長久手市の在留資格(ビザ)専門行政書士の竹内です。
今回は、特定技能という今注目の在留資格(ビザ)について書いていきます。
特定技能という在留資格は、今から5・6年前に誕生した新しい在留資格です。従来の就労系の在留資格の考え方は、専門的な知識・技術・技能等を有する外国人についてのみ在留(=日本での就労・居住)を認めてあげましょうというスタンスでした。
しかし、この「特定技能(一号)」の在留資格の誕生により、その「専門性」のレベルが一段下がる外国人(≒専門的知識等を有しない者)であっても、この特定技能における「特定産業分野」に関しては、一定の条件を満たす場合に限り、在留を認めることになりました。
この「特定技能」という在留資格を得るためには、様々なハードルを越える必要があります。
①在留資格該当性
②上陸許可基準適合性
③特定産業分野適合性(業務区分該当性)
④(特定技能雇用)契約適合性
⑤支援計画適合性
⑥受入機関適合性
です。
今回からの解説は、上記とは別に、産業分野(12分野:介護、ビルクリーニング、製造三分野、建設、造船・舶用工業、自動車整備、航空、宿泊、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業)ごとにどのような条件が定められているのかを書いていきます。なお、上記①~⑥については、以前のブログ11回~16回で触れていますので、もしお読みでない場合はそちらも併せてご覧ください。
今回は、上記12分野の中で「介護」分野について書いていきます。
≪介護分野≫
※特定技能1号※(介護分野については、特定技能2号はありません。その代わりに「介護」という在留資格があるためです。)
【仕事の内容について】
・できる仕事の概要は『身体介護等(利用者の心身の状態に応じた入浴・食事・排泄・衣類の着脱・異動の際の介助等)及びこれに付随する支援業務(レクリエーションの実施、機能訓練の補助等)』です。
・訪問介護は不可です。訪問介護を行っている事業所では、特定技能外国人を受け入れることができません。
・事業所内の清掃や掲示物の貼り付け・作成等であって、日本人従業員も同じように行う業務で上記の仕事に関連する業務にも従事することができます。ただし、これらを専ら行うことは許されません。
【求められる主な条件】
1⃣外国人に求められる条件
「技能実習2号(介護職種・介護作業)の良好修了者」
又は
「以下の❶~❸のいずれにも該当する者」
➊技能水準試験(介護技能評価試験)合格者
❷日本語能力試験N4以上等の合格者
❸介護日本語評価試験の合格者
又は
「EPA介護福祉士候補者(特定活動)として4年間の在留期間を満了した者」
又は
「介護福祉士養成施設修了者」
上記の4つのパターンのいずれかに該当すれば、条件はクリアとなります。
・なお、介護職種・介護作業以外の技能実習2号を修了している者は、上記❷日本語能力試験N4以上等の合格は不要(免除される)ですが、❸介護日本語評価試験は免除されません。
2⃣外国人を受け入れる施設(事業所)に求められる条件
・「介護福祉士国家資格」の受験資格を得るために実務経験が必要となりますが、その「実務経験」として認められている施設であること。
・厚労大臣が設置する「協議会」(業界団体のようなもの)への加入(又は受入後、4箇月以内に加入)
・厚労省・上記の協議会への協力
3⃣人数枠
・介護分野、建設分野、自動車整備分野の3分野については「人数枠」が設けられています。
・この人数枠は「法人単位」ではなく、特定技能外国人が仕事をする「事業所単位」でカウントします。
・その事業所において、受け入れる特定技能外国人の人数が、その事業所に勤務する日本人・「介護」の在留資格保持者・介護福祉士としての活動を指定された「特定活動」の在留資格保持者・永住者、定住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等の居住資格保持者又は特別永住者の「常勤介護職員」の総数を超えてはいけません。
・「常勤職員総数」の「常勤職員」の定義は、正社員、アルバイト、パート等の名称の如何を問いません。労働日数が週5日以上、かつ年間217日以上であって、週の労働時間が30時間以上である労働者は「常勤職員総数」に含まれます。
4⃣その他
・特定技能外国人は、職員等の配置基準において、受け入れた時から職員等とみなす取扱いとしてもOK。
・派遣は不可。受け入れた事業所において直接雇用し、就労することが必要です。
以上、特定技能の在留資格の「介護分野」における受け入れ条件等について書いてきました。繰り返しになりますが、上記の分野別の基準に加えて、在留資格該当性、基準適合性、(特定技能雇用)契約適合性、受入機関適合性、業務区分適合性、支援計画適合性も全て満たすことが必要です。
特定技能は本当に猥雑で、難しいですね。お困りの際は、専門家まで頼ってくださいね!
最後まで読んでいただきましてありがとうございました!