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【第45回】特定技能分野別解説⑤~造船・舶用工業~

長久手市の在留資格(ビザ)専門行政書士、竹内です。

今回も前回に引き続きまして、在留資格「特定技能」の分野別解説シリーズです。

今回は「造船・舶用工業分野」について書いていこうと思います。

【どのような業務ができるのか】

造船・舶用工業分野においては、業務の内容というよりも、外国人の方を受け入れる事業所が、一定の造船業・舶用工業を行っている者(会社等)であることが必要です。

つまり、造船法や小型船造船業法などの法律に基づく届出や登録を行っている事業者その他一定の条件を満たす者であることが必要であるということです。従って、いくら業務内容が造船・舶用工業に当たる業務であっても、その事業者が前述の法律に基づく届出や登録を行っている者等に該当しない限り、特定技能外国人を受け入れることができません。

なお、以下の「外国人の方本人の条件」に定められている試験区分に応じた業務にしか従事することができません。例えば、造船・舶用工業分野特定技能1号試験(溶接)に合格し、日本語能力試験N4にも合格した者は、溶接(上司などの監督者の指示を理解し又は自らの判断により溶接作業を行う業務)にしか従事できません。もちろん、その業務に関連する業務で、日本人も含む他の従業員も通常行っているような業務(例えば、資材の材料管理・配置 ​、部品・製品の養生​、足場の組み立て、清掃等)に従事することは可能です(専ら従事することはできません)。​

【外国人の方本人の条件】

★特定技能1号★「①・②のいずれも満たすこと」

①技能水準試験の合格(下記、ⅰ.~ⅵ.のいずれかに合格すること)

ⅰ.造船・舶用工業分野特定技能1号試験(溶接)

ⅱ.造船・舶用工業分野特定技能1号試験(塗装)又は技能検定3級(塗装)​

ⅲ.造船・舶用工業分野特定技能1号試験(鉄工)又は技能検定3級(鉄工)

ⅳ.造船・舶用工業分野特定技能1号試験(仕上げ)又は技能検定3級(仕上げ)

ⅴ.造船・舶用工業分野特定技能1号試験(機械加工)又は技能検定3級(機械加工)

ⅵ.造船・舶用工業分野特定技能1号試験(電気機器組立て)又は技能検定3級(電気機器組立て)​​​​​​​​​​

②日本語能力(以下の試験に合格すること)

日本語能力試験N4以上又は国際交流基金日本語基礎テストの合格

 

★特定技能2号★

➀技能水準試験の合格(下記ⅰ.~ⅵ.のいずれかに合格すること)

ⅰ.造船・舶用工業分野特定技能2号試験(溶接)

ⅱ.造船・舶用工業分野特定技能2号試験(塗装)又は技能検定1級(塗装)​

ⅲ.​造船・舶用工業分野特定技能2号試験(鉄工)又は技能検定1級(鉄工)​

ⅳ.造船・舶用工業分野特定技能2号試験(仕上げ)又は技能検定1級(仕上げ)

ⅴ.造船・舶用工業分野特定技能2号試験(機械加工)又は技能検定1級(機械加工)

ⅵ.造船・舶用工業分野特定技能2号試験(電気機器組立て)又は技能検定1級(電気機器組立て)

②実務経験要件

造船・舶用工業において複数の作業員を指揮・命令・管理する監督者として2年以上の実務経験

※なお、令和5年6月9日の時点で、造船・舶用工業分野の1号特定技能外国人として日本に在留する者(業務区分「溶接」として在留する者を除く。)については、同日以前の期間に関しては、造船・舶用工業において複数の作業員を指揮・命令・管理する監督者として就労していたかに関わらず、当該者に該当
していたものとして取り扱うという措置が取られています(2023年9月24日現在)。​

​※上記の他、他の特定技能特定産業分野と同様、対象の技能実習2号を良好に修了した場合には、上記の試験等が免除されます(特定技能1号のみ)。

​​​​​​

【所属機関(雇い入れる会社等)の条件】

➀造船法第6条第1項の事業を営む者、小型船造船業法第2条第1項の小型船造船業を営む者その他の造船・舶用工業分野に係る事業を営む者であること。

②国土交通省が設置する造船・舶用工業分野に係る特定技能外国人の受入れに関する協議会の構成員であること、そして、その協議会に対して協力すること。

③​国交省が行う調査等にも協力すること。

④外国人の支援を登録支援機関に「全部委託」する場合にあっては、その委託先である登録支援機関も上記➀~③のいずれにも適合する機関であること。

⑤退職する外国人等から、実務経験を証する書類(在職証明書等)を請求された場合には、交付に応じること。

※「➀」に関しては、要するに在留資格の諸申請をする前に国土交通省海事局船舶産業課​に自身(外国人を受け入れる企業等)が受け入れ機関としての条件を満たしているかどうかを確認してください、ということです。確認書及び登記事項証明書等の添付書類を提出する方法を取っているようです。

※「④」は、外国人を受け入れる企業等だけでなく、支援計画を全部委託した委託先の登録支援機関も、「➀」の条件に該当し、かつ、②の協議会に加入しなければならず、②・③の協力もしなさいということです。​

※「⑤」は、建設分野でも出てきましたが、退職した外国人等から再就職先に提出資料として重要となる在職証明書等の証明書の交付を請求された場合は、拒まずに出しなさいという意味です。​これを行わない場合は、特定技能外国人を受け入れることができる機関としての基準に適合しないこととなり、外国人の受入ができなくなるとともに、その時点で受け入れている外国人の方のすべての転職支援をしなければならなくなる可能性もあります。​

 

以上、今回は「造船・舶用工業分野」について書いてきました。

最後までお読みくださいましてありがとうございました。