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【第36回】在留資格の取得許可とは?

長久手市の在留資格(ビザ)専門行政書士の竹内です。

ここのところ、在留資格認定証明書交付申請→在留資格変更許可申請→在留期間更新許可申請という順番でブログに書いてきていますので、その流れで、今回は「在留資格取得許可申請」について書いていこうと思います。

【在留資格取得許可申請とは?】

私も、入管業務について学びだした当初は、この「取得許可」って何?「在留資格認定証明書交付申請と何が違うの?という疑問を持っていました。

少し考えればなるほど!、ということなのですが、在留資格の「取得」とは、上陸許可(入国審査)を受けることなく、日本に存在している外国人の方々が在留資格(ビザ)を取得するための手続です。

以前のブログでも述べた通り、日本で在留(居住、生活)する外国人の方は、一部の例外を除き、必ず在留資格(ビザ)を所持していなければなりません。例えば、海外にいる外国人の方が、日本に来て働こうとする場合は、「在留資格認定証明書交付申請」をし、許可されれば、入国時に正式に在留資格を決定され、その後はその在留資格を持って日本に住むことができます。

これに対して、在留資格取得許可申請の対象となる外国人は、それが物理的にできない方です。

具体的には、以下の2パターンです。

❶日本で生まれた外国人の方

❷日本国籍を持っている人が、日本にいる間に(外国籍を取得し、)日本国籍を離脱した人

「❶」は、例えば、日本で会社経営をしている外国人Aさん(在留資格「経営・管理」を持っている)と、その妻であるBさん(在留資格「家族滞在」を持っている)が、めでたくその子Cを授かったような場合です。この場合、Aさん・Bさんは、上述のとおり、既に在留資格を持っているため問題ありませんが、子Cには在留資格がない状態です。つまり、このまま何もしないとCは不法滞在者となってしまいます。かといって、一旦海外に戻り、在留資格認定証明書交付申請をするようなことも大変な労力と費用・時間の無駄になります。そこで、この「在留資格取得許可申請」をすることによって、子Cは、在留資格認定証明書交付申請等をすることなく、在留資格(家族滞在等)を取得でき、合法的に在留することが可能となります。

「❷」は、例えば、日本人Dさんが、アメリカ人E(在留資格「永住者」を持っている)さんと、日本において婚姻し、Dさんの希望でアメリカ国籍を取得したとします。日本の国籍法では、日本人が自己の志望により外国の国籍を取得した場合は、日本の国籍を失う、ということになっているため、Dさんはアメリカ国籍を取得した時点で、日本国籍を離脱したことになります。入管法上の外国人の定義は「日本の国籍を有しない者」です。従って、Dさんは、この時点で外国人となります。外国人となったということは、在留資格を持っていないと、このまま日本でEさんとともに合法的に生活していくことができません。このような場合に、「在留資格取得許可申請」をすることによって、Dさんは在留資格(永住者の配偶者等)を取得することが可能となり、合法的に日本で生活を続けていくことができます。

その他の例外ケースとして、米軍関係者がいます。彼らは、日米地位協定というものが適用されるため、入管法は適用されません。つまり、在留資格を有することなく適法に日本に在留することができます。この米軍関係者が、退役・除籍等によりその地位を失った場合において、その後もそのまま日本に住み続けたいというような場合も、この「在留資格取得許可申請」をすることになります。ただし、当然、在留資格該当性・基準適合性等を満たせない、あるいは、今後日本で行おうとする活動が、どの在留資格の活動にも該当しないような場合は、取得許可は不許可となります。

【期限は?】

この「在留資格取得許可申請」には期限があります。その期限は「申請すべき事由(出産、日本国籍離脱等)が生じた日から30日以内です。

なお、出生や日本国籍離脱後も、60日間は、そのまま在留資格を有することなく合法的に日本に滞在することができますが(ちなみにこの措置は「経過滞在」といいます)、この在留資格取得許可申請等のしかるべき手続きをしない限り、60日を過ぎる前に出国しなければなりません。

この申請を怠ったまま在留を継続してしまうと「不法滞在」となります。従って、退去強制手続きにより、強制退去させられてしまうこともあります。ちなみに、退去強制手続きにより強制退去させられてしまうと、原則として、最低でも5年間日本に入国(上陸)することができなくなってしまいますので注意が必要です。

【例外】

なお、「特別永住者」という方々がいます。この特別永住者とは、第二次大戦に関係する残留外国人の方とその直系卑属(子、孫、ひ孫・・・)の方のために「日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法」(通称「入管特例法」)で定められています。

特別永住者の子として日本で出生した場合、その子は、出生の日から60日以内に「市区町村役場」で「特別永住許可申請」という手続きをすることで、特別永住者として適法に在留を開始することができます。なお、この期限を経過してしまった場合は、入管に対して「在留資格取得許可申請」をして、まず「永住者の配偶者等」への在留資格を取得、その後、再度、市区町村役場で「特別永住許可申請」をするような流れになります。なお、このケースで、60日を経過している時点で「不法滞在」じゃないか!?と思われた方、その通りです。なので、厳密に言うと、入管での在留資格取得許可申請は「特別受理」という方法で行われます。これは、必ず受理されるとは限りませんので、期間内に手続きをすることが一番です。

 

以上、今回は「在留資格取得許可申請」について書かせていただきました。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。