長久手市の在留資格(ビザ)専門行政書士・竹内です。
今回も、前回以前から続いております「特定技能」の在留資格(ビザ)の分野別解説シリーズです。4回目となる今回は「建設」分野について書いていこうと思います。
ついに来ました。特定技能の在留資格(ビザ)は、全分野共通して、手続きが「猥雑かつ分かりにくい」と言えますが、その最たるものが今回の「建設」分野です。
それでは、見ていきましょう。
【外国人新規受入れまでの建設分野における大まかな流れ】
1.建設業許可の取得
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2.建設技能人材機構(JAC)に加入
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3.建設キャリアアップシステムへ登録
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4.特定技能雇用契約に係る重要事項の説明⇒特定技能雇用契約の締結
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5.国交省へ「建設特定技能受入計画」の申請
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6.1号特定技能外国人支援計画の作成、外国人への事前ガイダンス
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7.在留資格認定証明書交付申請
【外国人のできる仕事内容】
☆特定技能1号☆(試験の3つの区分に応じて、できる仕事内容が定められています。)
・土木 ⇒ 指導者の指示・監督を受けながら、土木施設の新設、改築、維持、修繕に係る作業等
・建築 ⇒ 指導者の指示・監督を受けながら、建築物の新築、増築、改築若しくは移転又は修繕若しく
は模様替に係る作業等。
・ライフライン・設備 ⇒ 指導者の指示・監督を受けながら、電気通信、ガス、水道、電気その他のラ
イフライン・設備の整備・設置、変更又は修理に係る作業等。
※なお、上記の主たる業務内容に付随して、当該業務に従事する日本人が通常従事することとなる関連業務に従事することは差し支えありません。専ら行う場合は、該当せず、資格外活動となります(在留資格取消、欠格事由該当等)。
※放射能の除染作業のような建設分野の業務に属しない「除染等の業務」に主として従事させるような場合は、対象外です。
☆特定技能2号☆(試験の3つの区分に応じて、できる仕事内容が定められています。)
・土木 ⇒ 複数の建設技能者を指導しながら、土木施設の新設、改築、維持、修繕に係る作業等に従事し、工程を管理すること。
・建築 ⇒ 複数の建設技能者を指導しながら、建築物の新築、増築、改築若しくは移転又は修繕若しくは模様替に係る作業等に従事し、工程を管理すること。
・ライフライン・設備 ⇒ 複数の建設技能者を指導しながら、電気通信、ガス、水道、電気その他のライフライン・設備の整備・設置、変更又は修理の作業等に従事し、工程を管理すること。
【受け入れ機関(特定技能所属機関)のなすべきこと】
・特別教育、技能講習等(労働安全衛生法)が必要とされている業務に外国人を就かせる場合は、その実施が必要です。これは、ただ形式的にやればいいのではなく、外国人に理解してもらう必要があるため、当該外国人が使用している言語や母国語で実施するなどの配慮が必要です。
・(特に)1号特定技能外国人が技能実習で従事した職種とは異なる業務に従事させる等の場合には、労働災害を防止するために、十分な訓練や安全衛生教育を含む各種研修等を実施する必要があります。
・1号特定技能外国人に支払われる報酬予定額や業務内容等について、申請日及び雇用開始予定日前概ね6か月以内に当該外国人が十分に理解することができる言語を用いて説明し、当該契約に係る重要事項について理解していることを確認した上で、特定技能雇用契約を締結する必要があります。つまり、特定技能雇用契約を締結する前に、全分野共通で必要となる事前ガイダンスに加えて、まず報酬額や労働条件等の重要事項について説明して理解させたうえで、雇用契約を結びなさいということです。
・次の場合には届出(報告)をすること。(国交省、一部は入管へも届出が必要)
1号特定技能外国人の受入れを開始したとき(1箇月以内)
特定技能雇用契約が終了したとき
外国人が1号→2号特定技能に移行したとき
外国人が特定技能雇用契約に基づく活動を継続することが困難となったとき。
↑(例:経営悪化に伴う雇止め、受入計画の認定の取り消し、在留資格の喪失、外国人の失踪等含む)
・1号特定技能外国人の受入れ後、概ね3か月~6か月の間に、国交省から指定された講習等(受入れ後講習)を当該外国人に対し受講させること。(これを受講させなかった場合は、建設特定技能受入計画の認定基準を満たさないと判断されます。)
【受け入れ機関(特定技能所属機関)の条件】
❶建設業の許可を受けていること。
❷建設特定技能受入計画について、国土交通大臣に認定を受けていること&その後も適正に履行すること
※↑当該計画の申請後であれば、認定前であっても入管への在留諸申請は行うことができますが、許可等を受ける段階では認定証の写しの提出が必要です。
❸建設キャリアアップシステムに登録していること(外国人・機関両方とも)
※↑新規入国外国人の場合は、入国後原則として1か月以内にカードの写しの提出が必要。
➍団体に加入していること(JACへの加入。賛助会員・正会員どっちでもOK)
➎国内人材確保の取組を行っていること(日本人の採用活動も積極的に行っていること)
※↑「特定技能」の本来の意義の一つに、日本人の採用を募集しても中々応募がなく、人手が足りないためにそれを補う目的で外国人材を受け入れる、というものがあります。従って、日本での採用活動又は日本人の採用活動をしておらず、初めから外国人材のみを採用しようとしている姿勢は、特定技能の本来の目的から逸れてしまっているとみなされてしまいます。重要な審査項目の1つとなります。
❻同等の技能を有する日本人が従事する場合と同等以上の報酬額を安定的に支払い、技能習熟に応じて昇
給を行う契約を締結していること。
※↑建設分野においては、「月給制」が必須です。当該事業場の他の労働者が月給制でなくとも、特定技能外国人は月給制にしなければなりません。例外はありません。そして、労働者の同意を得たうえで「銀行等の口座への振込」による賃金支払いが必要です。昇給は必須の条件なので、「一定の基準に達した場合は昇給する」と明記された雇用契約を締結することが必要です。
※報酬額については、技能実習2号修了者であれば概ね3年間、技能実習3号修了者であれば概ね5年間、日本に在留し技能実習を修了した者であることから、従事しようとする業務について、概ね3年又は5年程度の経験者として取り扱う必要があります。つまり、それと同等程度の業務経験のある日本人労働者と同等以上の報酬設定をする必要があります。そもそも、その比較対象となる日本人労働者の報酬額が低い場合も、報酬額要件を満たさないと判断されてしまいます。
※ちなみに賞与、各種手当や退職金についても日本人と同等に支給する必要があります。
❼人数枠
※↑技能実習生、特定技能外国人を除く常勤の職員の総数が、特定技能外国人の人数の上限
※なお、「介護分野」とは異なり、事業所単位ではなく「法人単位」です。
❽国交省等が行う調査等に協力すること。
❾特定技能外国人から実務経験等を証する書類の交付を求められた場合には、応じること。
※↑労働者の転職等を妨げる目的で証明書の交付を拒むようなことは禁止です。
【外国人の満たすべき条件】
☆特定技能1号☆(以下のほか、技能実習2号良好修了者も特定技能1号へ移行できます)
❶技能水準試験(次の区分ごとのいずれかの試験に合格)
・ライフライン・設備
建設分野特定技能1号評価試験(ライフライン・設備)
技能検定3級(配管)
技能検定3級(建築板金)
技能検定3級(冷凍空気調和機器施工)
・建築
建設分野特定技能1号評価試験(建築)
技能検定3級(型枠施工)
技能検定3級(左官)
技能検定3級(かわらぶき)
技能検定3級(鉄筋施工)
技能検定3級(内装仕上げ施工)
技能検定3級(とび)
技能検定3級(建築大工)
技能検定3級(建築板金)
技能検定3級(塗装)
技能検定3級(ブロック建築)
技能検定3級(広告美術仕上げ)
・土木
建設分野特定技能1号評価試験(土木)
技能検定3級(型枠施工)
技能検定3級(鉄筋施工)
技能検定3級(とび)
技能検定3級(造園)
技能検定3級(塗装)
❷日本語水準試験
日本語能力試験N4以上又は国際協力基金日本語基礎テストの合格
☆特定技能2号☆
❶技能水準試験(次の区分ごとのいずれかに合格)
・ライフライン・設備
建設分野特定技能2号評価試験(ライフライン・設備)
技能検定1級(配管)
技能検定1級(建築板金)
技能検定1級(熱絶縁施工(保温保冷工事作業))
技能検定1級(冷凍空気調和機器施工)
・建築
建設分野特定技能2号評価試験(建築)
技能検定1級(型枠施工)
技能検定1級(左官)
技能検定1級(コンクリート圧送施工)
技能検定1級(かわらぶき)
技能検定1級(鉄筋施工)
技能検定1級(内装仕上げ施工)
技能検定1級(表装)
技能検定1級(とび)
技能検定1級(建築大工)
技能検定単一等級(枠組壁建築)
技能検定単一等級(エーエルシーパネル施工)
技能検定単一等級(バルコニー施工)
技能検定1級(建築板金)
技能検定1級(熱絶縁施工(吹付け硬質ウレタンフォーム断熱工事作業))
技能検定1級(石材施工)
技能検定1級(タイル張り)
技能検定1級(築炉)
技能検定1級(鉄工(構造物鉄工作業))
技能検定1級(塗装)
技能検定1級(防水施工)
技能検定1級(建具製作)
技能検定1級(カーテンウォール施工)
技能検定1級(自動ドア施工)
技能検定1級(サッシ施工)
技能検定1級(ガラス施工)
技能検定1級(ブロック建築)
技能検定1級(樹脂接着剤注入施工)
技能検定1級(広告美術仕上げ)
技能検定1級(厨房設備施工)
・土木
建設分野特定技能2号評価試験(土木)
技能検定1級(型枠施工)
技能検定1級(コンクリート圧送施工)
技能検定1級(鉄筋施工)
技能検定1級(とび)
技能検定1級(ウェルポイント施工)
技能検定1級(鉄工(構造物鉄工作業))
技能検定1級(塗装)
技能検定1級(さく井)
技能検定1級(造園)
技能検定単一等級(路面標示施工)
❷実務経験(区分共通)
・建設現場において複数の建設技能者を指導しながら作業に従事し、工程を管理する者(班長)としての実務経験
※具体的には、業務区分に対応する建設キャリアアップシステムの能力評価基準が
ある職種⇒能力評価基準のレベル3相当の「就業日数(職長+班長)」※1
※1 就く職種ごとに必要な実務経験日数が0.5年(108日)以上~3年(645日)以上で定められている。
ない職種⇒就業日数(職長+班長)が3年(勤務日数 645 日)以上
以上、特定技能「建設分野」についての解説でした。なお、これだけ書いてきましたが、全てを網羅したパーフェクトマニュアルではありませんので、ご了承ください。ただ、概ねの内容は書いたつもりです。
最後までお読みいただきましてありがとうございました。