間」は、上述のとおり「在留資格を持っている」期間とみなされるため、その期間に再入国許可を受けて出国することも、資格外活動許可を受けている場合はそのアルバイト等をすることも、就労資格で就業している人はそのまま就労することもできます。
なお、この「特例期間」の制度は、前回の「在留資格変更許可申請」でも認められますが、更新とは異なり、特例期間内に「変更後」の活動を行うことはできませんので、注意が必要です。なぜなら、在留資格は「申請時に持っている在留資格」を有しているとみなされるからです。
さらに、この特例期間は、下記の場合には適用されません。
・「永住者」への在留資格変更許可申請
・在留期間が30日以下の在留資格を持っている場合の変更・更新申請
【注意点】
もし、在留期限が過ぎた後、この在留期間更新許可申請をせずに、日本に留まり続ければ「不法滞在」となり、退去強制事由に該当します(不法残留)。この退去強制制度により、退去強制令書の発布を受けて強制退去させられると、原則として10年は日本に入国(上陸)することはできません。
次に、日本人・永住者・特別永住者と結婚し、在留資格「日本人の配偶者等」又は「永住者の配偶者等」の在留資格を持って在留している外国人の方が、離婚&再婚した場合についてです。例えば、に外国人Aさんが、日本人のXさんと結婚し、日本人の配偶者等の在留資格で日本に入国・居住しているとします。そのAさんが、在留期間中に、Xさんと離婚し、その後、同在留期間内に日本人のYさんと再婚したとします。この場合の手続きとしては、在留期限が切れる前に「在留期間更新許可申請」をすればよいのですが、更新許可申請時の審査は、上陸時等(つまり新規の入国時や在留資格変更時)と同様に厳しく審査されます。
次に、「留学」をもって在留する留学生が、留年した場合です。この場合は、在留期間を更新した場合に必要となる滞在費支弁に問題がなく、かつ、その留年にやむを得ないと認められる事情があり、そのことが本人の申請内容及び学校の教授等の意見を聴いて、相当であると認められる場合は、「留学」の在留資格の更新が許可されます。
【更新時・変更時の主な要件】
まずは、素行が善良であることです。犯罪を犯して刑に処せられた場合、不法就労のあっせん、退去強制事由に該当する、などがあると、冒頭に述べたように、いかに許可率の高い「在留期間更新許可申請」であっても不許可となります。
ただし、傷害罪や暴行罪で1・2回ほど罰金刑を受けた場合でも、申請時に正直に申告し、その経緯と反省の弁を述べたうえで、二度とこのようなことは犯さない決意を具体的に記載した書面を提出することにより許可が出る場合もあります。しかし、これはあくまでも「そのような例もあった」ということに過ぎず、犯罪等に手を染めることがないよう日々過ごしていきましょう。
また、いくら軽微な違反であっても、それを繰り返すようでは更新が許可されません。例えば、自動車の速度違反で、1点ケースであっても、それを在留期間中に10回も繰り返していては、素行が善良であるとは認められない可能性が高いです。
次に適正な雇用・労働条件であることです。これは特に、資格外活動許可の制限で注意が必要です。例えば、留学生が、卒業後の就職に伴い、「留学」から「技術・人文知識・国際業務」へ在留資格変更許可申請をしたところ、在学中のアルバイトで週28時間という制限を超えて就労していたことが発覚したような場合は、変更が不許可となる可能性が高いです。
あとは、近年どんどん厳しくなってくる「納税義務」です。社会保険料や年金等も同じです。所得税や住民税を払っていない場合、基本的に更新・変更は不許可になります。とにかく、申請時には全納した状態で臨むことが必要です。
ちなみに、永住許可申請においては、払えばいいというものではなく、納付期限に遅れてもアウトです。対象期間中1回遅れていてもアウトです。永住許可は、とても厳しく、最難関の在留資格と言えます。
最後に、「届出」です。外国人の方には、入管法により、一定の場合に「届出」が義務付けられています。例えば、働いている機関の名称変更、所在地変更、消滅の場合、移籍・転職した場合、退職・契約先を変更した場合、又は、配偶者と離婚・死別した場合等には、届出が義務付けられています。
例えば「技術・人文知識・国際業務」の在留資格でA株式会社に勤務している、Xさんが、B株式会社に転職し、それまでと同種の業務に従事する場合、在留資格変更許可は必要ありませんが、所属機関の変更に関する届出をする義務があります。
この届出は「14日以内」という期限が設けられているので、必ずその期限内に届け出るようにしましょう。なお、仮にその期間を経過してしまっても、やらないという選択肢はありませんので、必ず届け出てください。これをやっていないことにより、在留期間が短縮されたり、最悪、更新・変更が不許可となる可能性もないことはありません。
以上、今回は「在留期間更新許可申請」について書いてきました。
最後までお読みいただきありがとうございました。